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番外編1 柳沢笑香の完璧な恋人

22.柳沢笑香の完璧な恋人 22※

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「──え?」

 ぼんやりとした笑香の反応に、史郎が目線を上にそらしてあっけらかんとした風情をよそおう。

「だから、その。これを君の口の中に入れて、僕を満足させてくれればなって……」
「えええ──っ‼」

 思わず叫んでしまった笑香に、史郎はふてくされたように答えた。

「いいよ。わかったよ、もう。──それはまた今度にする」

──また今度って、それはどういう……。

 心中で突っ込んだ笑香だが、史郎はぷいとそっぽを向いた。手の中で反り返っているものも、先ほどよりも何となく元気がなくなっているような気がする。
 笑香はくすりと笑いを漏らした。彼の望むことにつき合ってやろう、と今考えたばかりなのだ。幸い好きな人の体だし、ちょっと想像してみても特に生理的な嫌悪はないように思われた。

「……どうやってすればいいの」

 笑香が史郎にたずねると、えっ、といった表情をして史郎が笑香を見直した。ぐんとまた勢いを増すもう一つの彼の姿に、笑香は思わず苦笑した。

──主と違って、なんて素直なんだろう。

 むしろ可愛くさえ思えて来た自分の手の中にあるものに、笑香は自ら積極的に指を絡めて聞いてみた。

「確かこうだっけ?」

 以前、史郎に教えてもらった前戯のやり方をまねてみる。湯の中で固い肉柱をしごくと、かき混ぜられた水がはねた。

「う……!」

 俄然やる気になった笑香に驚きの表情を見せながら、史郎はしゃがれた声で次の指示を出した。

「もう少し、強く握って」

 笑香は言う通りにした。少しきつめに動かしてやると、史郎が両方のまぶたを閉じて苦しそうな顔をする。男らしい眉がよせられて、余裕がないのが見て取れた。

「──だめだ」

 前戯の動きを手で押さえられ、笑香は史郎を見直した。
 史郎は息を殺して言った。

「そんなにされたら、口でしてもらう前に出ちゃうよ。ちょっと待って」

 いったん笑香の手を離させて自分も浴槽の外へ出る。バスタブの縁に腰を下ろすと両足の間を大きく広げ、めずらしく恥ずかしそうな顔をした。

「こっち来て。……できる?」

 笑香はそっと体をよせて、史郎の足の間に入った。あらためて史郎のものを見る。

 隆々と立ち上がっている男の人の象徴が、今笑香の前にある。初めて史郎と結ばれた際、暗がりの中で見た時と違って、今は湯けむりが上がっていても明るい浴室の中にいるのだ。興奮した状態のそれがどういう形をしているのか、今度はしっかりわかってしまった。
  考えた以上の大きさと、何とも言えない形状に思わず眉を深くよせる。

──こんなものが足の前にあって、歩くのに邪魔じゃないのかな?
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