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第一章 バレる前
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また、彼は激しい行為のわりに印象が切なげで、熱い思いをみのりに注ぐとやるせなさそうに去って行く。いつも何かが届かないような、彼の中にあるもどかしさを、みのりに対する行為の中で訴えかけているようだった。
そんなこんなで影に通われ、二週間ほどがすぎた頃。のろける幸羽にいらだつ音々が衝撃の事実をつきつけた。
「……ガチであんたも彼氏できたでしょ」
休み時間、連夜の疲れからあくびを噛み殺していたみのりは、音々の冷え切った声に目が覚めた。立ちはだかる音々の迫力に思わずぎくっと顔を上げる。
「え?」
「言っとくけど、とぼけても意味ないから。あんなにめんどくさがってたのに制汗剤とか持ち歩くし、ちゃんとリップで唇ケアとかまめにムダ毛処理してるとか──とにかく最近、色々女らしいのよ! さっさと吐いて楽になれ‼」
「前より女らしくなった」という恥ずかしすぎる指摘とともに、身もふたもない事実を告げられ、みのりは耳まで真っ赤になった。
「お、お、おんならしいって……だって、一応女だし……」
般若のような友人の顔にどもりながらも言葉を返す。
だって、いくら夢の中でも異性に熱烈なキスをされ、自分のすべてを彼の目の前にさらしちゃったりしてるのだ。いくらガサツが通り名のみのりでも、一応女だし気を使う。相手はどこをどう見ても女性に対して初心者だし、あんまり唇がガサガサしてたら女に幻滅するかもしれない。
そんな小さな心づかいが友人にバレてるとは思わなかった。音々の探偵ばりの追及をどうにかこうにか切り抜けると、ほうほうの体でその場から逃げだす。
──ヤバい。
みのりは顔を引きつらせた。友人にバレてるんだから、そりゃあ母親が不審そうな目でみのりを見るのは当たり前だ。風呂の時間が長くなり、面倒くさがりなみのりが毎朝自分で洗濯したりするのだから、おかしいと思うのが普通だろう。もしかしたら、もう父親とかにも相談してたりするのかもしれない。
──はっ、恥ずかしい! 娘がアンアン言ってる寝言が家族会議の議題になってたら‼
それからみのりにはもう一つ、少し気がかりなことがあった。
──まあ、まさかとは思うけど……。想像妊娠したりとかしないよね?
現実にセックスしているわけではないから大丈夫だとは思うが、今の気分は毎晩絶倫の夫に悩む新妻だ。リアルな夢に自分の体がおかしなカン違いをしていたら、困るどころじゃすまされない。
そろそろ来てもいいはずの生理に、まだ立派な処女であるみのりはやたら気を揉む毎日だった。
そんなこんなで影に通われ、二週間ほどがすぎた頃。のろける幸羽にいらだつ音々が衝撃の事実をつきつけた。
「……ガチであんたも彼氏できたでしょ」
休み時間、連夜の疲れからあくびを噛み殺していたみのりは、音々の冷え切った声に目が覚めた。立ちはだかる音々の迫力に思わずぎくっと顔を上げる。
「え?」
「言っとくけど、とぼけても意味ないから。あんなにめんどくさがってたのに制汗剤とか持ち歩くし、ちゃんとリップで唇ケアとかまめにムダ毛処理してるとか──とにかく最近、色々女らしいのよ! さっさと吐いて楽になれ‼」
「前より女らしくなった」という恥ずかしすぎる指摘とともに、身もふたもない事実を告げられ、みのりは耳まで真っ赤になった。
「お、お、おんならしいって……だって、一応女だし……」
般若のような友人の顔にどもりながらも言葉を返す。
だって、いくら夢の中でも異性に熱烈なキスをされ、自分のすべてを彼の目の前にさらしちゃったりしてるのだ。いくらガサツが通り名のみのりでも、一応女だし気を使う。相手はどこをどう見ても女性に対して初心者だし、あんまり唇がガサガサしてたら女に幻滅するかもしれない。
そんな小さな心づかいが友人にバレてるとは思わなかった。音々の探偵ばりの追及をどうにかこうにか切り抜けると、ほうほうの体でその場から逃げだす。
──ヤバい。
みのりは顔を引きつらせた。友人にバレてるんだから、そりゃあ母親が不審そうな目でみのりを見るのは当たり前だ。風呂の時間が長くなり、面倒くさがりなみのりが毎朝自分で洗濯したりするのだから、おかしいと思うのが普通だろう。もしかしたら、もう父親とかにも相談してたりするのかもしれない。
──はっ、恥ずかしい! 娘がアンアン言ってる寝言が家族会議の議題になってたら‼
それからみのりにはもう一つ、少し気がかりなことがあった。
──まあ、まさかとは思うけど……。想像妊娠したりとかしないよね?
現実にセックスしているわけではないから大丈夫だとは思うが、今の気分は毎晩絶倫の夫に悩む新妻だ。リアルな夢に自分の体がおかしなカン違いをしていたら、困るどころじゃすまされない。
そろそろ来てもいいはずの生理に、まだ立派な処女であるみのりはやたら気を揉む毎日だった。
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