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第五章 狂気の儀式

30.祭壇※

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 身をよじって逃げようと試みるが、拘束具はびくともしない。
「暴れても無駄ですよ、そんなことしても外れませんから」

 ライアは楽しそうに言いながら、俺が寝ている台に固定されたアームを動かして、俺の目の前にモニター画面を差し出した。

「壁の向こうがどんな状態かお見せしましょう」
「な、なんだこれは……っ」

 画面には壁から出た人間の下半身が映っていた。
 M字に足を固定されて女性器丸出しの状態だ。祭壇のように白い布で飾り付けられた棚の上に鎮座していて、すぐ近くにフルーツや野菜が盛り付けられた皿がお供物のように置かれている。

「色々と楽しめそうなものがありますでしょう?」
 よく見るとお供え物の中にはバナナ、ニンジン、なす、キュウリ、ゴーヤなどがある。
 ……もしかしてこれを俺の穴へ入れようと言うんじゃないだろうか。

 想像したら俺の秘部がクプッと音を立てて、とろりと汁を滴らせた。
 ライアにも聞こえたのだろう、クスッと笑われた。

「……くそっ♡」
 こんな小さな音でさえ聞こえてしまうなんて、この壁は見た目以上に薄いのだろう。
「……シュライフェ様っ!?」

 壁の向こうから声がした。ローブに身を包んだ背の高い男が祭壇の前に立っている様子が画面に映っている。顔は見えないが、間違いなくルークだ。
「ルーク!? なぜお前がそこにっ!?」

 壁の向こうのルークより先にすぐそばにいるライアが答えた。
「本日の講師役ですよ。ははっ、これ以上ないぐらいに適任でしょう?」
 講師役だと? 嫌な予感しかしない。こんなの冗談じゃない。

「儀式の講師役を引き受けたらシュライフェ様には何もしないと言ったのに、騙して……っ」
 壁の向こうからルークの叫びが聞こえた。

「フン、簡単に騙されるお前が悪い。儀式での役割はしっかり果たせよ?さもないと、シュライフェ王子の性器が女性器だと世間にバラすぞ」
 そんなことをバラされたら大変なことになる。

「そ、それだけはっ……」
 台の上で身動きできない俺は情けなく声を出すことしかできない。

「さあ、もう参加者が来るぞ。準備しろ」
 い、嫌だ。同級生たちに丸出しの秘部を見られるなんて……、何たる屈辱だ……。
 憤慨するあまり、俺の体はガタガタと震えていた。

「そんなに怯えないでくださいよ、王子様。参加者にはこの体が誰のものかなんてわかりはしない。ははっ、声を出さなければね」
 ガヤガヤと複数の人が話す声と足音が壁の向こうから聞こえてきた。モニターには貴族学校時代に見慣れた人物たちの姿が映っている。

 俺はライアを睨みつけた。こんなことをしてタダで済むと思うなと必死に視線で抗議した。
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