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我はもとめ訴えたり
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ジィアの舌に朱灯の舌がねっとりと絡みついた。
舌先が口内をくすぐって、ジィアの畳まれたままの毒牙を探る。
「ん……」
「あなたの蛇の獣相ですね」
ジィアは蛇の獣相持ちだ。
とはいえ、外見でそれとわかる部分といえば、ときおりちらりと見える毒牙とふたつに別れた舌先と、明るい赤の瞳に太さの変わる瞳孔くらいだろう。
それに、本物の蛇の毒牙は開口すれば勝手に立ち上がるけれど、ジィアのそれは自身の意思で立てたり畳んだりできる。毒の分泌も、意思で制御ができる。
もちろん、今は上顎に沿って畳まれているし、毒液も分泌していない。
「ま、待ってください監査官」
何度も往復する朱灯の舌先が牙先に引っかかり、ジィアは少し慌てたように口を離した。
「朱灯ですよ」
「そうではなく、万が一毒牙が刺さってしまったら危険です」
「あなたの毒牙になら、噛まれたいですね」
うっとりと返されて、ジィアは口ごもる。
ジィアの分泌する毒液は麻痺毒だ。
もちろん、ジィア自身に効果は現さない。しかし量次第では噛んだ相手の循環器系や呼吸器系までを麻痺させ、死に至らしめることができる強毒だ。
分泌を制御できるとは言っても、万が一のことはある。
「それは絶対にいけません。危険です」
「大丈夫ですよ。私は毒に耐性がありますから、そうそう死にません」
「それでも……」
「あなたの毒はなんでしょう。蛇毒というのは神経毒や出血毒と聞きますが。出血毒ですと、耐性があっても少々苦しそうですね。神経毒なら、獲物の麻痺を引き起こして呼吸や心臓を止めるとか」
朱灯がすりすりと顔をすり寄せる。「私があなたの獲物というわけですね」などと呟きながらだ。
ジィアの話などまったく聞いていない。
「あの、監査官」
「朱灯です。ジィア、今ここで私を噛んでみませんか?」
「ですから、それは危険です」
「駄目なのですか?」
「絶対に駄目です」
朱灯は残念そうに眉尻を下げる。
だいたい、いかに耐性があっても効果が皆無ということはない。万が一のことを考えれば、なぜそんなに残念な顔になるのか意味がわからない。
「しかたありません。そのうち、機会があったら試してみましょう」
「試すって、なんでそんなに噛まれたがるんですか」
「想像してみてください。あなたの一部でもある毒が私の体内を犯すのですよ……たまらないと思いませんか」
「まったく思いません」
今度はむぅと顔を顰めて、朱灯はジィアの制服のボタンに指を掛けた。
「か、監査官!?」
「朱灯です」
黙々とボタンを外し始める朱灯に気づいて止めようとするが、いつの間にかジィアの両腕は絡め取られていた。
まさか片手で拘束できるほど力が強いなんて……身長はさほど変わらなくても、体格ならジィアのほうが勝っているのに。
「駄目です、やめてください!」
「あなたは駄目だとしか言いませんね」
「ここは職場ですよ!」
少々乱暴にボタンを外しながら、朱灯がにっこりと笑った。
必死にもがくジィアを楽しそうに拘束しながら、長衣の隠しボタンまで次々外していく。
「そういう言葉も聞き飽きました。扉には呪いを掛けたから大丈夫だと言ったでしょう。私とあなたの逢瀬を邪魔する者など現れませんよ。それとも駄目だと言えない呪いを掛けましょうか」
「逢瀬じゃなくて仕事中です!
