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31.執事のたしなみ※

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 体と体があまりに激しくぶつかり合うので、次第にパンッ、パンッと乾いた音までしてきた。

「はあっ、……はああぁっ、……イクうッ」

 エドワードは腰の動きを止めて、私の強い締め付けに耐えた。

 快感があまりに強すぎて釣り上げられた魚みたいに口をパクパクさせる私が落ち着くまで、彼は優しい眼差しで私を見つめていた。

「……いいわ、あなた。可愛い顔して、相当遊んでいるのねっ」

「ふふ、これは執事としての仕事の一部として身に着けた技術でございます。家令である父から教えを受けました」

「アルフレッドから?」

 まじめで厳しい彼らの父親が息子にこんなことを教えるなんて意外だった。

「はい、望まれれば奥様やお姉様の性欲処理のお相手をすることもございますし、屋敷で働く優秀なメイドが辞めたがった場合わたくしが体を使って引き留めることもございます。後ろを使って旦那様やお兄様、屋敷で働く者の欲求を満たすこともございます」

 微笑みながらエドワードは平然と言ってのけた。

「セックスが執事の仕事のうちだとすると、じゃあなんでスチュアートはつい先日まで童貞だったの?」

 彼はドMで早漏だから戦力外なのか。

「仕事のうちというよりあくまでわたくしが望んで身に着けただけで、執事だから絶対にやらなければならないというものではございません。わたくしは自分の体を使って屋敷内の平穏を保てるのであれば、使わない手はないと考えているのです」

「へー、見上げた献身ぶりね」

 エドワードは膣内に挿れたままものをぴくんと大きくしながら、私の耳元へ唇を寄せた。

「まあそれは表向きの理由でございます。……わたくしがこれまで淡々と閨技ケイギを磨いてきたのはただ一人マリアンヌ様のためでございます。わたくしはずっと昔からマリアンヌ様を心の中では誰よりお慕いしております。ですからわたくしにとって今夜は特別な夜でございます」

 目の下を赤らめて彼は苦しい胸の内を打ち明けるような表情を見せ一瞬キュンとときめいたが、こんなもの彼にとってはいつものリップサービスなのだと思った。

「……ところでお嬢様、もしこの場にスチュアートが帰ってまいりましたらどういたしますか?」

「そうねぇ、見せつけてあげるのもいいかもしれないわ。彼はこんな上質なセックスなんて知らないでしょうから」

 私の顔を斜めに覗き込んでいた彼はそのヘーゼル色の美しい瞳を使用人部屋へ繋がるドアの方へ向けた。
 行為に夢中で気が付かなかったが、ドアの内側にスチュアートが立っていた。

「あら、帰っていたのね」

 私は淡々とした声でスチュアートに言った。
 最も理想的な展開に胸が高鳴った。

「はい、ノック致しましたが返事がない上に中から微かな声が聞こえましたので……、その……」
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