28 / 32
天上の青持つ最愛の君
01.あの日の青
しおりを挟む
彼女と出会ったのは、ぼくがまだ十にも満たないころだった。
父に連れられて町へ降り、市場通りで買い物をした日。
町に降りるのは月に数度だけ。ぼくが連れて行ってもらえるのは、そのうち一度あるかないかだ。だからきっと、それもまったくの偶然だったのだろう。
いつもより混雑している、ひとでいっぱいの路地でうっかり手を離してしまい、瞬く間に父の姿を見失ってしまった時だ。
「ねえ、どうして、つのがひとつしかないの?」
「え?」
いきなり尋ねられて振り向くと、そこにあの青があった。
ぼくの記憶の中だけにあるのだと思っていた、どこまでも澄んだ、遥か高みにある天上の青がふたつ、ぼくをじっと見つめていた。
たぶん、ぼくよりふたつかみっつ、歳下なんだろう。
淡い金の柔らかそうな髪をおさげに編んで、この辺りの小さな女の子がよく着ている形のワンピースに、生成り地のエプロンをつけていた。
女の子は、呆気に取られたままのぼくに、少し舌足らずな口調で気後れも見せずにあれこれと話しかける。
「つのって、ふたつあるものじゃないの? どうしてかたほうだけなの?」
ぼくが生まれつき片角しかないことに、興味を引かれたのだろう。
繰り返された質問にようやく気を取り直したけれど、すっかり魅入られてしまったぼくは、彼女の青から目が離せない。
「あ、その……ぼくの角は、もともとひとつだけなんだ」
「そうなの?」
こくりと頷くと、彼女は不思議そうに首を傾げる。
「じゃあ、おれちゃったり、なくしちゃったりしたんじゃないのね?」
「うん。産まれた時からひとつだけなんだ」
「なら、いたくないのね?」
「怪我じゃないから、痛くないよ」
よかったと言って、彼女がにっこり笑う。
花が咲いたみたいだと考えたとたん、ぼくの心臓が大きくどくんと鳴った。
「マデライン、ディー、どうしたの」
「おかあさん」
やって来た母親に呼ばれて、女の子がパッと振り向いた。
マデライン、と小さく呟いて、ぼくは、ぺこりと頭を下げる。
「エイン」
「あ」
父の声にぼくが顔を上げると、女の子――マデラインと母親もつられて振り向いた。
「トーレさん?」
マデラインの母親が目を丸くする。
「ああ、魔女さん? ひさしぶりだね」
「はい……あの、この子は、トーレさんの?」
「そう。私とハニーの子だよ。エインウェルっていうんだ」
「そうだったんですね」
父とマデラインの母親は知り合いのようだった。母親の声が、幾分かほっとしたものに変わる。
「イレイェンさんはお元気ですか?」
「ハニーは相変わらずで、とても元気だよ」
くすりと笑って、父はマデラインの顔を覗き込んだ。
今、父は目立つからと“変装”の魔道具で翼を隠している。父の種族を表すのは、光の加減でさまざまに色を変える、蛋白石のような瞳だけだろう。
マデラインは物珍しそうな表情で、父の顔を見返した。
「ああ、この子の目は司祭に似たんだね。きれいな青だ」
「はい。いちばん上の娘のマデラインです。髪の色は私と一緒なんですけど、目はオーウェン様の色なんです」
「小さなレディに麗しきお方の祝福を。君に似て、かわいい子だね」
「でも、中身もオーウェン様なんですよ。すごくお転婆で、外を走り回ってばかりで、ちっとも女の子らしくなくって。騎士になるんだって言うんです」
「いいじゃないか。君みたいな魔法使いでも、彼みたいな剣の使い手でも、どちらに進んでもいいだろう?」
「そうですけど」
くすくす笑う父に、母親が困ったように首を傾げる。
ぼくはその間も、マデラインから目が離せなかった。
結局、ほんの少し立ち話をしただけで、ふたりとはすぐに別れて塔への帰路についた。ほんの少し言葉を交わすだけで終わってしまったことが残念で……歩きながら、ぼくは何度も町を振り返る。
「あの人たちは、父さんの知り合いなの?」
「そう。猛きものに仕える高司祭の妻と娘だよ」
「猛きもの?」
振り返りながら父に尋ねると、思ってもみなかった答えが返ってきた。
麗しきお方と猛きものの関係は、良くもなく悪くもなくだ。ふたつの教会の関係も神同士のそれと似たようなもので、仲が悪いわけでもないが、積極的に関わろうとするわけでもない。