それに呪いとか、物騒なこともやめてください!」
「なら、駄目だなんて言わないでください」
長衣の前は完全に開かれてしまった。
下に着けているのは、動きやすさを重視した簡素な衣服だけだ。手のひらを当てればたやすく肌の温度がわかるくらいの薄いシャツとアンダーと……朱灯はジィアの胸に手を当てて、ゆっくりと撫でさすっている。
「体温が高いのですね。蛇の獣相持ちですし、もっと低いと思っていました」
朱灯は手を放して手早く自分の前を開いた。ぎょっとするジィアに構わず、はだけた胸を合わせるようにしてしっかりと抱き締める。
職場で、勤務中に、こんな華奢な相手に拘束されて、このまま襲われるんだろうか。ジィアの背を冷や汗が流れ落ちる。
ジィアの肩に頭を伏せた朱灯が、ぺろりと首筋を舐める。
「うあ、何をするんですか!」
「味見です」
抱き付いたまま舐めたり噛んだりを始める朱灯は、ジィアがどんなに押しやろうとしても離れない。がっしりと抱き付いた腕も緩まない。
「あなたはとてもおいしいですね、ジィア」
くふふと笑いながら、朱灯はジィアの首を舐め続ける。
だんだんと妙な気分にもなってきて、ジィアの焦りは募る。おまけに、腰にあたるものの感触がどんどんはっきりしてきて……。
「その、監査官。やめてください……そ、それに、さっきから、その、当たっているんですが!」
「朱灯ですよ。当たっているとは……ああ、なるほど」
ぐりぐりと朱灯が押し付けたものの熱と固さに、ジィアは「うっ」とうめき声を上げた。
「性分化が進んでも、もともとあった雄性の外性器は痕跡器官として残るのですよ。雌性体でいうところのクリトリスに相当する器官として、それなりの大きさで残ります。具体的には、地上人の雌性体なら肥大とされるくらいでしょうか。雄性体の性器ほど大きくはないですよ」
「じゃ、これは、監査官の……」
「朱灯です。気になりますか? ジィアの好みでないのでしたら、切除処置できれいに無くしますが」
「え、いや、処置まではいりませんけど……」
「そうですか」
話す間もぐりぐりと押し付けられ続けて、ジィアはぐるりと視線を巡らせる。やはり、助けになる者なんて誰もいない。
「監査官、その、押し付けるのはやめてください。セクハラです」
「朱灯と言ってます。セクハラになりますか? けれど、あなたも感じているようですが。先ほどから、固くなっていますよ」
「そっ、それはセクハラに関係ありませんし!」
「そうなんですか? では、私も関係ないということですよね。それに、あなたが感じているというのはとても喜ばしいことですし、このままいたしてしまいましょう。善は急げです」
「何が善なんですか……あ、うっ」
くっと握りしめられる感触に、ジィアはびくりと震える。そのままゆっくりと扱くように撫でられて、ジィアはぱくぱくと声もなく喘いだ。
「や、やめ……監査官……」
「朱灯です。でも、押し付けてきていますよ。ここで止めてはつらいのではないですか? こういうことは一度スイッチが入るとなかなか止め難いものだと言いますし、このまま済ませてしまいましょうか」
いつの間に下着まで開いていたのか、朱灯の手が衣服の隙間からするりと入り込んだ。少しかさついた手のひらにすっかりガチガチになったものを直接握られて、ジィアは「うっ」と呻き声を漏らす。
心なしか、くちゅりと音までが立って、快感に腰が震えそうになる。
「ジィアはここにも蛇の獣相が現れているのですね。ヘミペニスですか」
ふふ、と笑いながら、朱灯の手がジィアの猛りをひとつずつ確認するように撫でさすった。蛇の獣相である“ヘミペニス”……つまり二本生えているとはいえ、それぞれの構造は人間と一緒で蛇とは異なっている。
つまり、ジィアの男性器には蛇の獣相が半端に現れているということだ。
おかげで、それと知った女性……特にヘミペニスになじみのない獣相を持つ女性には、知られた途端に「無理」と断られることも多かった。
ジィアの悲しい記憶である。
