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第五章 狂気の儀式
29.拘束※
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成人の儀式は口外することを禁じられた秘儀であり、参加した上流階級の新成人の男以外は儀式の内容を知らないのだ。もちろん俺も儀式がどんなものか詳しくは知らないが、噂には何やら「大人の紳士」になるための教育がされると聞いていた。
この国でのイベントごとは大体、講師役を招いて退屈な話を聞いた後、酒を飲んだり食事をしたりしてお開きになる。だから、今回の儀式もその手のものだと思って、俺は貴族学校時代の同窓会にでも参加するような軽い気持ちでいたのだが。
隈の深い顔でライアがニヤニヤしているのを見ると、なんだか不安になってきて心がざわつく。
「成人の儀式って何をするんだ? お前も参加者なのか?」
「こう見えて僕はとうの昔に成人していますし、そもそも儀式に参加できる立派な家の出じゃないものですから。魔術師として今回の儀式の責任者に任命されたので、これまで以上の素晴らしい儀式にしたいと考えているんですよ」
ぱっとライアが俺の目の前に手を出し、呪文のようなものを唱えた。
術をかける気か!?
逃げたくても体が固まって逃げられない。そうしている間に意識が遠のいていた。
***
目が覚めると俺はどこかの地下室だろうか、窓がなくてコンクリートが打ちっぱなしになっている壁に囲まれた小さな部屋の中にいた。
台の上に仰向けに寝かされていて、腰も手足もしっかり固定されていて体を動かすことが全くできない。
「……っ」
奇妙なことに俺の腹から下はコンクリートの壁に開いた穴の向こうにあって、どんな状況なのか見ることができない。しかし足や股間が嫌にスースーする。多分下半身に何も身につけていないのだろう。足をM字に開いた状態で拘束されていた。
コンクリートの部屋のドアが開いた。入って来たのは白黒頭のライアだ。
「ご気分いかがです?」
ニヤニヤ笑うその顔に向かって俺は怒鳴った。
「おい、これは一体何のまねだっ!」
「そんなに怖い声を出さないでください。今日は王族・貴族のお坊ちゃまたちが大人の扉を開く大事な儀式ですからね。せっかくなのでシュライフェ様のアソコを少しばかり使わせてもらおうと思っているだけですよ」
「な、何だと……っ!? 何をするつもりだっ!」
俺のアソコを使うって、一体何に……?
「何も知らなずに育った良家のお坊ちゃまたちに女性器の構造をお教えするのです」
参加者たちに晒す気か!?
「じょ、冗談じゃないっ!」
この儀式に参加する男たちは貴族学校の同級生たちだ。
俺は学生時代、王太子として恥じぬように常に一番優秀な生徒であり続けた。試験はいつも一番だったし、馬術や剣術でも右に出るものはいなかった。優秀でプライドの高い子供揃いの学校なのでその地位を維持するのには相当の苦労があったし、俺の優秀さに嫉妬の炎を燃やす同級生も少なくなかった。
俺にとって貴族学校の同級生たちは仲のよい友人なんかじゃなく、ライバルだったのだ。だからそんな奴らに俺のこんな姿を見られるぐらいなら、死んだ方がマシだ。
「拘束を解け! この国の王太子であるこの俺にこんな仕打ち……」
この国でのイベントごとは大体、講師役を招いて退屈な話を聞いた後、酒を飲んだり食事をしたりしてお開きになる。だから、今回の儀式もその手のものだと思って、俺は貴族学校時代の同窓会にでも参加するような軽い気持ちでいたのだが。
隈の深い顔でライアがニヤニヤしているのを見ると、なんだか不安になってきて心がざわつく。
「成人の儀式って何をするんだ? お前も参加者なのか?」
「こう見えて僕はとうの昔に成人していますし、そもそも儀式に参加できる立派な家の出じゃないものですから。魔術師として今回の儀式の責任者に任命されたので、これまで以上の素晴らしい儀式にしたいと考えているんですよ」
ぱっとライアが俺の目の前に手を出し、呪文のようなものを唱えた。
術をかける気か!?
逃げたくても体が固まって逃げられない。そうしている間に意識が遠のいていた。
***
目が覚めると俺はどこかの地下室だろうか、窓がなくてコンクリートが打ちっぱなしになっている壁に囲まれた小さな部屋の中にいた。
台の上に仰向けに寝かされていて、腰も手足もしっかり固定されていて体を動かすことが全くできない。
「……っ」
奇妙なことに俺の腹から下はコンクリートの壁に開いた穴の向こうにあって、どんな状況なのか見ることができない。しかし足や股間が嫌にスースーする。多分下半身に何も身につけていないのだろう。足をM字に開いた状態で拘束されていた。
コンクリートの部屋のドアが開いた。入って来たのは白黒頭のライアだ。
「ご気分いかがです?」
ニヤニヤ笑うその顔に向かって俺は怒鳴った。
「おい、これは一体何のまねだっ!」
「そんなに怖い声を出さないでください。今日は王族・貴族のお坊ちゃまたちが大人の扉を開く大事な儀式ですからね。せっかくなのでシュライフェ様のアソコを少しばかり使わせてもらおうと思っているだけですよ」
「な、何だと……っ!? 何をするつもりだっ!」
俺のアソコを使うって、一体何に……?
「何も知らなずに育った良家のお坊ちゃまたちに女性器の構造をお教えするのです」
参加者たちに晒す気か!?
「じょ、冗談じゃないっ!」
この儀式に参加する男たちは貴族学校の同級生たちだ。
俺は学生時代、王太子として恥じぬように常に一番優秀な生徒であり続けた。試験はいつも一番だったし、馬術や剣術でも右に出るものはいなかった。優秀でプライドの高い子供揃いの学校なのでその地位を維持するのには相当の苦労があったし、俺の優秀さに嫉妬の炎を燃やす同級生も少なくなかった。
俺にとって貴族学校の同級生たちは仲のよい友人なんかじゃなく、ライバルだったのだ。だからそんな奴らに俺のこんな姿を見られるぐらいなら、死んだ方がマシだ。
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