86 / 125
続編 第三章 思い違いと筆責め (怜一郎side)
続20.龍之介の帰宅
しおりを挟む
俺は自宅で一人、ここ数日の出来事を何度も思い出していた。
ずっと憧れだった天真さんと偶然再会したとはいえ、自宅へついて行ったり、怪しげなパーティーに参加したりと少し軽率な行動をしすぎた。大勢の人の前でとんでもない姿を晒してしまったことを思い出すと今でも顔から火が出そうだ。
そもそも俺は現時点では龍之介と結婚しているわけだから、天真さんとのことは「浮気」になる。なんてことだ、この俺がそんな不純な行いをしてしまうだなんて。
でも、このまま龍之介がエリカと子供の元から帰って来なければ、俺はこのまま天真さんと付き合うことになるのだろうか……。
天真さんのセックスは正直、とてつもなく刺激的だった。ここしばらくの欲求不満だった俺の心はすっかり満たされた。
龍之介は日本へ滞在するのは一週間程度だと言っていた。だとしたら明日か明後日には帰って来るのか……。
そんなことを考えていたら、玄関の方でガチャリと鍵が開く音がした。
俺はソファーから飛び起きて、外していた結婚指輪を左手の薬指にはめた。取り繕っても仕方ないのに、なんだかそうしないといけない気がした。
「ただいま帰りました」
龍之介はいつもと変わらず、にこにこと上機嫌だった。
八つ橋の紙袋をお土産だと俺に見せた。
「ずいぶん早かったな」
「ええ。京都の業者と話をつけて、すぐに戻って来ましたから」
「東京へは行かなかったのか? エリカと子供に会いに行くって言っていただろう?」
「え? そんなこと言いましたっけ? 僕は一刻も早く帰って怜一郎さんに会いたかったので、急いで仕事を終わらせてきたんですよ」
あれ、おかしい。
「どうせ日本に行くならエリカと子供に会ってきたらどうだ?」
俺がそう言ったとき龍之介は、
「まあ、……それもいいかもしれませんね」
と確かに言っていたはずなのに……。
「八つ橋食べましょう、宇治茶も買ってきたので」
龍之介は紅茶用のティーポットで緑茶を淹れてくれた。
あんこの入った三角の生八つ橋を俺たちはダイニングのテーブルで食べた。
「どうです、生八つ橋。焼いた八つ橋もいいですが、このニッキ味の生八つ橋、僕大好きで」
「ああ、うまいよ。お茶によく合うな」
俺は心がもやもやしていて味わうどころじゃなかったけど、龍之介がにこにこするから、適当に返事した。
「どうだった? 久しぶりの日本は?」
「ちょうど紅葉の時期で京都の街中は混んでいましたよ」
「どうせなら、ゆっくりしてくればよかったのに。お前、寺院巡りしたいとか言ってなかったか?」
「それは怜一郎さんと一緒だったらの話です。僕は一人旅より誰かと一緒、いや怜一郎さんと一緒がいいんですよ」
俺は龍之介がエリカと子供の元へ行ってしまったと思ったから、そのストレスで天真さんとあんなことをしてしまったというのに、俺の勘違いだったのか? 龍之介は本当にエリカと子供に会っていないのか?
ずっと憧れだった天真さんと偶然再会したとはいえ、自宅へついて行ったり、怪しげなパーティーに参加したりと少し軽率な行動をしすぎた。大勢の人の前でとんでもない姿を晒してしまったことを思い出すと今でも顔から火が出そうだ。
そもそも俺は現時点では龍之介と結婚しているわけだから、天真さんとのことは「浮気」になる。なんてことだ、この俺がそんな不純な行いをしてしまうだなんて。
でも、このまま龍之介がエリカと子供の元から帰って来なければ、俺はこのまま天真さんと付き合うことになるのだろうか……。
天真さんのセックスは正直、とてつもなく刺激的だった。ここしばらくの欲求不満だった俺の心はすっかり満たされた。
龍之介は日本へ滞在するのは一週間程度だと言っていた。だとしたら明日か明後日には帰って来るのか……。
そんなことを考えていたら、玄関の方でガチャリと鍵が開く音がした。
俺はソファーから飛び起きて、外していた結婚指輪を左手の薬指にはめた。取り繕っても仕方ないのに、なんだかそうしないといけない気がした。
「ただいま帰りました」
龍之介はいつもと変わらず、にこにこと上機嫌だった。
八つ橋の紙袋をお土産だと俺に見せた。
「ずいぶん早かったな」
「ええ。京都の業者と話をつけて、すぐに戻って来ましたから」
「東京へは行かなかったのか? エリカと子供に会いに行くって言っていただろう?」
「え? そんなこと言いましたっけ? 僕は一刻も早く帰って怜一郎さんに会いたかったので、急いで仕事を終わらせてきたんですよ」
あれ、おかしい。
「どうせ日本に行くならエリカと子供に会ってきたらどうだ?」
俺がそう言ったとき龍之介は、
「まあ、……それもいいかもしれませんね」
と確かに言っていたはずなのに……。
「八つ橋食べましょう、宇治茶も買ってきたので」
龍之介は紅茶用のティーポットで緑茶を淹れてくれた。
あんこの入った三角の生八つ橋を俺たちはダイニングのテーブルで食べた。
「どうです、生八つ橋。焼いた八つ橋もいいですが、このニッキ味の生八つ橋、僕大好きで」
「ああ、うまいよ。お茶によく合うな」
俺は心がもやもやしていて味わうどころじゃなかったけど、龍之介がにこにこするから、適当に返事した。
「どうだった? 久しぶりの日本は?」
「ちょうど紅葉の時期で京都の街中は混んでいましたよ」
「どうせなら、ゆっくりしてくればよかったのに。お前、寺院巡りしたいとか言ってなかったか?」
「それは怜一郎さんと一緒だったらの話です。僕は一人旅より誰かと一緒、いや怜一郎さんと一緒がいいんですよ」
俺は龍之介がエリカと子供の元へ行ってしまったと思ったから、そのストレスで天真さんとあんなことをしてしまったというのに、俺の勘違いだったのか? 龍之介は本当にエリカと子供に会っていないのか?