ましてや、町の外で暮らし、必要最低限にしか町に行かない父と戦神教会の高司祭に付き合いがあるなんて、とても意外なことだった。
「驚いているね?」
ぼくはただぽかんと口を開けたまま父を見つめる。
「君が産まれる少し前、ちょっとした件で手を貸したことがあるんだ。少々堅苦しいところはあるけれど、彼らも“愛を知るもの”だからね」
「うん」
こくりと頷くぼくに、父は目を細めて笑う。
「エイン」
「なに、父さん」
ぽんと頭に手を乗せて、父さんがぼくの顔を覗き込む。
「そんなに、気になったのかい?」
「え?」
「心が囚われてしまった?」
質問の意味がよくわからないでいるぼくを、父がおもしろそうに笑う。
「子供が大きくなるのは、こんなに早いんだね」
「父さん?」
「それに、わざわざ教えなくても、大切なことはいつの間にかちゃんと学んでいるんだ」
楽しそうに笑いながら、ひとりだけで納得している父を、ぼくはやっぱり意味もわからずぽかんと見上げるだけだった。
「エイン」
「なに?」
父さんはぼくをひょいと抱き上げて、目線を合わせた。
「君もとうとうそれを知る日が来たんだね」
「それ?」
「そう」
父さんがにっこりと微笑む。
「苦くて、甘くて、辛くて、幸せで……まだまだ小さくて不確かで儚いものだ。けれど、このままゆっくりと育てていけば、君の生を彩るすべてを照らし、すべてを奪うものとなるだろう。どちらに変わるかは、たとえ女神であってもわからない。大切にするんだよ、エインウェル」
よくわからないながらも、至極真面目な父の言葉に、ぼくは小さく頷いた。
その日から、ぼくは両親が町へ行くたび、同行するようになった。
また、あの子に――マデラインに会いたくて。
けれど、偶然を期待するには町は大きすぎるし、ひとも多すぎる。何度も何度も町へ通って、偶然会えるのは、ほんの数度がいいところだ。
今日も会うことは叶わず、小さく溜息を吐いて帰路を歩くぼくに、父が「しかたないね」と笑った。
「私は麗しきお方の僕なんだよ。かわいい息子の恋心のために、動かないわけにはいかないじゃないか」
肩を竦めてぼくを抱き上げ、額に軽くキスをして……くすくす笑いながら、ぼくの耳にそっと囁く。
「偶然を待つだけじゃ、何も進まないよ」
「でも、父さん」
「エイン、だから、剣を習いに行ってみるかい?」
「剣?」
「君も男の子だ。身体を鍛えて悪いことはないだろう? それに、“悪魔混じり”は剣と魔法の両方を学ぶものも多い。
私は弓は得意だが、剣は不得手だ。だから、しばらく町に留まって、戦神教会のオーウェン司祭に剣を師事してみるのはどうかと考えてみたんだ……君が望むなら、だけどね」
「でも、そんな動機で……」
「何がいけないと言うんだい?」
父はぽんぽんとぼくの頭を叩く。
「古今東西どこへ行ったって、何かを始めようという男の子が持つ動機に、これ以上のものはないよ」
ほんとうにそうだろうかと考えるぼくに、「ただし」と父は続ける。
「オーウェン司祭の訓練はとても厳しい。彼は猛きものの真面目な司祭だから、生半可な気持ちでは、彼の訓練についていくことなんてできないだろうね。すぐに根を上げて逃げ出すようでは、ただ格好悪いだけで終わってしまうよ。
私も、やるからには半端で終わって欲しくない」
「でも、魔術の勉強だってあるのに……」
「今ここで決める必要はないよ。君にその気があるなら、帰ってからハニーともゆっくり相談しよう。それに、オーウェン司祭にも、君を受け入れてもらえるかを確認しなきゃいけないし」
父はぼくを下ろすと、手を取って歩き出した。
マデラインは、騎士を目指して剣を習っていると言っていたから、父親であるオーウェン司祭に師事しているんだろう。
司祭に剣を習うことができれば、当然、マデラインと会う機会も増える。
魔術と剣の両立はとても難しいけれど、絶対にできないというわけではない。どちらも満足いくほどに習得するには、多くの時間が必要だけど。
「司祭に、剣を?」
父とぼくの話に、母は少し呆れたように呟いた。
「そうねえ、身体能力なら、別に種族的に不利も何もないだろうけど、とにかく両方って大変よ? おまけに、司祭の脳筋ったら筋金入りだもの、エインについていけるかしら? ちょっとでも半端と思われたら、きっと追い出されるわね」
