【完結】インキュバスな彼

小波0073

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第一章 バレる前

9.

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 再び頬を上気させ、雄基は視線をそらしたままでもどかしそうに言葉を続けた。

「だから、違うんだ。一ノ瀬が嫌なんじゃない。俺は……」

 そこまで言って口を閉じる。
 その真剣な表情にみのりがあっけに取られていると、雄基は深々とため息をついた。

「とにかく違うから。このままでいいから、俺のことは気にしないでくれ」

 それだけ言って、バッグを抱えて教室から出て行ってしまう。
 みのりは何となく気になって大きな背中の後を追った。店のドアを開け、外に出る。
 商店街の人波の中、つき出た頭をわずかに落とした制服姿のその背中は、なぜかしょんぼりしているように見えた。

     *

 その夜影はしつこかった。

「も、もう、だめ……! 明日、がっこう、あるんだってば‼」

 みのりの抗議を無視するように唇で恥裂をなぶられる。敏感な肉芽を吸い立てながら突いた中指で弱点をこすり、今まで覚えた技巧を駆使して的確に絶頂へのぼらせる。
 三連続でイかされた後、もだえるみのりをひっくり返してバックから責め立てて来た。

「んっ、……──‼」

 下肢をうがった大きなものにみのりは声も出なかった。腰だけ高くかかげた姿で剛直を叩きつけられて、奥で被虐的な快感がはじける。激しく抜き差しされる勢いに口を閉じることもできなくて、中心部がえぐられるごとに喉から勝手に嬌声がこぼれる。

「ひ、あっ、だめっ、やめ、やあッ、もうっ‼」

 影に最奥まで蹂躙されて、みのりはついにしゃくり上げた。
 いつもは嫌がることはしないし、言うことを聞いてくれるのに、今日は「やめて」といくら訴えても止めてくれるような気配がない。その場に顔と両手を伏せた恥ずかしすぎる格好で、背後から犯すような形で貫かれるのはひどすぎる。

「もうっ、やだああ──……!」

 本気で泣き出すみのりの姿に、影ははっとして動きを止めた。ずるっとアレが引きずり出され、みのりはうつぶせにくずれ落ちた。

「やだ、って、言って、んのに……! もう、ほんとにやだ‼ あっち行け‼」

 涙交じりで訴えると、後ろの影はうろたえながらみのりの肩に手をそえた。それを思い切り振り払い、みのりは影をねめつけた。

「こんなことするんならもうしない! 二度と来るな、馬鹿っ‼」

 激しく影に言いつのった後、再び伏せて涙をこぼす。
 影はみのりのそばから離れてしばらくしょんぼりしていたが、いつのまにやらいなくなっていた。

 朝、目を覚ますと生理になっていて、その日から影は来なくなった。
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