【R-18】聖女は悪魔の呪いで一生童貞なイケメン勇者を救いたい【完結】

衣草 薫

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第五章 闇の教団

25.司祭様

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 シエラが学校から帰るのを待って、森の泉の女神様が見せてくれた闇の教団の魔王復活の儀式の話をした。
 魔王を産むのは私だということを。

「なんてことだ……、俺とセックスした相手はサキュバスになるだけでなく魔王を産むっていうのか?」

 シエラは驚きを隠せない様子だった。

「おまけにその儀式には司祭様とシスタージュリエッタがいたのよ、彼らは闇の教団の信者なのかしら」

「うーん、実は俺もあの司祭はおかしいと思っていたんだ。他の町の孤児院にいた時、俺がここの孤児院に入りたいと希望を出すなり是非うちの孤児院に来いと喜んで迎えに来たんだ。俺には変な噂があったから孤児院同士が押しつけ合う様子は散々見たけど、喜んで引き取るなんて変だと思ったんだ」

 シエラはやっぱりなという顔をしたけれど、それでも私はどうしても優しい司祭様が闇の教団の関係者とは思えなかった。

「シエラはなぜここの孤児院に入りたいと思ったの?」

 シエラはやけに照れながら答えた。

「そ、それは……、レベッカさんが俺の呪いを解けるのは聖女だけだって教えてくれて、ちょうどその頃アイネの噂を聞いたから、聖女のうつわの人のそばに行きたいなって……聖女になったら呪いを解いてほしくて」

「あら、そうだったの」

 私が本当に聖女になれそうなことも、聖女がシエラの呪いを解けることも、私は最近知ったことばかりだ。

「俺に呪いをかけたのは魔王復活を目論む闇の教団に違いないんだ。とりあえずあの司祭に鎌をかけてみよう」

 シエラと一緒に、作戦を練ることにした。



 夜になって私は聖堂に向かい、いつものようにひざまずいて、ひたすら祈っていた。

「シスターアイネ、熱心ですね」

 司祭様が優しい声で話しかけてきた。

「どうですか、最近は」

 私は笑顔の司祭様に悲しい顔をして見せた。

「実は司祭様にご相談したいのですが……」

 ありのまま自分の罪を打ち明けるように、わざと少し躊躇って、

「実は私、シエラの母代わりを辞めたいと思っているのです」

 と切り出した。

 司祭様は目を丸くして言った。

「なぜですか。僕はあなたを信頼して彼を託したのに」

「わがままな彼に付き合うのはもう疲れてしまって、彼と離れたいのです。とにかく今すぐ私はあの小屋を出たいのです」

 ムッとした顔で司祭様が私を睨み、

「なにを勝手なことを……」

 わなわなと震えながら怒り口調で言った後、彼は急に口角を上げていつものように穏やかに微笑み、

「いえ、……神から与えられし役目を果たさないあなたには、相応の罰を受けてもらいます」
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