【完結】インキュバスな彼

最終章 なんとか卒業できそうです

１２．

　ぐっぐっとほじくるように最奥の感触を満喫した後、今度は再びひっくり返され正常位で上に乗って来た。多少体重をかけないように気を使ってはいるらしいが、疲弊しきった今の体にその長身は重い。重すぎる。
　喜びを得ることにならされた足が、勝手に彼の厚みのある腰にからみついてしまう。なじんだ体同士がまるで吸いつくように重なって、みのりはぶるっと背中を震わせた。

「う……もう、一ノ瀬……、一緒に──‼」

　一言そう雄基がもらし、官能的に腰をうねらせてみのりを高みへと追い込んでいく。

「あっ、いっちゃ……、いっちゃううう、ああああ──！」

　夢で覚えた快感の得方であますところなく刺激をつかむ。収縮しきった中の愉悦が深い動きで一気にはじけた。

「おれもっ、また……イく、……ッ、みのり──‼」

　最後にみのりを名前で呼んで、雄基が体を震わせて果てる。ゴム越しにでもわかる放出に、みのりはかたく目を閉じた。
　広い背中を抱きしめながら呆然と余韻にひたっていると、雄基が甘くささやいた。

「すごい、いい。でも、まだたりない……。もう一回、たのむ一ノ瀬」
「えっ……ちょっと、また!?　もう、むり、だって……いいかげんにんんん!?」

　ただ朦朧《もうろう》としていたみのりは、彼の口づけにあぜんとした。みのりを腕に抱き込みながら甘えるように重ねて来る。

「大丈夫、お前ならできる。いつもあんなに俺の事、何度も欲しがってくれただろ」
「も、もう、お母さんに怒られる……！」

　悶絶しそうな思いの中でキスの合間に訴える。何度も伝えているのだが、やっとみのりを手にした彼は離してくれる気配がない。
　汗で前髪をしめらせた顔が陶然として微笑んだ。

「わかってる。もちろん一緒に怒られるから……今日だけはもう少しつきあってくれ」

　口元をいやらしく引き上げて、腰をゆらしてたたみかける。

「だって、まだそっちも欲しがってる。ほら、夢の中みたいにひくひくって……」

　自身のいけない反応を当然のように言われてしまい、みのりは身もだえしながら叫んだ。

「こっ、こんなの演技だし‼」
「演技でこんなに締まるかよ」

　返す刀で切り捨てられて、ぐうっと次の言葉につまる。ついに絶望のうめき声を上げた。

──どうしよう。雄基君のスキル「絶倫」がとうとうリアルで覚醒してしまった。

　初めに部屋につれ込んだ時、「もう遅いから送って行く」と紳士的に言ってくれた彼は一体どこへ行ったのか。自分は自分で案の定だし、もう止められる人がいない。
　恐ろしい予感を覚えつつ、それでも反応してしまう自分の体が情けない。みのりは最後は半べそで、彼の腕の中で嬌声を上げた。