【完結】優等生の幼なじみは私をねらう異常者でした。

小波0073

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番外編1 柳沢笑香の完璧な恋人

77.初恋と卵焼き、再び 1※

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「もういいよ、入っても」

 笑香が浴槽から声をかけると、待ちかねていた様子の史郎が裸で浴室のドアを開いた。
 うれしいのを我慢しているような幾分しかめた顔をしている。シャワーヘッドを手に取って、史郎は椅子に腰を下ろした。笑香は気恥ずかしい思いを胸に、できるだけ横を見ないようにしてシャワーの音を聞いていた。

「えーと。……中に入っていい?」

 体を洗い終わった史郎がやや遠慮がちに聞いて来る。笑香はおかしさをこらえて言った。

「うん、どうぞ」

 史郎が生真面目な表情をして浴槽の中に入って来た。笑香を意識しないように、自然なそぶりを心がけているのが逆に笑香にも伝わった。バスタブにかけた史郎の腕がぎこちなく動いて湯に入る。どうやら笑香にふれていいものか逡巡しているように見える。

 昨夜と比べてあまりにも違う、初々しいともとれる態度に再度笑いが込み上げる。初体験の時もそうだったのだが、あまりにもお膳立てされていると、史郎的には逆にやりにくいものらしい。普段ははすに構えている彼の愛すべき点を発見し、思わず笑香は微笑んでしまった。

「私もそっちに行っていい?」

 笑香が史郎にたずねると、濡れた前髪を後ろになでつけていた史郎が、ぎくりとした目で笑香を見た。

「え、あ、いいけど。のぼせないか?」
「うん。大丈夫」

 昨夜の反省点を生かし、笑香は湯温をぬるくした後、さほどつからずに史郎を呼んだのだ。
  笑香がそっと体をよせると史郎は肩を緊張させた。二人の素肌が湯の中で触れ合い、小さく水音が鳴る。

「う。──もうだめだ」

 史郎はうめくように言い、むき出しのたくましい腕を笑香の背中に回して来た。笑香を自分の胸に引きよせ、勢いよく唇を重ねる。舌が強引に押し入って来て、笑香はまぶたを閉じながらそれを大人しく受け入れた。
 背筋をはっていた指がせわしなく笑香の肌をまさぐる。笑香の腹部に押しつけられた固く大きな彼の隆起が、今まで以上にその存在感を増して来る。
 笑香が思わず息を詰めると、史郎は一旦舌を抜き、呼吸を抑えてささやいた。

「このままだと今度は僕がのぼせる。ベッドに行こう」
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