16
お気に入りに追加
269
あなたにおすすめの小説
淫らに壊れる颯太の日常~オフィス調教の性的刺激は蜜の味~
あいだ啓壱(渡辺河童)
BL
~癖になる刺激~の一部として掲載しておりましたが、癖になる刺激の純(痴漢)を今後連載していこうと思うので、別枠として掲載しました。
※R-18作品です。
モブ攻め/快楽堕ち/乳首責め/陰嚢責め/陰茎責め/アナル責め/言葉責め/鈴口責め/3P、等の表現がございます。ご注意ください。
出産は一番の快楽
及川雨音
BL
出産するのが快感の出産フェチな両性具有総受け話。
とにかく出産が好きすぎて出産出産言いまくってます。出産がゲシュタルト崩壊気味。
【注意事項】
*受けは出産したいだけなので、相手や産まれた子どもに興味はないです。
*寝取られ(NTR)属性持ち攻め有りの複数ヤンデレ攻め
*倫理観・道徳観・貞操観が皆無、不謹慎注意
*軽く出産シーン有り
*ボテ腹、母乳、アクメ、授乳、女性器、おっぱい描写有り
続編)
*近親相姦・母子相姦要素有り
*奇形発言注意
*カニバリズム発言有り
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
【BL】SNSで人気の訳あり超絶イケメン大学生、前立腺を子宮化され、堕ちる?【R18】
NichePorn
BL
スーパーダーリンに犯される超絶イケメン男子大学生
SNSを開設すれば即10万人フォロワー。
町を歩けばスカウトの嵐。
超絶イケメンなルックスながらどこか抜けた可愛らしい性格で多くの人々を魅了してきた恋司(れんじ)。
そんな人生を謳歌していそうな彼にも、児童保護施設で育った暗い過去や両親の離婚、SNS依存などといった訳ありな点があった。
愛情に飢え、性に奔放になっていく彼は、就活先で出会った世界規模の名門製薬会社の御曹司に手を出してしまい・・・。
男の子たちの変態的な日常
M
BL
主人公の男の子が変態的な目に遭ったり、凌辱されたり、攻められたりするお話です。とにかくHな話が読みたい方向け。
※この作品はムーンライトノベルズにも掲載しています。
浮気をしたら、わんこ系彼氏に腹の中を散々洗われた話。
丹砂 (あかさ)
BL
ストーリーなしです!
エロ特化の短編としてお読み下さい…。
大切な事なのでもう一度。
エロ特化です!
****************************************
『腸内洗浄』『玩具責め』『お仕置き』
性欲に忠実でモラルが低い恋人に、浮気のお仕置きをするお話しです。
キャプションで危ないな、と思った方はそっと見なかった事にして下さい…。
SODOM7日間─異世界性奴隷快楽調教─
槇木 五泉(Maki Izumi)
BL
冴えないサラリーマンが、異世界最高の愛玩奴隷として幸せを掴む話。
第11回BL小説大賞51位を頂きました!!
お礼の「番外編」スタートいたしました。今しばらくお付き合いくださいませ。(本編シナリオは完結済みです)
上司に無視され、後輩たちにいじめられながら、毎日終電までのブラック労働に明け暮れる気弱な会社員・真治32歳。とある寒い夜、思い余ってプラットホームから回送電車に飛び込んだ真治は、大昔に人間界から切り離された堕落と退廃の街、ソドムへと転送されてしまう。
魔族が支配し、全ての人間は魔族に管理される奴隷であるというソドムの街で偶然にも真治を拾ったのは、絶世の美貌を持つ淫魔の青年・ザラキアだった。
異世界からの貴重な迷い人(ワンダラー)である真治は、最高位性奴隷調教師のザラキアに淫乱の素質を見出され、ソドム最高の『最高級愛玩奴隷・シンジ』になるため、調教されることになる。
7日間で性感帯の全てを開発され、立派な性奴隷(セクシズ)として生まれ変わることになった冴えないサラリーマンは、果たしてこの退廃した異世界で、最高の地位と愛と幸福を掴めるのか…?
美貌攻め×平凡受け。調教・異種姦・前立腺責め・尿道責め・ドライオーガズム多イキ等で最後は溺愛イチャラブ含むハピエン。(ラストにほんの軽度の流血描写あり。)
【キャラ設定】
●シンジ 165/56/32
人間。お人好しで出世コースから外れ、童顔と気弱な性格から、後輩からも「新人さん」と陰口を叩かれている。押し付けられた仕事を断れないせいで社畜労働に明け暮れ、思い余って回送電車に身を投げたところソドムに異世界転移した。彼女ナシ童貞。
●ザラキア 195/80/外見年齢25才程度
淫魔。褐色肌で、横に突き出た15センチ位の長い耳と、山羊のようゆるくにカーブした象牙色の角を持ち、藍色の眼に藍色の長髪を後ろで一つに縛っている。絶世の美貌の持ち主。ソドムの街で一番の奴隷調教師。飴と鞭を使い分ける、陽気な性格。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる