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第二章 バレた後
2.
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みのりは唇を噛みながら、固いと思い込んでいた彼に裏切られた気分を味わっていた。
夢であんなにあっさりと心も体も許したのだから、リアルでもきっとチョロいだろう──「そんな風に思われていたのか」と考えただけで涙が出る。今ここにサンドバッグがあれば、連続突きから回し蹴りへのコンビネーションのいい餌食だ。
──もう絶対に男なんて信用したりするもんか。
みのりは枕に顔を押しつけた。
『犯罪者にだまされた人間って、みんなそう言うんだよね。「そんな人だとは思わなかった」って』
図らずも音々に言われた言葉を今痛切に噛みしめる。
本当に音々の言う通りだった。幸い学校は女子高だ。このまま女子大に進学し、できるだけ女ばかりの職場に就職して人生を終えるのだ。華道関係の仕事だったら女性の比率は九割だ。一応体はまだ清らかだし、立派な妖精になってやる。
──とにかく、男にはもう会わない。
生まれて初めて涙にくれたみのりは固く決意して、やっと落ち着きを取りもどした。
だがそう誓ったばかりなのに、現実はうまく行かないものだ。女ばかりの学校の敷地内から出ようとした時、みのりは妙にロータリーに人が多いことに気がついた。
部活が終わった後はいつもなら閑散としている場所に、なぜか人だかりができている。ざわついている女生徒達は、どうやら校門を出た所にいる何かをうかがっているようだった。
──もしかして、不審者?
みのりは深く眉をよせた。もしも様子がおかしいようなら、職員室へ行かなくてはならない。
みのりは用心しながらも、校門から一歩ふみ出した。そしてその場に立ちすくむ。
そこには見慣れた緑陽の男子が起立するように立っていた。明らかに学校帰りらしく、リュックとスポーツバッグを抱えて、「県立共栄女子高等学校」と大きく校名が記された塀の真ん前にたたずんでいる。
──やっぱり不審者だったじゃないかー‼
みのりはおののき、心中で叫んだ。
みのりが二度と会いたくないと心底思った彼がいた。うす暗くなった景色の中で表情はよくわからなかったが、その端正な横顔はきちんと前を向いている。まるで悪いことをした罰を受け、そこに立たされているようだった。
夢であんなにあっさりと心も体も許したのだから、リアルでもきっとチョロいだろう──「そんな風に思われていたのか」と考えただけで涙が出る。今ここにサンドバッグがあれば、連続突きから回し蹴りへのコンビネーションのいい餌食だ。
──もう絶対に男なんて信用したりするもんか。
みのりは枕に顔を押しつけた。
『犯罪者にだまされた人間って、みんなそう言うんだよね。「そんな人だとは思わなかった」って』
図らずも音々に言われた言葉を今痛切に噛みしめる。
本当に音々の言う通りだった。幸い学校は女子高だ。このまま女子大に進学し、できるだけ女ばかりの職場に就職して人生を終えるのだ。華道関係の仕事だったら女性の比率は九割だ。一応体はまだ清らかだし、立派な妖精になってやる。
──とにかく、男にはもう会わない。
生まれて初めて涙にくれたみのりは固く決意して、やっと落ち着きを取りもどした。
だがそう誓ったばかりなのに、現実はうまく行かないものだ。女ばかりの学校の敷地内から出ようとした時、みのりは妙にロータリーに人が多いことに気がついた。
部活が終わった後はいつもなら閑散としている場所に、なぜか人だかりができている。ざわついている女生徒達は、どうやら校門を出た所にいる何かをうかがっているようだった。
──もしかして、不審者?
みのりは深く眉をよせた。もしも様子がおかしいようなら、職員室へ行かなくてはならない。
みのりは用心しながらも、校門から一歩ふみ出した。そしてその場に立ちすくむ。
そこには見慣れた緑陽の男子が起立するように立っていた。明らかに学校帰りらしく、リュックとスポーツバッグを抱えて、「県立共栄女子高等学校」と大きく校名が記された塀の真ん前にたたずんでいる。
──やっぱり不審者だったじゃないかー‼
みのりはおののき、心中で叫んだ。
みのりが二度と会いたくないと心底思った彼がいた。うす暗くなった景色の中で表情はよくわからなかったが、その端正な横顔はきちんと前を向いている。まるで悪いことをした罰を受け、そこに立たされているようだった。
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