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第六章 聖女の浄化魔法
32.私の考え
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「本当にヤって大丈夫だったのかな? アイネの考えって何?」
「シエラは気にしなくていいのよ」
しばらくして小屋まで歩いて帰る時、シエラはしきりに心配していた。
いくら性欲促進剤を飲まされていたとはいえ、私にがっついたことを後悔しているようだった。
本当は「考えがある」なんて口から出まかせだった。
私はただ、シエラと愛し合いたかったのだ。
シエラと交わったことによってサキュバスになったり、魔王を妊娠したりしたらその時は潔く死んでしまおうと思った。
「考え」があるならそれだけだ。
シエラとセックス出来たことはとても幸せで、自分の命と引き換えにしたって後悔はない。
本当は彼の呪いを解ければ最高だったが、その方法は今も思いつかない。
そもそも処女を失った私はもう聖女ではないのだろうけれど。
どのタイミングでサキュバスになるのか魔王を妊娠がわかるのかは知らないが、自分は元聖女だ。
せめて自我を失う前に死ぬことが出来るという強い自信があった。
小屋に帰って体を清めて服を着終わった後、入口の扉が激しく叩かれた。
「私よ、ヘレンよ」
凛としたマザーヘレンの声だった。
シエラがドアを開けると、訪問者はマザーヘレン、老婆の姿のレベッカさん、いつか悪魔の呪いの話をしてくれた賢者様だった。
賢者様は私の手を取って瞳をじっと見つめた。
「はあ、間違いない、このオーラは本物の聖女だ」
マザーヘレンはとても嬉しそうに微笑んで、
「ふふ、私の予想通りでしたでしょう」
と誇らしそうに言った。
私はとても申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
言いづらかったがいずれバレることなので、勇気を出して告白した。
「ごめんなさい、確かに私は聖女の能力が開眼したみたいでした。でも、それから誓いを破り貞潔を失いました。だからもう聖女でもない上に、ただのシスターでいることすら出来ないのです」
賢者様とマザーヘレンは目を合わせ、魔女のレベッカさんは、
「ちょっと失礼」
とシエラのベルトに手をかけて、少々乱暴にズボンと下着を性器が見えそうなギリギリまで下ろした。
レベッカさんは彼の下腹部を撫で何やら呪文を唱えたが、
「おお、何も出ない、呪いは消えておるぞ」
と言った。
「ふむ、つまり聖女はこの子と性交することで、呪いの浄化を行ったわけですね」
賢者様が白いひげを撫でた。
「さすがです、シスターアイネ、いや聖女アイネ。聖女は回復の能力が強く処女膜を自己再生できますから、普通の修道女ほど純潔を意識する必要はないのです。もちろん低俗な悪魔の呪いを受けることも自分の意思に反して妊娠することもありません」
なんだ、そうだったのか。私はひどく安堵して倒れそうになったが、
「なんだ、アイネは呪いを解く方法を知っていたんだね」
とシエラは照れ笑いした。
「シエラは気にしなくていいのよ」
しばらくして小屋まで歩いて帰る時、シエラはしきりに心配していた。
いくら性欲促進剤を飲まされていたとはいえ、私にがっついたことを後悔しているようだった。
本当は「考えがある」なんて口から出まかせだった。
私はただ、シエラと愛し合いたかったのだ。
シエラと交わったことによってサキュバスになったり、魔王を妊娠したりしたらその時は潔く死んでしまおうと思った。
「考え」があるならそれだけだ。
シエラとセックス出来たことはとても幸せで、自分の命と引き換えにしたって後悔はない。
本当は彼の呪いを解ければ最高だったが、その方法は今も思いつかない。
そもそも処女を失った私はもう聖女ではないのだろうけれど。
どのタイミングでサキュバスになるのか魔王を妊娠がわかるのかは知らないが、自分は元聖女だ。
せめて自我を失う前に死ぬことが出来るという強い自信があった。
小屋に帰って体を清めて服を着終わった後、入口の扉が激しく叩かれた。
「私よ、ヘレンよ」
凛としたマザーヘレンの声だった。
シエラがドアを開けると、訪問者はマザーヘレン、老婆の姿のレベッカさん、いつか悪魔の呪いの話をしてくれた賢者様だった。
賢者様は私の手を取って瞳をじっと見つめた。
「はあ、間違いない、このオーラは本物の聖女だ」
マザーヘレンはとても嬉しそうに微笑んで、
「ふふ、私の予想通りでしたでしょう」
と誇らしそうに言った。
私はとても申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
言いづらかったがいずれバレることなので、勇気を出して告白した。
「ごめんなさい、確かに私は聖女の能力が開眼したみたいでした。でも、それから誓いを破り貞潔を失いました。だからもう聖女でもない上に、ただのシスターでいることすら出来ないのです」
賢者様とマザーヘレンは目を合わせ、魔女のレベッカさんは、
「ちょっと失礼」
とシエラのベルトに手をかけて、少々乱暴にズボンと下着を性器が見えそうなギリギリまで下ろした。
レベッカさんは彼の下腹部を撫で何やら呪文を唱えたが、
「おお、何も出ない、呪いは消えておるぞ」
と言った。
「ふむ、つまり聖女はこの子と性交することで、呪いの浄化を行ったわけですね」
賢者様が白いひげを撫でた。
「さすがです、シスターアイネ、いや聖女アイネ。聖女は回復の能力が強く処女膜を自己再生できますから、普通の修道女ほど純潔を意識する必要はないのです。もちろん低俗な悪魔の呪いを受けることも自分の意思に反して妊娠することもありません」
なんだ、そうだったのか。私はひどく安堵して倒れそうになったが、
「なんだ、アイネは呪いを解く方法を知っていたんだね」
とシエラは照れ笑いした。
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