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第一章 18歳の誕生パーティー
3.俺はもう……
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「シュライフェ様っ!」
石像のように固まっていたルークの魔法が解けて、彼が俺に駆け寄った。そして二階のバルコニーから体を投げ出そうとしていた俺を押さえつけた。
「放せ、ルークっ!」
「落ち着いてください、落ちたら死にますよ。それに間もなく人が来ますっ! こんな格好を見られたら」
ルークの言う通りだ。俺は下着とズボンをずり上げて、床に落ちていた革のベルトを締めた。
そうしている間に魔女の姿は見えなくなってしまった。
魔女がいなければ俺のイチモツはこのままか!? そんなの冗談じゃない! 一体どうすれば……。
「くそっ、逃げられたじゃないかっ!」
やり場のない怒りを、俺はルークに八つ当たりした。
「……ひとまずシュライフェ様のお命が無事で何よりです」
「無事なもんかっ! どうしてくれる、この役立たずがっ! 従者だったらしっかり主を守れよっ!」
ルークだって石像のようにされていたのだから、助けることができなかったのはわかっている。俺と同等かそれ以上に美男子であり、確かな剣の腕前を持つルークへの嫉妬をここぞとばかりにぶつけたのだ。
「申し訳ございません」
言い訳一つせず素直に頭を下げる、こいつの性格の良さも鼻につく。
それから遅れて警護隊がやって来た。
「シュライフェ様っ! ……お怪我はっ!」
警護隊長がルークに尋ねたが、俺はルークより先に自分で返事をした。
「案ずるな。俺は何ともない」
性器を奪われたことをルークに口外されたくなかったのだ。
この事実が誰かに知れたらきっと大変なことになると思った。
男性器がなければ子孫を残せない。そんな奴が次期国王として認められるわけがない。俺はもう王太子ではいられなくなるだろう。
「シュライフェッ!」
「ああ、無事なのねっ!」
国王と王妃である父と母もすぐに俺の元へ駆けつけた。
「晩餐会の会場に魔女が現れて、あなたに呪いをかけると言い出したからお母様はもう心配で心配で。大事な王太子のあなたに何かあったらと思うと、生きた心地がしなかったわ」
昔から病弱な母上は細い腕で俺を抱きしめて涙した。
母上は俺の性器がなくなったと知ったら、きっとショックで寝込んでしまうだろう。
「シュライフェ様、ご無事で何よりでございます……」
会場へ戻ると、宴の参加者たちは一見元気な俺の姿を見て安堵していた。
「せっかくの会だが、今夜のところはこれでお開きにしよう」
魔女の乱入騒ぎによって混乱が起き、会は予定より早く終わることとなった。
俺としても助かった。魔女に術をかけられてしまったことが気になって、もう宴どころではないのだから。
石像のように固まっていたルークの魔法が解けて、彼が俺に駆け寄った。そして二階のバルコニーから体を投げ出そうとしていた俺を押さえつけた。
「放せ、ルークっ!」
「落ち着いてください、落ちたら死にますよ。それに間もなく人が来ますっ! こんな格好を見られたら」
ルークの言う通りだ。俺は下着とズボンをずり上げて、床に落ちていた革のベルトを締めた。
そうしている間に魔女の姿は見えなくなってしまった。
魔女がいなければ俺のイチモツはこのままか!? そんなの冗談じゃない! 一体どうすれば……。
「くそっ、逃げられたじゃないかっ!」
やり場のない怒りを、俺はルークに八つ当たりした。
「……ひとまずシュライフェ様のお命が無事で何よりです」
「無事なもんかっ! どうしてくれる、この役立たずがっ! 従者だったらしっかり主を守れよっ!」
ルークだって石像のようにされていたのだから、助けることができなかったのはわかっている。俺と同等かそれ以上に美男子であり、確かな剣の腕前を持つルークへの嫉妬をここぞとばかりにぶつけたのだ。
「申し訳ございません」
言い訳一つせず素直に頭を下げる、こいつの性格の良さも鼻につく。
それから遅れて警護隊がやって来た。
「シュライフェ様っ! ……お怪我はっ!」
警護隊長がルークに尋ねたが、俺はルークより先に自分で返事をした。
「案ずるな。俺は何ともない」
性器を奪われたことをルークに口外されたくなかったのだ。
この事実が誰かに知れたらきっと大変なことになると思った。
男性器がなければ子孫を残せない。そんな奴が次期国王として認められるわけがない。俺はもう王太子ではいられなくなるだろう。
「シュライフェッ!」
「ああ、無事なのねっ!」
国王と王妃である父と母もすぐに俺の元へ駆けつけた。
「晩餐会の会場に魔女が現れて、あなたに呪いをかけると言い出したからお母様はもう心配で心配で。大事な王太子のあなたに何かあったらと思うと、生きた心地がしなかったわ」
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母上は俺の性器がなくなったと知ったら、きっとショックで寝込んでしまうだろう。
「シュライフェ様、ご無事で何よりでございます……」
会場へ戻ると、宴の参加者たちは一見元気な俺の姿を見て安堵していた。
「せっかくの会だが、今夜のところはこれでお開きにしよう」
魔女の乱入騒ぎによって混乱が起き、会は予定より早く終わることとなった。
俺としても助かった。魔女に術をかけられてしまったことが気になって、もう宴どころではないのだから。
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