【完結】インキュバスな彼

最終章 なんとか卒業できそうです

３．

　雄基のにおいにつつまれながら深いキスをくり返し、影との時間を思い出す。頭が胸の谷間に下りて、ふくらみをその鼻先でさぐった。ブラジャーの上から胸を揉まれる新鮮さに頬が上気する。
　雄基がどこかぎこちないしぐさでみのりの背中のホックをはずし、性急にそれを押し下げた。彼の目の前にぷるんとはみ出たふたつのふくらみを凝視する。

「……本物だ」
「あ、当たり前でしょうが！　恥ずかしい！　そんなにじろじろ見ないでよ‼」

　思わずさわぐと雄基が笑い、両手で二つのふくらみを下からすくい上げるようにした。

「夢とおなじだ。やわらかい……」

　とろけるような声音で言われ、ぐにぐに形を変えられる。みのりが強くまぶたを閉じるとぬれた感触が乳首にふれた。

「んっ……！」

　鼻にかかったような言葉が勝手に口からもれ出て来る。目が見えなければいつもと同じで、目覚めてしまったダメな体が勝手に快感をひろってくれる。

　ぬるりとした舌の触感の後、固い何かが突起をはさんだ。そのままこりこりと刺激され、思わずはっと息をのむ。どうやら勃起した先端を甘噛みされているらしい。
　なれた様子で反対側の乳首も責める雄基のしぐさに、あらためて彼が例の切なげな影だったことを思い出す。敏感な先を爪でいじられ、彼に開発されてしまった体が本格的にうずいた。

「あっ、はっ……んん、やだ……！」

　思わず出してしまったあえぎに、雄基がそっと唇を離した。色づいた響きで告げて来る。

「そう、もっと声出して。いつもみたいに、力抜いて」

　やっと聞きなれたばかりの声でそんなことを言われてしまい、逆に恥ずかしくて唇を噛む。ふくらみをこね回していた右手が腹を伝って内腿に入った。
　みのりは体を硬直させた。

「あ……‼」

　今さらながら貞操の危機を肌身で感じて声が上がる。ショーツの上から大胆に股間を押さえられてしまったのだ。ぐいぐい先へと進める彼に大混乱を押さえられない。

　そんなみのりの緊張に雄基も気づいてくれたらしい。みのりからそっと体をはなすと、少しだけ距離を取ってくれた。

「顔、ちょっと泣きそうになってる。──今日はこれで止めておくか？」