「私はこの子次第だと思っているよ。それに、餌を目の前にぶら下げられた男の子のがんばりは、なかなか侮れないものだ」
父の言葉に、母は「たしかにそうだけど」と苦笑を浮かべた。
「ダーリンったら、ずいぶんこの子を買ってるのね」
「あたりまえだ。わたしとハニーの息子なんだからね」
くすくすと笑い合いながら、父と母がキスをする。
なんだか、本人であるぼくを置いてきぼりにして、父と母の間では話が決まってしまったようだった。
父に連れられて町へ降り、市場通りで買い物をした日。
町に降りるのは月に数度だけ。ぼくが連れて行ってもらえるのは、そのうち一度あるかないかだ。だからきっと、それもまったくの偶然だったのだろう。
いつもより混雑している、ひとでいっぱいの路地でうっかり手を離してしまい、瞬く間に父の姿を見失ってしまった時だ。
「ねえ、どうして、つのがひとつしかないの?」
「え?」
いきなり尋ねられて振り向くと、そこにあの青があった。
ぼくの記憶の中だけにあるのだと思っていた、どこまでも澄んだ、遥か高みにある天上の青がふたつ、ぼくをじっと見つめていた。
たぶん、ぼくよりふたつかみっつ、歳下なんだろう。
淡い金の柔らかそうな髪をおさげに編んで、この辺りの小さな女の子がよく着ている形のワンピースに、生成り地のエプロンをつけていた。
女の子は、呆気に取られたままのぼくに、少し舌足らずな口調で気後れも見せずにあれこれと話しかける。
「つのって、ふたつあるものじゃないの? どうしてかたほうだけなの?」
ぼくが生まれつき片角しかないことに、興味を引かれたのだろう。
繰り返された質問にようやく気を取り直したけれど、すっかり魅入られてしまったぼくは、彼女の青から目が離せない。
「あ、その……ぼくの角は、もともとひとつだけなんだ」
「そうなの?」
こくりと頷くと、彼女は不思議そうに首を傾げる。
「じゃあ、おれちゃったり、なくしちゃったりしたんじゃないのね?」
「うん。産まれた時からひとつだけなんだ」
「なら、いたくないのね?」
「怪我じゃないから、痛くないよ」
よかったと言って、彼女がにっこり笑う。
花が咲いたみたいだと考えたとたん、ぼくの心臓が大きくどくんと鳴った。
「マデライン、ディー、どうしたの」
「おかあさん」
やって来た母親に呼ばれて、女の子がパッと振り向いた。
マデライン、と小さく呟いて、ぼくは、ぺこりと頭を下げる。
「エイン」
「あ」
父の声にぼくが顔を上げると、女の子――マデラインと母親もつられて振り向いた。
「トーレさん?」
マデラインの母親が目を丸くする。
「ああ、魔女さん? ひさしぶりだね」
「はい……あの、この子は、トーレさんの?」
「そう。私とハニーの子だよ。エインウェルっていうんだ」
「そうだったんですね」
父とマデラインの母親は知り合いのようだった。母親の声が、幾分かほっとしたものに変わる。
「イレイェンさんはお元気ですか?」
「ハニーは相変わらずで、とても元気だよ」
くすりと笑って、父はマデラインの顔を覗き込んだ。
今、父は目立つからと“変装”の魔道具で翼を隠している。父の種族を表すのは、光の加減でさまざまに色を変える、蛋白石のような瞳だけだろう。
マデラインは物珍しそうな表情で、父の顔を見返した。
「ああ、この子の目は司祭に似たんだね。きれいな青だ」
「はい。いちばん上の娘のマデラインです。髪の色は私と一緒なんですけど、目はオーウェン様の色なんです」
「小さなレディに麗しきお方の祝福を。君に似て、かわいい子だね」
「でも、中身もオーウェン様なんですよ。すごくお転婆で、外を走り回ってばかりで、ちっとも女の子らしくなくって。騎士になるんだって言うんです」
「いいじゃないか。君みたいな魔法使いでも、彼みたいな剣の使い手でも、どちらに進んでもいいだろう?」
「そうですけど」
くすくす笑う父に、母親が困ったように首を傾げる。
ぼくはその間も、マデラインから目が離せなかった。
結局、ほんの少し立ち話をしただけで、ふたりとはすぐに別れて塔への帰路についた。ほんの少し言葉を交わすだけで終わってしまったことが残念で……歩きながら、ぼくは何度も町を振り返る。
