【完結】インキュバスな彼

小波0073

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最終章 なんとか卒業できそうです

9.

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 みのりは浅い呼吸を続け、顔をうずめた彼の枕にしがみつく形で耐えていた。痛みをおさめた圧迫感に、背中に汗がにじんでいる。
 足のつけ根にぴったりと雄基の腰がくっついて、下生えが内腿をくすぐった。先ほど目にした太いアレがすべて入ったなんて信じられない。

「──痛い?」

 心配そうなささやき声が耳の後ろへ落ちて来た。胸にさわさわとふれていた手が、まるでマッサージをするような形でふくらみを柔らかくこねて来る。
 そこからはじけ始めた愉悦にみのりは肩を震わせてあえいだ。

「ちょっと、動くぞ」

 うなじにうめられるような形で、雄基のしゃがれたつぶやきが聞こえる。卑猥な水音がもれ始め、中から新たなうるおいが吐き出されるのを感じ取る。異物に液がまとわりついて、だんだんそれを受け入れながらのみ込もうとしているのがわかった。

「うっ……キツい、しまる……うう」

 雄基が喉をひくつかせながらみのりの耳元で言葉をもらした。二人の吐息が甘くゆらめき、たまらない高揚感が生まれた。呼吸をかさねるようにして、次第に体の動きを合わせる。

「一ノ瀬……ッ!」

 多分影だった頃の雄基も、こんな風に自分の名前を熱く呼んでいたのだろう。胸の先端をこね回していた指が両方のふくらみをつかんだ。力を入れて握りしめられ、食い込んだ指に痛みさえ覚える。
 雄基が頭の後ろでうめいた。

「もうっ、こっちがだめだ……! このまま、イきたい、一回、一ノ瀬──!」

 イかせて、とあえぐように言われた後、ぐっとその腰が押しつけられる。深くのみ込んだ肉塊がいっそう大きくふくれ上がり、びくびくっと大きくはねた。
 中ではじける強い刺激にみのりが肩をちぢめて耐えると、背中に乗った重い体がそのままぐったりと弛緩する。はっ、はっと耳元で雄基の息が吐き出され、感きわまったようなつぶやきがもれた。

「イ、けた……すげえ……あっ、まだ出る……!」

 再度腰を突き上げられ、これ以上ないくらい激しい力で背後から抱きすくめられる。大きな体につつみ込まれて、みのりはついに彼のものになった。雄基がみのりのうなじへとその頬をこすりつけて来る。

「すっ、げ……こんなの、頭おかしくなる」

 その時、あ、と雄基がつぶやいた。背中から熱い肌が離れる。

「──はずれた」

 みのりはのろのろと首を回して雄基の視線の先を見た。
 二人のからまる足の間に銀色の輪が落ちている。リングだったらしい形状の物が、紺色のベッドカバーの上でにぶく光って転がっていた。
   それは見る見るうちに黒ずみ、真っ黒になったと思ったら、一つまばたきをした瞬間にそこから消え去っていた。
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