【R-18】聖女は悪魔の呪いで一生童貞なイケメン勇者を救いたい【完結】

衣草 薫

文字の大きさ
上 下
20 / 34
第四章 最悪の未来

19.呪いを解けるのは……

しおりを挟む
 中にはピンク色の筒状のものが入っていた。
 手に取ってみるとプルプルと柔らかいそれは、貫通している穴の片側が何やら妖しい形をしている。
 花のようにも貝のようにも見ようと思えば見えなくはないけど、たぶんそれは女性の淫花なのではないかなと思った。
 穴の中を覗くと色々な凹凸があり、場所によって狭くなったり広くなったりしている。

「これは……、もしや、女性の……?」

 顔を熱くして困る私の反応を見てレベッカさんはニヤニヤと楽しそうに顔を歪めた。

「そうじゃ。あの子の辛抱がきかん日はそれで慰めてやれば落ち着くはずじゃ」

 これを女性器代わりに彼のあそこにはめるのか。
 想像して私は火が出そうなほど顔が熱くなった。

 こんなもので彼のあれを扱いたら耐性のない彼はまたとろとろになって悦ぶだろう。
 先日の彼のとろけた顔を思い出して私の心臓は激しい鼓動が静まらない。



 彼女はハーブティーを一口飲んでから続けた。

「知っているとは思うが、あの子とは決して交わってはならんからのう」

「サキュバスになってしまうからですよね」

「……ん? お前さん、何も聞いておらんのか?」

 レベッカさんは目を丸くして驚いていた。

「彼の呪いが特殊で解けないってことは聞きましたけど……」

「確かにそうじゃ。悪魔の呪いを解くために一般的な魔法陣を書いて呪文を唱える方法は散々試したんじゃ。わしはその方法で何人もの悪魔の呪いにかけられた人々を救ってきたが、あの子の呪いはそれでは解けなかった。それで普通の悪魔の呪いよりも邪悪で強力な呪いだと気付いたんじゃ」



「……シエラはこのまま一生呪われたままなのですか?」

「あの呪いを解けるのは聖女の特別な浄化魔法だけじゃな」

 それを聞いて私は落胆した。この国は何十年も前から聖女が不在なのだ。近隣の国々にもいない。

「では聖女様を探して異国まで旅に出るしかないのですね……」

「いや、危険を冒して探し回っても簡単に聖女は見つからんじゃろう。それよりもお前さんが聖女として能力を開眼させて、あの子の呪いを解く方が手っ取り早いんじゃ」

 修道院のみんなが冗談半分で私を「聖女のうつわ」と呼んでいることを、レベッカさんは知っているのか。

「みんなが勝手に言っているだけで、私が聖女だなんて、そんな……」

「先日お前さんを一目見た時、何やら普通の娘じゃないと感じて魔法の水晶でお前さんの能力を覗かせてもらったんじゃ。お前さんはこの国でただ一人、聖女になる可能性を秘めた逸材じゃ」

 驚いた。まさか私が本当に「聖女のうつわ」だったとは。

「……私、シエラの呪いを解くことが出来るのであれば、聖女になりたいです」

「聖女になるには処女でいることが必須じゃからな、それで何か力になってやろうと今日はそれを持ってきたんじゃ」

 レベッカさんはさっきのピンクの妖しいものの入った袋を指差し、しわの深い顔でにっこりと頷いた。



「さて、そろそろ帰るかの」

 ゆっくりと椅子から立ち上がったレベッカさんは外へ出て、何かゴニョゴニョと呪文を唱えたと思ったら、煙を撒いて若い巨乳魔女の姿になった。

 目を丸くしている私に、

「ふはは、この姿の方が動きやすくてな」

 と言いながら、ムチムチの太ももを丸出しにしてミニスカートでほうきへまたがった。

「また来るでの」

 こちらに投げキッスをしながらウインクをしたと思ったら、あっという間に空へ上がり、町の方向へ飛んで行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

淡泊早漏王子と嫁き遅れ姫

梅乃なごみ
恋愛
小国の姫・リリィは婚約者の王子が超淡泊で早漏であることに悩んでいた。 それは好きでもない自分を義務感から抱いているからだと気付いたリリィは『超強力な精力剤』を王子に飲ませることに。 飲ませることには成功したものの、思っていたより効果がでてしまって……!? ※この作品は『すなもり共通プロット企画』参加作品であり、提供されたプロットで創作した作品です。 ★他サイトからの転載てす★

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

憐れな妻は龍の夫から逃れられない

向水白音
恋愛
龍の夫ヤトと人間の妻アズサ。夫婦は新年の儀を行うべく、二人きりで山の中の館にいた。新婚夫婦が寝室で二人きり、何も起きないわけなく……。独占欲つよつよヤンデレ気味な夫が妻を愛でる作品です。そこに愛はあります。ムーンライトノベルズにも掲載しています。

処理中です...