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第六章 本音
47.信頼
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気がついたら、僕は白い部屋のベッドで寝ていた。どうやらここは病院のようだ。
よかった、生きているんだ。シャンは!?
そう思って周囲を見回すと、すぐ近くの椅子に座って壁に寄りかかるシャンの姿があった。うとうとと眠っている顔は、目から下を布で覆っているいつもの豚人のシャンだった。
「あ、気がついたんですね」
看護師さんが声をかけてきて、シャンもはっと目を開けてこちらを見た。
「タクヤッ! よかった……」
「シャン、無事だったの!? クレス卿は!?」
「周りにいた人が、取り押さえてくれたんだ。俺たちはあれから病院に運ばれて、俺はすぐに回復したんだけど、タクヤが3日も目を覚まさないからずいぶん心配したんだよ」
「すっとそばにいてくれたんだね……」
よかった、僕もシャンも無事で。
それから数日して、僕は退院した。シャンと共に森の家へ歩いて帰った。
歩きながらシャンはクレス卿が殺人未遂の罪で捕らえられたと教えてくれた。穏やかなこの世界では殺人事件なんて滅多に起こらないから、殺人未遂はとんでもなく罪が重いらしい。
「クレス卿は島流しの刑になることが決まったんだよ。たぶんもうこの町に戻ってくることはないよ」
これでもうシャンが危険な目に遭うことはないと思うと安心だ。
でも神様が本当は僕がクレス卿の妻になる運命だったと言っていたことを思い出して僕の心はチクリと痛んだ。なんだかクレス卿に悪いことをした気分だ。
「タクヤ……、俺なんかのためにけがをさせてしまって……」
「俺なんかなんて言わないで。僕はシャンが大事だから、あのとき夢中で……」
シャンが刺されてしまうと思ったとき体が勝手に動いていたんだ。
「……ありがとう」
シャンは照れくさそうに頬を赤くして僕にそう言った。僕はやっぱりシャンが好きだ。
僕は服の上からお腹の短剣が刺さった部分に触れた。
「痛むの?」
「ううん、もうほとんど大丈夫だよ」
もちろんまだ完全には治っていないけど日常生活には支障がないほど回復している。こっちへ転生した当初よりは痩せてきたとはいえ、まだまだ僕のお腹はぽってりと贅肉がついている。その分厚い脂肪の層のおかげで僕は生きていられたのだから太っていたことに感謝だ。
あ、と何かを思い出してシャンが言った。
「そういえばクレス卿は俺のことをグレゴリーさんの鶏を襲った犯人だとして警官たちをうちへ連れて来たことがあったじゃない?」
「うん、そんなこともあったね」
「実はあの夜、グレゴリーさんの鶏を襲ったのはクレス卿だったんだ」
「え、それってシャンに罪をなすり付けようとしたってこと?」
「うん、クレス卿が獄中で激白したんだ」
やっぱりとんでもない男だ。けど、僕はシャンが犯人じゃないって確信していなかった。
何があってもシャンの味方でいようとは思っていたけど、僕は今までシャンを心から信じていなかったんだ。
よかった、生きているんだ。シャンは!?
そう思って周囲を見回すと、すぐ近くの椅子に座って壁に寄りかかるシャンの姿があった。うとうとと眠っている顔は、目から下を布で覆っているいつもの豚人のシャンだった。
「あ、気がついたんですね」
看護師さんが声をかけてきて、シャンもはっと目を開けてこちらを見た。
「タクヤッ! よかった……」
「シャン、無事だったの!? クレス卿は!?」
「周りにいた人が、取り押さえてくれたんだ。俺たちはあれから病院に運ばれて、俺はすぐに回復したんだけど、タクヤが3日も目を覚まさないからずいぶん心配したんだよ」
「すっとそばにいてくれたんだね……」
よかった、僕もシャンも無事で。
それから数日して、僕は退院した。シャンと共に森の家へ歩いて帰った。
歩きながらシャンはクレス卿が殺人未遂の罪で捕らえられたと教えてくれた。穏やかなこの世界では殺人事件なんて滅多に起こらないから、殺人未遂はとんでもなく罪が重いらしい。
「クレス卿は島流しの刑になることが決まったんだよ。たぶんもうこの町に戻ってくることはないよ」
これでもうシャンが危険な目に遭うことはないと思うと安心だ。
でも神様が本当は僕がクレス卿の妻になる運命だったと言っていたことを思い出して僕の心はチクリと痛んだ。なんだかクレス卿に悪いことをした気分だ。
「タクヤ……、俺なんかのためにけがをさせてしまって……」
「俺なんかなんて言わないで。僕はシャンが大事だから、あのとき夢中で……」
シャンが刺されてしまうと思ったとき体が勝手に動いていたんだ。
「……ありがとう」
シャンは照れくさそうに頬を赤くして僕にそう言った。僕はやっぱりシャンが好きだ。
僕は服の上からお腹の短剣が刺さった部分に触れた。
「痛むの?」
「ううん、もうほとんど大丈夫だよ」
もちろんまだ完全には治っていないけど日常生活には支障がないほど回復している。こっちへ転生した当初よりは痩せてきたとはいえ、まだまだ僕のお腹はぽってりと贅肉がついている。その分厚い脂肪の層のおかげで僕は生きていられたのだから太っていたことに感謝だ。
あ、と何かを思い出してシャンが言った。
「そういえばクレス卿は俺のことをグレゴリーさんの鶏を襲った犯人だとして警官たちをうちへ連れて来たことがあったじゃない?」
「うん、そんなこともあったね」
「実はあの夜、グレゴリーさんの鶏を襲ったのはクレス卿だったんだ」
「え、それってシャンに罪をなすり付けようとしたってこと?」
「うん、クレス卿が獄中で激白したんだ」
やっぱりとんでもない男だ。けど、僕はシャンが犯人じゃないって確信していなかった。
何があってもシャンの味方でいようとは思っていたけど、僕は今までシャンを心から信じていなかったんだ。
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