「これは二本一度に入れた方がよいのでしょうか。さすがにいきなりは厳しいようにも思えますね。最初は一本ずつでもよろしいですか?」
「く……あの、監査官……いい加減、やめません、か」
「朱灯です。やめませんよ。ここまで来て止まれるはずがないでしょう?」
ジィアの息も朱灯の息も上がっていく。
二本を一度に握ったり一本ずつ摩ったり、朱灯の手はまったく動きを止めようとしない。
「っは、監査官……だめ、だめです」
「けれどジィアのここはそんなことを言っていませんよ。むしろ私の手を追いかけてくるようですが」
朱灯のもう片手が衣服を緩めていることにも気づかず、ジィアはぎゅっと目をつぶったまま必死に声を抑えていた。
朱灯の言うとおり、気を抜けば腰が朱灯を追いかけてしまうほど気持ちいい。
不意に外気が肌に触れて、ジィアは目を開ける。スラックスのボタンが外され、前もくつろげられていた。慌てたジィアが暴れようとする。
が、やはり朱灯に押さえつけられてしまう。
にっこりと笑った朱灯が、ひざまずくように膝を折った。
まさか、と目を剥くジィアの目前で、朱灯の顔がジィアの勃ち上がったモノに近づいた――と思ったとたん、やや尖った舌先で、ぺろりと舐め上げる。
湿った柔らかい舌先が巻き付く感覚に、ジィアの身体が震える。
「う、あ、ちょっ……監査官、それは、あっ」
「朱灯です。こういう場合は口でするものなのでしょう?」
ぺろりぺろりと舌で愛撫されて、ジィアの腰が震えだす。
二本ある屹立を一本ずつ舐めていた朱灯の、先を丸めてある牙が掠める。
チリ、という刺激に、ジィアの鼓動が跳ね上がる。
「いかがです?」
「あ……あ、あっ」
「知識としては知っていても、実際にというのははじめてでして……」
「く、あっ……監査、官っ」
「朱灯、と」
くふふと笑う朱灯は、悶えるジィアを心底うれしいという顔で見上げた。ぺろりぺろりと舐めながら、ジィアの固く立ち上がった雄を指先でするりとなぞり――いきなりひと息にパクリと口の中に納めてしまう。
息を呑むジィアの喉が、ひゅっと音を立てる。
「あ、ぅ、監査……」
「朱灯です。それにしても、これはなかなかに興奮するものですね」
「あ、咥えたまましゃべるとか……あ、あっ」
「なんて芳しいのでしょう。あなたの雄の匂いがします」
ジィアの先端から染み出たものと朱灯自身の唾液でべたべたになったモノを咥えながら、朱灯は感極まったように呟いた。
舌先が口内をくすぐって、ジィアの畳まれたままの毒牙を探る。
「ん……」
「あなたの蛇の獣相ですね」
ジィアは蛇の獣相持ちだ。
とはいえ、外見でそれとわかる部分といえば、ときおりちらりと見える毒牙とふたつに別れた舌先と、明るい赤の瞳に太さの変わる瞳孔くらいだろう。
それに、本物の蛇の毒牙は開口すれば勝手に立ち上がるけれど、ジィアのそれは自身の意思で立てたり畳んだりできる。毒の分泌も、意思で制御ができる。
もちろん、今は上顎に沿って畳まれているし、毒液も分泌していない。
「ま、待ってください監査官」
何度も往復する朱灯の舌先が牙先に引っかかり、ジィアは少し慌てたように口を離した。
「朱灯ですよ」
「そうではなく、万が一毒牙が刺さってしまったら危険です」
「あなたの毒牙になら、噛まれたいですね」
うっとりと返されて、ジィアは口ごもる。
ジィアの分泌する毒液は麻痺毒だ。
もちろん、ジィア自身に効果は現さない。しかし量次第では噛んだ相手の循環器系や呼吸器系までを麻痺させ、死に至らしめることができる強毒だ。
分泌を制御できるとは言っても、万が一のことはある。
「それは絶対にいけません。危険です」
「大丈夫ですよ。私は毒に耐性がありますから、そうそう死にません」
「それでも……」
「あなたの毒はなんでしょう。蛇毒というのは神経毒や出血毒と聞きますが。出血毒ですと、耐性があっても少々苦しそうですね。神経毒なら、獲物の麻痺を引き起こして呼吸や心臓を止めるとか」
朱灯がすりすりと顔をすり寄せる。「私があなたの獲物というわけですね」などと呟きながらだ。
ジィアの話などまったく聞いていない。
「あの、監査官」
「朱灯です。ジィア、今ここで私を噛んでみませんか?」
「ですから、それは危険です」
「駄目なのですか?」
「絶対に駄目です」
朱灯は残念そうに眉尻を下げる。
だいたい、いかに耐性があっても効果が皆無ということはない。万が一のことを考えれば、なぜそんなに残念な顔になるのか意味がわからない。
「しかたありません。そのうち、機会があったら試してみましょう」
「試すって、なんでそんなに噛まれたがるんですか」
「想像してみてください。あなたの一部でもある毒が私の体内を犯すのですよ……たまらないと思いませんか」
「まったく思いません」
今度はむぅと顔を顰めて、朱灯はジィアの制服のボタンに指を掛けた。
「か、監査官!?」
「朱灯です」
黙々とボタンを外し始める朱灯に気づいて止めようとするが、いつの間にかジィアの両腕は絡め取られていた。
まさか片手で拘束できるほど力が強いなんて……身長はさほど変わらなくても、体格ならジィアのほうが勝っているのに。
「駄目です、やめてください!」
「あなたは駄目だとしか言いませんね」
「ここは職場ですよ!」
少々乱暴にボタンを外しながら、朱灯がにっこりと笑った。
必死にもがくジィアを楽しそうに拘束しながら、長衣の隠しボタンまで次々外していく。
「そういう言葉も聞き飽きました。扉には呪いを掛けたから大丈夫だと言ったでしょう。私とあなたの逢瀬を邪魔する者など現れませんよ。それとも駄目だと言えない呪いを掛けましょうか」
「逢瀬じゃなくて仕事中です!
それに呪いとか、物騒なこともやめてください!」
「なら、駄目だなんて言わないでください」
長衣の前は完全に開かれてしまった。
下に着けているのは、動きやすさを重視した簡素な衣服だけだ。手のひらを当てればたやすく肌の温度がわかるくらいの薄いシャツとアンダーと……朱灯はジィアの胸に手を当てて、ゆっくりと撫でさすっている。
「体温が高いのですね。蛇の獣相持ちですし、もっと低いと思っていました」
朱灯は手を放して手早く自分の前を開いた。ぎょっとするジィアに構わず、はだけた胸を合わせるようにしてしっかりと抱き締める。
職場で、勤務中に、こんな華奢な相手に拘束されて、このまま襲われるんだろうか。ジィアの背を冷や汗が流れ落ちる。
ジィアの肩に頭を伏せた朱灯が、ぺろりと首筋を舐める。
「うあ、何をするんですか!」
「味見です」
抱き付いたまま舐めたり噛んだりを始める朱灯は、ジィアがどんなに押しやろうとしても離れない。がっしりと抱き付いた腕も緩まない。
「あなたはとてもおいしいですね、ジィア」
くふふと笑いながら、朱灯はジィアの首を舐め続ける。
だんだんと妙な気分にもなってきて、ジィアの焦りは募る。おまけに、腰にあたるものの感触がどんどんはっきりしてきて……。
「その、監査官。やめてください……そ、それに、さっきから、その、当たっているんですが!」
「朱灯ですよ。当たっているとは……ああ、なるほど」
ぐりぐりと朱灯が押し付けたものの熱と固さに、ジィアは「うっ」とうめき声を上げた。
「性分化が進んでも、もともとあった雄性の外性器は痕跡器官として残るのですよ。雌性体でいうところのクリトリスに相当する器官として、それなりの大きさで残ります。具体的には、地上人の雌性体なら肥大とされるくらいでしょうか。雄性体の性器ほど大きくはないですよ」
「じゃ、これは、監査官の……」
「朱灯です。気になりますか? ジィアの好みでないのでしたら、切除処置できれいに無くしますが」
「え、いや、処置まではいりませんけど……」
「そうですか」
話す間もぐりぐりと押し付けられ続けて、ジィアはぐるりと視線を巡らせる。やはり、助けになる者なんて誰もいない。
「監査官、その、押し付けるのはやめてください。セクハラです」
「朱灯と言ってます。セクハラになりますか? けれど、あなたも感じているようですが。先ほどから、固くなっていますよ」
「そっ、それはセクハラに関係ありませんし!」