「あの人たちは、父さんの知り合いなの?」
「そう。猛きものに仕える高司祭の妻と娘だよ」
「猛きもの?」
振り返りながら父に尋ねると、思ってもみなかった答えが返ってきた。
麗しきお方と猛きものの関係は、良くもなく悪くもなくだ。ふたつの教会の関係も神同士のそれと似たようなもので、仲が悪いわけでもないが、積極的に関わろうとするわけでもない。
ましてや、町の外で暮らし、必要最低限にしか町に行かない父と戦神教会の高司祭に付き合いがあるなんて、とても意外なことだった。
「驚いているね?」
ぼくはただぽかんと口を開けたまま父を見つめる。
「君が産まれる少し前、ちょっとした件で手を貸したことがあるんだ。少々堅苦しいところはあるけれど、彼らも“愛を知るもの”だからね」
「うん」
こくりと頷くぼくに、父は目を細めて笑う。
「エイン」
「なに、父さん」
ぽんと頭に手を乗せて、父さんがぼくの顔を覗き込む。
「そんなに、気になったのかい?」
「え?」
「心が囚われてしまった?」
質問の意味がよくわからないでいるぼくを、父がおもしろそうに笑う。
「子供が大きくなるのは、こんなに早いんだね」
「父さん?」
「それに、わざわざ教えなくても、大切なことはいつの間にかちゃんと学んでいるんだ」
楽しそうに笑いながら、ひとりだけで納得している父を、ぼくはやっぱり意味もわからずぽかんと見上げるだけだった。
「エイン」
「なに?」
父さんはぼくをひょいと抱き上げて、目線を合わせた。
「君もとうとうそれを知る日が来たんだね」
「それ?」
「そう」
父さんがにっこりと微笑む。
「苦くて、甘くて、辛くて、幸せで……まだまだ小さくて不確かで儚いものだ。けれど、このままゆっくりと育てていけば、君の生を彩るすべてを照らし、すべてを奪うものとなるだろう。どちらに変わるかは、たとえ女神であってもわからない。大切にするんだよ、エインウェル」
よくわからないながらも、至極真面目な父の言葉に、ぼくは小さく頷いた。
その日から、ぼくは両親が町へ行くたび、同行するようになった。
また、あの子に――マデラインに会いたくて。
けれど、偶然を期待するには町は大きすぎるし、ひとも多すぎる。何度も何度も町へ通って、偶然会えるのは、ほんの数度がいいところだ。
今日も会うことは叶わず、小さく溜息を吐いて帰路を歩くぼくに、父が「しかたないね」と笑った。
「私は麗しきお方の僕なんだよ。かわいい息子の恋心のために、動かないわけにはいかないじゃないか」
肩を竦めてぼくを抱き上げ、額に軽くキスをして……くすくす笑いながら、ぼくの耳にそっと囁く。
「偶然を待つだけじゃ、何も進まないよ」
「でも、父さん」
「エイン、だから、剣を習いに行ってみるかい?」
「剣?」
「君も男の子だ。身体を鍛えて悪いことはないだろう? それに、“悪魔混じり”は剣と魔法の両方を学ぶものも多い。
私は弓は得意だが、剣は不得手だ。だから、しばらく町に留まって、戦神教会のオーウェン司祭に剣を師事してみるのはどうかと考えてみたんだ……君が望むなら、だけどね」
「でも、そんな動機で……」
「何がいけないと言うんだい?」
父はぽんぽんとぼくの頭を叩く。
「古今東西どこへ行ったって、何かを始めようという男の子が持つ動機に、これ以上のものはないよ」
ほんとうにそうだろうかと考えるぼくに、「ただし」と父は続ける。
「オーウェン司祭の訓練はとても厳しい。彼は猛きものの真面目な司祭だから、生半可な気持ちでは、彼の訓練についていくことなんてできないだろうね。すぐに根を上げて逃げ出すようでは、ただ格好悪いだけで終わってしまうよ。
私も、やるからには半端で終わって欲しくない」
「でも、魔術の勉強だってあるのに……」
「今ここで決める必要はないよ。君にその気があるなら、帰ってからハニーともゆっくり相談しよう。それに、オーウェン司祭にも、君を受け入れてもらえるかを確認しなきゃいけないし」
父はぼくを下ろすと、手を取って歩き出した。
マデラインは、騎士を目指して剣を習っていると言っていたから、父親であるオーウェン司祭に師事しているんだろう。
司祭に剣を習うことができれば、当然、マデラインと会う機会も増える。
