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番外編1 柳沢笑香の完璧な恋人
92.初恋と卵焼き、再び 16※
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「ええっ、史郎君!?」
笑香は両方のまぶたを閉じた史郎の顔に仰天した。一つになったままの状態でどうすればいいのかわからない。あわてて上体を起こしてみたが、下半身はいまだに史郎と繋がり合ったままなのだ。
その時、明らかに自分の中の怒張の勢いが衰えた。わっ、と思わず声を上げる。
「しっ、しろうくん、ちょっと!」
あせってつなぎ目をはずそうとすると、ぬるっと中からゴムに包まれた史郎自身が抜け出て来た。眉をしかめて生々しい感覚に耐え、彼の肌から身を離す。
多分、これの後始末をしないと大変なことになるのだろう。それはわかってはいるのだが、史郎がどうやって処理していたのか笑香は一度も見たことがない。視線をおろおろと動かして笑香は史郎の様子をうかがった。だがその安らかと言える寝顔は全く起きる気配がなかった。
仕方なく、笑香は半分目をそむけながら、彼の下半身の状態を見た。はっきり言って見たくはないが、何をするにもきちんとそれを正視しなければ話にならない。
「……」
笑香はほっとため息をついた。ゴムは脱落していないので、放出された史郎のものは外に漏れてはいないようだ。
どうやら史郎もこの二日間で体力を消耗していたらしい。まして笑香がここに来るのに入念な準備をしていたようだし、今までの疲労が蓄積されてついに限界を迎えたのだ。
軽いいびきさえ立てながら眠り込んでいる彼の姿に、笑香はあきらめて決意した。薄々感づいてはいたが、気づきたくなかった現実を見すえる。
──私がこれをはずして、それから……。
笑香は周囲を見回して必要そうな物を集めた。一度小さく息を吐き、半分手探りの状態で史郎のものにふれてみる。先ほどまでのそれとは違う不思議な触感に顔を赤らめた。
「好きでさわってるわけじゃないから!」
小さな声で、誰に言い訳するでもなく口走ってから、何も感じないように自身の心に言い聞かせた。そして笑香は自分がつけた彼の避妊具を抜き取った。わずかにしごいてしまったらしく、濡れ光る先から──もう二度と見たくない、と心の底から笑香は思った──しずくが漏れ出す。
「わ、もれたっ」
思わず声を上げながら大わらわで処理をする。何とか史郎のものを拭き取り、全てをゴミ箱に捨て終えると全身から冷汗が出た。今まで史郎と重ねて来たどんな恥ずかしい行為より、一番疲れる作業だった。
ベッドの脇にどけられていた掛け布団を広げ直し、全く動かない史郎の上に幾分雑にかけてやる。とりあえず手だけは洗いに行って再び史郎の部屋にもどった。もう何もかも億劫になり、のんきに睡眠をむさぼっている史郎の隣に横になる。
つけられたままのライトに気づき、腕をのばして明かりを消す。史郎と共に布団をかぶると笑香はすぐに寝入ってしまった。
笑香は両方のまぶたを閉じた史郎の顔に仰天した。一つになったままの状態でどうすればいいのかわからない。あわてて上体を起こしてみたが、下半身はいまだに史郎と繋がり合ったままなのだ。
その時、明らかに自分の中の怒張の勢いが衰えた。わっ、と思わず声を上げる。
「しっ、しろうくん、ちょっと!」
あせってつなぎ目をはずそうとすると、ぬるっと中からゴムに包まれた史郎自身が抜け出て来た。眉をしかめて生々しい感覚に耐え、彼の肌から身を離す。
多分、これの後始末をしないと大変なことになるのだろう。それはわかってはいるのだが、史郎がどうやって処理していたのか笑香は一度も見たことがない。視線をおろおろと動かして笑香は史郎の様子をうかがった。だがその安らかと言える寝顔は全く起きる気配がなかった。
仕方なく、笑香は半分目をそむけながら、彼の下半身の状態を見た。はっきり言って見たくはないが、何をするにもきちんとそれを正視しなければ話にならない。
「……」
笑香はほっとため息をついた。ゴムは脱落していないので、放出された史郎のものは外に漏れてはいないようだ。
どうやら史郎もこの二日間で体力を消耗していたらしい。まして笑香がここに来るのに入念な準備をしていたようだし、今までの疲労が蓄積されてついに限界を迎えたのだ。
軽いいびきさえ立てながら眠り込んでいる彼の姿に、笑香はあきらめて決意した。薄々感づいてはいたが、気づきたくなかった現実を見すえる。
──私がこれをはずして、それから……。
笑香は周囲を見回して必要そうな物を集めた。一度小さく息を吐き、半分手探りの状態で史郎のものにふれてみる。先ほどまでのそれとは違う不思議な触感に顔を赤らめた。
「好きでさわってるわけじゃないから!」
小さな声で、誰に言い訳するでもなく口走ってから、何も感じないように自身の心に言い聞かせた。そして笑香は自分がつけた彼の避妊具を抜き取った。わずかにしごいてしまったらしく、濡れ光る先から──もう二度と見たくない、と心の底から笑香は思った──しずくが漏れ出す。
「わ、もれたっ」
思わず声を上げながら大わらわで処理をする。何とか史郎のものを拭き取り、全てをゴミ箱に捨て終えると全身から冷汗が出た。今まで史郎と重ねて来たどんな恥ずかしい行為より、一番疲れる作業だった。
ベッドの脇にどけられていた掛け布団を広げ直し、全く動かない史郎の上に幾分雑にかけてやる。とりあえず手だけは洗いに行って再び史郎の部屋にもどった。もう何もかも億劫になり、のんきに睡眠をむさぼっている史郎の隣に横になる。
つけられたままのライトに気づき、腕をのばして明かりを消す。史郎と共に布団をかぶると笑香はすぐに寝入ってしまった。
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