【完結】インキュバスな彼

番外編１ 溺愛は初生け式の後で

１０．

「きついな……まだ緊張してる」

　それだけつぶやき、体の下から雄基がゆるやかにつき始めた。なれた動きで奥をこづかれ、我慢していた嬌声が喉の奥からあふれ出た。

「ああっ──‼」

　彼に開発されたスキルが彼の動きで走り出す。太い腰で膝をわられた姿勢は足のふんばりがきかなくて、まともに自分の体重が彼とつながった部分にかかる。大きな異物の存在感にみのりが身もだえしていると、両手でウエストをつかまれて、いきなり腰をつき上げて来た。

「あっ、あっ、あっ」

　下から雄基に体をゆらされ、まるで酸欠の犬のように口を大きく開いてあえぐ。快感に下りた体の奥をふくらんだ突端で押し込まれ、とめどなくあえぎをまきちらす。すでにスキルは全開で、今まで覚えた快楽の得方ではしたなく彼を飲み込んでしまう。

　無意識に刺激から逃れようとしてみのりが体を浮かせると、逃げるみのりを下から追いかけ、執拗に奥をせめたてる。ウエストをつかんでいた手のひらが、今度は両方の手首をとらえた。さらに自分へとみのりを引きつけ、強引な形でつき上げる。

「あ──ゆ、うきく、んッ、だめ、あっ──もっと、ゆっくり……あああ‼」

　雄基の上に乗った状態で大きく体をゆすられる。強く手首をつかまれたまま快楽に悲鳴を上げた。体の芯を暴く先端を奥の奥までむかえ入れ、彼の胸の上に倒れ込む。雄基の腰に足を回して絶頂を味わおうとする。　
　みのりの中の兆候を肌身で感じ取ったのか、雄基の動きがぴたりと止まった。激しく背中を抱きよせられる。

「えっ、な、なに？」

　とけた思考で雄基を見ると、彼はまた硬い表情をしていた。肌が密着したと思ったら、あっという間に体勢を変えられる。
　みのりはあおむけの状態で彼を間近に見上げていた。彼のものに深く貫かれ、厚い胸に押さえ込まれている。そのままいつものように律動を開始するかと思ったら、体重をかけて組みしかれた。彼とベッドの間にはさまれ、みのりはまったく身動きができない。

「なんで……ゆうきくんっ……！」

　あせって続きをねだるみのりを雄基は鋭いまなざしで見た。

「みのり。──俺だけだって言って」

　その真剣な声の響きに、みのりはまなじりを見開いた。