魔術と剣の両立はとても難しいけれど、絶対にできないというわけではない。どちらも満足いくほどに習得するには、多くの時間が必要だけど。
「司祭に、剣を?」
父とぼくの話に、母は少し呆れたように呟いた。
「そうねえ、身体能力なら、別に種族的に不利も何もないだろうけど、とにかく両方って大変よ? おまけに、司祭の脳筋ったら筋金入りだもの、エインについていけるかしら? ちょっとでも半端と思われたら、きっと追い出されるわね」
「私はこの子次第だと思っているよ。それに、餌を目の前にぶら下げられた男の子のがんばりは、なかなか侮れないものだ」
父の言葉に、母は「たしかにそうだけど」と苦笑を浮かべた。
「ダーリンったら、ずいぶんこの子を買ってるのね」
「あたりまえだ。わたしとハニーの息子なんだからね」
くすくすと笑い合いながら、父と母がキスをする。
なんだか、本人であるぼくを置いてきぼりにして、父と母の間では話が決まってしまったようだった。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
どうぞご勝手になさってくださいまし
志波 連
恋愛
政略結婚とはいえ12歳の時から婚約関係にあるローレンティア王国皇太子アマデウスと、ルルーシア・メリディアン侯爵令嬢の仲はいたって上手くいっていた。
辛い教育にもよく耐え、あまり学園にも通学できないルルーシアだったが、幼馴染で親友の侯爵令嬢アリア・ロックスの励まされながら、なんとか最終学年を迎えた。
やっと皇太子妃教育にも目途が立ち、学園に通えるようになったある日、婚約者であるアマデウス皇太子とフロレンシア伯爵家の次女であるサマンサが恋仲であるという噂を耳にする。
アリアに付き添ってもらい、学園の裏庭に向かったルルーシアは二人が仲よくベンチに腰掛け、肩を寄せ合って一冊の本を仲よく見ている姿を目撃する。
風が運んできた「じゃあ今夜、いつものところで」という二人の会話にショックを受けたルルーシアは、早退して父親に訴えた。
しかし元々が政略結婚であるため、婚約の取り消しはできないという言葉に絶望する。
ルルーシアの邸を訪れた皇太子はサマンサを側妃として迎えると告げた。
ショックを受けたルルーシアだったが、家のために耐えることを決意し、皇太子妃となることを受け入れる。
ルルーシアだけを愛しているが、友人であるサマンサを助けたいアマデウスと、アマデウスに愛されていないと思い込んでいるルルーシアは盛大にすれ違っていく。
果たして不器用な二人に幸せな未来は訪れるのだろうか……
他サイトでも公開しています。
R15は保険です。
表紙は写真ACより転載しています。
【改】わたくしの事はお気になさらずとも結構です
cyaru
恋愛
侯爵令嬢のステファニアは19年間、第二王子アベラルドの妃となるために教育されて成長してきた。
政略的な結びつきでもアベラルドとステファニアの間には愛があった。
しかし、アベラルドが公爵令嬢のカリメルラと関係を持ってしまった事から婚約は解消になった。ショックでステファニアは声を失ってしまった。
戦勝国でありながら敗戦国の王太子妃となるため選ばれ嫁がされてしまったステファニア。
しかしハルメル王国の王太子レアンドロには長年の恋人がいた。
初夜もないだけでなく、部屋に訪れる事もない夫の声は窓の外から恋人との会話で聞こえてくる。そんな状況で2年経とうが子供が出来るはずもない。
そんな中、母国ファミル王国の国王から子が出来ぬのならステファニアを家臣に下賜せよと命令書が届いた。恋人の手前ステファニアを煩わしく思っていた王太子レアンドロは家臣の1人であるファッジン辺境伯の元に下賜する事を決めた。
それを知った他の家臣は戦勝国ファミル王国の怒りを買うとレアンドロを諫めるがレアンドロは早々にステファニアを辺境へ追いやった。
辺境でステファニアを待っていたのは…。
そして何とか真実を伝えたいカリメルラの思いは…。
★お詫び★
このお話は途中から差替えを致しました。初期投稿分は最後の2話にまとめております関係で文字数が多くなっております。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる