16 / 38
16.交換条件※
しおりを挟む
私は伸ばしていた細く長い足を組んで、
「あなた、今すぐズボンを脱いで私の見ている前でオナニーなさい」
と口角を上げて言った。
予想していなかったことを言われてスチュアートは驚きのあまり見開いた黒い瞳を揺らし、しばらく黙ってから答えた。
「お嬢様、先日も申し上げました通り、そういった品位に欠ける発言はお慎みください」
「そんな説教はいらないわ。あなたこの前、私の見ている前で夢精したのをもう忘れたの?」
彼は全く動揺する様子を見せず、ふぅ、と小さく息を吐いてから、堂々とした声で話し始めた。
「……いいえ、覚えております。先日は不覚にもお見苦しい姿を晒してしまいましたこと、大変申し訳なく思っております。しかしお嬢様の見ている前で自慰など致しかねます」
「じゃあ何? 今夜もいやらしい夢を見て下着を汚すつもり? どうせあれから三日、一度も抜いてないんでしょう」
スチュアートは視線を逸らさず、硬い表情のまま黙り込んだ。
「二十六歳にもなって思春期の子供のように頻繁に夢精するなんてみっともないわ。あなたは私の執事なのだから、そんなんじゃ困るのよ」
みっともないと言った瞬間、彼の眉がぴくっと震えた。
「例えお嬢様の指示であれ、わたくしには出来ることと出来ないことがございます」
どうやら折れないつもりのようだ。こうなると彼はとことん意地になるだろう。
私は嬉しくて内心ゾクゾクしながら椅子から立ち上がった。
「そう、じゃあ仕方ないわ」
ドレッサーの引き出しから金属でできた犬の口輪のような形状の筒を取り出した。
「それは……」
萎えた男性器にぴったりとはまる形と大きさのそれを見て、彼はゴクッと喉を鳴らしながら、顔色をわずかに曇らせた。これが男性用の貞操帯だと知っているのだろう。
「あなたがオナニーしたいと泣いてすがるようにしてあげるわ」
私が笑うと彼は顔を引きつらせたが、瞳の奥は甘く揺らいでいる。やはり彼は本物のM男だと私は確信した。
弱いものいじめは私の趣味ではない。私はあくまで相手のマゾとしてのポテンシャルを引き出して、日常では満たされない最大限の快感を与えることに喜びを感じるのだから。
「ズボンと下着を下ろしなさい」
「致しかねます」
この期に及んで彼は私をキッと睨みつけた。絶対に脱がない気だろう。
「ねえ、スチュアート。あなた家令になりたいそうね?」
図星なのだろう、彼の目が再び大きく見開かれた。
「あなたは大事な時期に私の世話係になったことで焦っているのでしょう? でもね、いつだってピンチはチャンスよ」
「……何をおっしゃりたいのでしょうか」
スチュアートは私の話に興味を示した。
「ねえ、想像してみて、あなたが私の世話係になった途端、夜な夜な派手に遊んでいた私が淑女になったとしたら、私のお父様もアルフレッドもあなたを大きく評価すると思わない? もしも、あなたがもっと私に従順になるのなら、今後は舞踏会にもパーティーにも行かずに夜は家で大人しくしていると約束するわ」
私が転生する前の派手好きのマリアンヌが頻繁に夜遅くまで舞踏会やパーティーに出かけていたことに彼らが困り果てていることを、最初に彼から聞いて知っていた。
「従順に、とは具体的に……、どうすれば……」
恐る恐る尋ねる彼に、私はふふっと笑いながら手にした貞操帯を自分の顔の横で揺らして見せた。
「私に従順になった証にこれを二週間つけて」
「あなた、今すぐズボンを脱いで私の見ている前でオナニーなさい」
と口角を上げて言った。
予想していなかったことを言われてスチュアートは驚きのあまり見開いた黒い瞳を揺らし、しばらく黙ってから答えた。
「お嬢様、先日も申し上げました通り、そういった品位に欠ける発言はお慎みください」
「そんな説教はいらないわ。あなたこの前、私の見ている前で夢精したのをもう忘れたの?」
彼は全く動揺する様子を見せず、ふぅ、と小さく息を吐いてから、堂々とした声で話し始めた。
「……いいえ、覚えております。先日は不覚にもお見苦しい姿を晒してしまいましたこと、大変申し訳なく思っております。しかしお嬢様の見ている前で自慰など致しかねます」
「じゃあ何? 今夜もいやらしい夢を見て下着を汚すつもり? どうせあれから三日、一度も抜いてないんでしょう」
スチュアートは視線を逸らさず、硬い表情のまま黙り込んだ。
「二十六歳にもなって思春期の子供のように頻繁に夢精するなんてみっともないわ。あなたは私の執事なのだから、そんなんじゃ困るのよ」
みっともないと言った瞬間、彼の眉がぴくっと震えた。
「例えお嬢様の指示であれ、わたくしには出来ることと出来ないことがございます」
どうやら折れないつもりのようだ。こうなると彼はとことん意地になるだろう。
私は嬉しくて内心ゾクゾクしながら椅子から立ち上がった。
「そう、じゃあ仕方ないわ」
ドレッサーの引き出しから金属でできた犬の口輪のような形状の筒を取り出した。
「それは……」
萎えた男性器にぴったりとはまる形と大きさのそれを見て、彼はゴクッと喉を鳴らしながら、顔色をわずかに曇らせた。これが男性用の貞操帯だと知っているのだろう。
「あなたがオナニーしたいと泣いてすがるようにしてあげるわ」
私が笑うと彼は顔を引きつらせたが、瞳の奥は甘く揺らいでいる。やはり彼は本物のM男だと私は確信した。
弱いものいじめは私の趣味ではない。私はあくまで相手のマゾとしてのポテンシャルを引き出して、日常では満たされない最大限の快感を与えることに喜びを感じるのだから。
「ズボンと下着を下ろしなさい」
「致しかねます」
この期に及んで彼は私をキッと睨みつけた。絶対に脱がない気だろう。
「ねえ、スチュアート。あなた家令になりたいそうね?」
図星なのだろう、彼の目が再び大きく見開かれた。
「あなたは大事な時期に私の世話係になったことで焦っているのでしょう? でもね、いつだってピンチはチャンスよ」
「……何をおっしゃりたいのでしょうか」
スチュアートは私の話に興味を示した。
「ねえ、想像してみて、あなたが私の世話係になった途端、夜な夜な派手に遊んでいた私が淑女になったとしたら、私のお父様もアルフレッドもあなたを大きく評価すると思わない? もしも、あなたがもっと私に従順になるのなら、今後は舞踏会にもパーティーにも行かずに夜は家で大人しくしていると約束するわ」
私が転生する前の派手好きのマリアンヌが頻繁に夜遅くまで舞踏会やパーティーに出かけていたことに彼らが困り果てていることを、最初に彼から聞いて知っていた。
「従順に、とは具体的に……、どうすれば……」
恐る恐る尋ねる彼に、私はふふっと笑いながら手にした貞操帯を自分の顔の横で揺らして見せた。
「私に従順になった証にこれを二週間つけて」
1
お気に入りに追加
112
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる