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第二章 バレた後
21.
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次にみのりが急いだのは雄基の家へ向かう道だった。息を切らして雄基の家のインターホンの前に立つ。
何度か鳴らしてみたものの、やはり中から返事はなかった。居留守を使っているのかもしれないが、家の外からはわからない。
みのりは再びスマホを持って雄基に連絡を取ってみた。だが昨夜と同様に既読の印さえつくことはなかった。薄いスマホをぎゅっとにぎって唇を強く引き結ぶ。
──のんびりしてる時間はないし、もうこうなったら最後の手段だ。
身をひるがえして向かった先は緑陽のサッカーグラウンドだった。
意中の相手にストーカーばりの行動をしていた幸羽につれられ、みのりも何度か緑陽のキャンパスへ足を運んでいた。私立らしく、ぜいたくな作りの広大なその敷地内は、白を基調とした校舎を中心にいくつかの区画にわかれている。
設備が整いまくっていそうな総合体育館の横に、大小二つのグラウンドと幾面ものテニスコートがあった。もちろん学校関係者以外は敷地に入ることはできないが、そのグラウンドはフェンスの外から中の様子を見ることができた。
雄基がサッカー部に入っていて、今日は部活がある曜日なのは何かの拍子に聞いていた。可能性はうすいだろうが、部活動に専念していてラインに気がつかないのかもしれない。どちらにしてもその場で彼をとっつかまえればいいだけの話だ。
しかしすでに夕闇がせまるグラウンド内は人影がまばらで、その中に雄基らしい人物を見つけることはできなかった。
「すみませーん‼」
ちょうどフェンスのそばにいて、サッカーボールをひろっていた人物にみのりは大声で呼びかけた。幸羽や他の例もあり、直接緑陽の人間に声をかけることの大胆さはよくわかっていたものの、そんなことは知ったこっちゃない。
はじめ、声をかけられた人物は明らかに無視を決め込んでいた。どうやらみのりのような無礼者になれているらしい雰囲気だ。だがさわぎたてるみのりのしつこさにいいかげん耐えかねたらしく、サッカーボールをかかえたままで夕暮れの向こうから近づいて来る。
表情はひどく不機嫌そうだが顔立ちはけっこうなイケメンだった。 みのりはへえっと眉尻を上げた。
──これは音々のドストライクだな。けど、どう見ても彼女持ちだ。
しかしどこかで見たことがある、とふと考え込んだみのりは、雄基と一緒に歩いていた友達であることに気がついた。眉をひそめて自分を見ている人物にはきはきと問いかける。
「あの、すみません。雄基君は今日、学校に来てませんでしたか?」
横柄な態度で見下ろされても物おじしないみのりの様子に、イケメンが面白そうな顔をした。
「もしかして、原の……」
それだけ言ってにやりと笑う。
みのりは両目をぱちくりさせた。何だか状況がよくわからないが、このイケメンは自分のことを雄基の関係者だと知っているらしい。
何度か鳴らしてみたものの、やはり中から返事はなかった。居留守を使っているのかもしれないが、家の外からはわからない。
みのりは再びスマホを持って雄基に連絡を取ってみた。だが昨夜と同様に既読の印さえつくことはなかった。薄いスマホをぎゅっとにぎって唇を強く引き結ぶ。
──のんびりしてる時間はないし、もうこうなったら最後の手段だ。
身をひるがえして向かった先は緑陽のサッカーグラウンドだった。
意中の相手にストーカーばりの行動をしていた幸羽につれられ、みのりも何度か緑陽のキャンパスへ足を運んでいた。私立らしく、ぜいたくな作りの広大なその敷地内は、白を基調とした校舎を中心にいくつかの区画にわかれている。
設備が整いまくっていそうな総合体育館の横に、大小二つのグラウンドと幾面ものテニスコートがあった。もちろん学校関係者以外は敷地に入ることはできないが、そのグラウンドはフェンスの外から中の様子を見ることができた。
雄基がサッカー部に入っていて、今日は部活がある曜日なのは何かの拍子に聞いていた。可能性はうすいだろうが、部活動に専念していてラインに気がつかないのかもしれない。どちらにしてもその場で彼をとっつかまえればいいだけの話だ。
しかしすでに夕闇がせまるグラウンド内は人影がまばらで、その中に雄基らしい人物を見つけることはできなかった。
「すみませーん‼」
ちょうどフェンスのそばにいて、サッカーボールをひろっていた人物にみのりは大声で呼びかけた。幸羽や他の例もあり、直接緑陽の人間に声をかけることの大胆さはよくわかっていたものの、そんなことは知ったこっちゃない。
はじめ、声をかけられた人物は明らかに無視を決め込んでいた。どうやらみのりのような無礼者になれているらしい雰囲気だ。だがさわぎたてるみのりのしつこさにいいかげん耐えかねたらしく、サッカーボールをかかえたままで夕暮れの向こうから近づいて来る。
表情はひどく不機嫌そうだが顔立ちはけっこうなイケメンだった。 みのりはへえっと眉尻を上げた。
──これは音々のドストライクだな。けど、どう見ても彼女持ちだ。
しかしどこかで見たことがある、とふと考え込んだみのりは、雄基と一緒に歩いていた友達であることに気がついた。眉をひそめて自分を見ている人物にはきはきと問いかける。
「あの、すみません。雄基君は今日、学校に来てませんでしたか?」
横柄な態度で見下ろされても物おじしないみのりの様子に、イケメンが面白そうな顔をした。
「もしかして、原の……」
それだけ言ってにやりと笑う。
みのりは両目をぱちくりさせた。何だか状況がよくわからないが、このイケメンは自分のことを雄基の関係者だと知っているらしい。
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