「そうなんですか? では、私も関係ないということですよね。それに、あなたが感じているというのはとても喜ばしいことですし、このままいたしてしまいましょう。善は急げです」
「何が善なんですか……あ、うっ」
くっと握りしめられる感触に、ジィアはびくりと震える。そのままゆっくりと扱くように撫でられて、ジィアはぱくぱくと声もなく喘いだ。
「や、やめ……監査官……」
「朱灯です。でも、押し付けてきていますよ。ここで止めてはつらいのではないですか? こういうことは一度スイッチが入るとなかなか止め難いものだと言いますし、このまま済ませてしまいましょうか」
いつの間に下着まで開いていたのか、朱灯の手が衣服の隙間からするりと入り込んだ。少しかさついた手のひらにすっかりガチガチになったものを直接握られて、ジィアは「うっ」と呻き声を漏らす。
心なしか、くちゅりと音までが立って、快感に腰が震えそうになる。
「ジィアはここにも蛇の獣相が現れているのですね。ヘミペニスですか」
ふふ、と笑いながら、朱灯の手がジィアの猛りをひとつずつ確認するように撫でさすった。蛇の獣相である“ヘミペニス”……つまり二本生えているとはいえ、それぞれの構造は人間と一緒で蛇とは異なっている。
つまり、ジィアの男性器には蛇の獣相が半端に現れているということだ。
おかげで、それと知った女性……特にヘミペニスになじみのない獣相を持つ女性には、知られた途端に「無理」と断られることも多かった。
ジィアの悲しい記憶である。
「これは二本一度に入れた方がよいのでしょうか。さすがにいきなりは厳しいようにも思えますね。最初は一本ずつでもよろしいですか?」
「く……あの、監査官……いい加減、やめません、か」
「朱灯です。やめませんよ。ここまで来て止まれるはずがないでしょう?」
ジィアの息も朱灯の息も上がっていく。
二本を一度に握ったり一本ずつ摩ったり、朱灯の手はまったく動きを止めようとしない。
「っは、監査官……だめ、だめです」
「けれどジィアのここはそんなことを言っていませんよ。むしろ私の手を追いかけてくるようですが」
朱灯のもう片手が衣服を緩めていることにも気づかず、ジィアはぎゅっと目をつぶったまま必死に声を抑えていた。
朱灯の言うとおり、気を抜けば腰が朱灯を追いかけてしまうほど気持ちいい。
不意に外気が肌に触れて、ジィアは目を開ける。スラックスのボタンが外され、前もくつろげられていた。慌てたジィアが暴れようとする。
が、やはり朱灯に押さえつけられてしまう。
にっこりと笑った朱灯が、ひざまずくように膝を折った。
まさか、と目を剥くジィアの目前で、朱灯の顔がジィアの勃ち上がったモノに近づいた――と思ったとたん、やや尖った舌先で、ぺろりと舐め上げる。
湿った柔らかい舌先が巻き付く感覚に、ジィアの身体が震える。
「う、あ、ちょっ……監査官、それは、あっ」
「朱灯です。こういう場合は口でするものなのでしょう?」
ぺろりぺろりと舌で愛撫されて、ジィアの腰が震えだす。
二本ある屹立を一本ずつ舐めていた朱灯の、先を丸めてある牙が掠める。
チリ、という刺激に、ジィアの鼓動が跳ね上がる。
「いかがです?」
「あ……あ、あっ」
「知識としては知っていても、実際にというのははじめてでして……」
「く、あっ……監査、官っ」
「朱灯、と」
くふふと笑う朱灯は、悶えるジィアを心底うれしいという顔で見上げた。ぺろりぺろりと舐めながら、ジィアの固く立ち上がった雄を指先でするりとなぞり――いきなりひと息にパクリと口の中に納めてしまう。
息を呑むジィアの喉が、ひゅっと音を立てる。
「あ、ぅ、監査……」
「朱灯です。それにしても、これはなかなかに興奮するものですね」
「あ、咥えたまましゃべるとか……あ、あっ」
「なんて芳しいのでしょう。あなたの雄の匂いがします」
ジィアの先端から染み出たものと朱灯自身の唾液でべたべたになったモノを咥えながら、朱灯は感極まったように呟いた。
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