【完結】優等生の幼なじみは私をねらう異常者でした。

小波0073

文字の大きさ
上 下
264 / 293
番外編1 柳沢笑香の完璧な恋人

92.初恋と卵焼き、再び 16※

しおりを挟む
「ええっ、史郎君!?」

 笑香は両方のまぶたを閉じた史郎の顔に仰天した。一つになったままの状態でどうすればいいのかわからない。あわてて上体を起こしてみたが、下半身はいまだに史郎と繋がり合ったままなのだ。
 その時、明らかに自分の中の怒張の勢いが衰えた。わっ、と思わず声を上げる。

「しっ、しろうくん、ちょっと!」

 あせってつなぎ目をはずそうとすると、ぬるっと中からゴムに包まれた史郎自身が抜け出て来た。眉をしかめて生々しい感覚に耐え、彼の肌から身を離す。

 多分、これの後始末をしないと大変なことになるのだろう。それはわかってはいるのだが、史郎がどうやって処理していたのか笑香は一度も見たことがない。視線をおろおろと動かして笑香は史郎の様子をうかがった。だがその安らかと言える寝顔は全く起きる気配がなかった。
 仕方なく、笑香は半分目をそむけながら、彼の下半身の状態を見た。はっきり言って見たくはないが、何をするにもきちんとそれを正視しなければ話にならない。

「……」

 笑香はほっとため息をついた。ゴムは脱落していないので、放出された史郎のものは外に漏れてはいないようだ。
 どうやら史郎もこの二日間で体力を消耗していたらしい。まして笑香がここに来るのに入念な準備をしていたようだし、今までの疲労が蓄積されてついに限界を迎えたのだ。
 軽いいびきさえ立てながら眠り込んでいる彼の姿に、笑香はあきらめて決意した。薄々感づいてはいたが、気づきたくなかった現実を見すえる。

──私がこれをはずして、それから……。

 笑香は周囲を見回して必要そうな物を集めた。一度小さく息を吐き、半分手探りの状態で史郎のものにふれてみる。先ほどまでのそれとは違う不思議な触感に顔を赤らめた。

「好きでさわってるわけじゃないから!」

 小さな声で、誰に言い訳するでもなく口走ってから、何も感じないように自身の心に言い聞かせた。そして笑香は自分がつけた彼の避妊具を抜き取った。わずかにしごいてしまったらしく、濡れ光る先から──もう二度と見たくない、と心の底から笑香は思った──しずくが漏れ出す。

「わ、もれたっ」

 思わず声を上げながら大わらわで処理をする。何とか史郎のものを拭き取り、全てをゴミ箱に捨て終えると全身から冷汗が出た。今まで史郎と重ねて来たどんな恥ずかしい行為より、一番疲れる作業だった。

 ベッドの脇にどけられていた掛け布団を広げ直し、全く動かない史郎の上に幾分雑にかけてやる。とりあえず手だけは洗いに行って再び史郎の部屋にもどった。もう何もかも億劫になり、のんきに睡眠をむさぼっている史郎の隣に横になる。
 つけられたままのライトに気づき、腕をのばして明かりを消す。史郎と共に布団をかぶると笑香はすぐに寝入ってしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

パラサイト/ブランク

羊原ユウ
ホラー
舞台は200X年の日本。寄生生物(パラサイト)という未知の存在が日常に潜む宵ヶ沼市。地元の中学校に通う少年、坂咲青はある日同じクラスメイトの黒河朱莉に夜の旧校舎に呼び出されるのだが、そこで彼を待っていたのはパラサイトに変貌した朱莉の姿だった…。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

羅刹の花嫁 〜帝都、鬼神討伐異聞〜

長月京子
ホラー
【第8回ホラー・ミステリー小説大賞にエントリー中です。楽しんでいただけたら投票で応援していただけると嬉しいです】 自分と目をあわせると、何か良くないことがおきる。 幼い頃からの不吉な体験で、葛葉はそんな不安を抱えていた。 時は明治。 異形が跋扈する帝都。 洋館では晴れやかな婚約披露が開かれていた。 侯爵令嬢と婚約するはずの可畏(かい)は、招待客である葛葉を見つけると、なぜかこう宣言する。 「私の花嫁は彼女だ」と。 幼い頃からの不吉な体験ともつながる、葛葉のもつ特別な異能。 その力を欲して、可畏(かい)は葛葉を仮初の花嫁として事件に同行させる。 文明開化により、華やかに変化した帝都。 頻出する異形がもたらす、怪事件のたどり着く先には? 人と妖、異能と異形、怪異と思惑が錯綜する和風ファンタジー。 (※絵を描くのも好きなので表紙も自作しております) 第7回ホラー・ミステリー小説大賞で奨励賞 第8回キャラ文芸大賞で奨励賞をいただきました。 ありがとうございました!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

美形な幼馴染のヤンデレ過ぎる執着愛

月夜の晩に
BL
愛が過ぎてヤンデレになった攻めくんの話。 ※ホラーです

処理中です...