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2-1.結婚準備
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~ここからアレクサンダー視点~
一度は死んだとされていた国王である父上と俺は、ルイスの国王即位式典で復活し、国民の前で悪の王妃を断罪した。
俺の母を殺し俺のことも暗殺しようとしていた憎き王妃への復讐を、俺はついに成し遂げたのだ。
こういう結果を迎えられたのは、王妃から俺を暗殺するよう命令を受けていながら、どうにか俺を生かそうと父親に知恵を借り奔走してくれた執事のベンジャミンのおかげだ。
だから彼には感謝してもしきれない恩があるわけだが……。
「シャルロッテ様、とってもお似合いでございますよ」
ウエディングドレスに身を包んだシャルロッテにベンジャミンが微笑みかけていた。
「どれが一番いいかしら?」
「どちらも甲乙つけがたいほどお似合いです。シャルロッテ様が一番お気に召したのはどちらでございますか?」
「うーん、どれも素敵で迷ってるの。ベンジャミンが決めて」
えっ! と驚いた顔をしたベンジャミンに、
「ねぇ、お願い……」
とシャルロッテは上目遣いで頼み込む。
「そうでございますね……、わたくしの好みは今ご試着なされているドレスでございますかね。シャルロッテ様のお美しいボディラインをより引き立てるデザインでございますし、何より後ろ姿がとても素敵でございます」
ベンジャミンは大きめの鏡を持って、姿見に映ったシャルロッテの後ろ姿を映して見せた。
「本当ね、自分じゃ後ろのデザインまでわからなかったわ。このドレスにするわ。ベンジャミンに見立ててもらってよかった」
シャルロッテはきゃっきゃと大げさなほど喜んだ。
「それはよろしゅうございました。ブーケやアクセサリー、夜のパーティーで着られるドレスなど、まだまだお選びいただくものがたくさんございますよ」
「じゃあみんなベンジャミンに一緒に見て決めてもらえないかしら?」
「もちろんでございます」
「嬉しいわ」
おい、何なんだよっ! そんなに幸せそうに笑い合って、まるでお前らが結婚するみたいじゃないかっ!
俺たちは大急ぎで結婚式の準備を進めているのだが、5年ぶりに城に戻った俺はバタバタと忙しかった。だから彼女がウエディングドレスを決めるのを手伝ってやってほしいと今朝ベンジャミンに頼んだのは、他ならぬ俺だったのだが……。
こんなことぐらいで本気でベンジャミンに嫉妬なんてしていない。
しかし俺が見ていないシャルロッテの色んなドレス姿をベンジャミンは見たのか……。そもそも二人はいつの間にあんなに親密なったのか……。
一度は死んだとされていた国王である父上と俺は、ルイスの国王即位式典で復活し、国民の前で悪の王妃を断罪した。
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だから彼には感謝してもしきれない恩があるわけだが……。
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「うーん、どれも素敵で迷ってるの。ベンジャミンが決めて」
えっ! と驚いた顔をしたベンジャミンに、
「ねぇ、お願い……」
とシャルロッテは上目遣いで頼み込む。
「そうでございますね……、わたくしの好みは今ご試着なされているドレスでございますかね。シャルロッテ様のお美しいボディラインをより引き立てるデザインでございますし、何より後ろ姿がとても素敵でございます」
ベンジャミンは大きめの鏡を持って、姿見に映ったシャルロッテの後ろ姿を映して見せた。
「本当ね、自分じゃ後ろのデザインまでわからなかったわ。このドレスにするわ。ベンジャミンに見立ててもらってよかった」
シャルロッテはきゃっきゃと大げさなほど喜んだ。
「それはよろしゅうございました。ブーケやアクセサリー、夜のパーティーで着られるドレスなど、まだまだお選びいただくものがたくさんございますよ」
「じゃあみんなベンジャミンに一緒に見て決めてもらえないかしら?」
「もちろんでございます」
「嬉しいわ」
おい、何なんだよっ! そんなに幸せそうに笑い合って、まるでお前らが結婚するみたいじゃないかっ!
俺たちは大急ぎで結婚式の準備を進めているのだが、5年ぶりに城に戻った俺はバタバタと忙しかった。だから彼女がウエディングドレスを決めるのを手伝ってやってほしいと今朝ベンジャミンに頼んだのは、他ならぬ俺だったのだが……。
こんなことぐらいで本気でベンジャミンに嫉妬なんてしていない。
しかし俺が見ていないシャルロッテの色んなドレス姿をベンジャミンは見たのか……。そもそも二人はいつの間にあんなに親密なったのか……。
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