【完結】優等生の幼なじみは私をねらう異常者でした。

小波0073

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番外編1 柳沢笑香の完璧な恋人

20.柳沢笑香の完璧な恋人 20※

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 強い腕の力に支えられ、笑香は思わず抗議した。

「あなたが……!」

 史郎の顔を見下ろして、その目が再び色づいていることを知る。回された腕に力がこもり、立った史郎の裸の胸に強引に抱きよせられた。

「……捕まえた」

 笑い交じりにささやく声音はすでに息が早まっていて、笑香は濡れた感触の中で史郎に唇を奪われた。熱くて呼吸もままならない中、強く体を抱きすくめられて酸欠に陥りそうになる。腹にぐいぐいと固い感触の大きなものを押しつけられ、笑香は目が回りそうだった。
 だが、さすがに史郎も今の笑香の状態に気づいたらしく、そっと唇を離すと笑香を清潔そうな床にすわらせた。

「大丈夫か?」

 言って蛇口から水を出し、手のひらですくった冷たい水を笑香に飲ませてくれる。
  笑香は大きく息を吐いた。

「人を何だと思って……」

 そう言いかけて、史郎の表情が再びしゅんとなっているのに気がついた。
 自分がここにいることが心からうれしいのだろう。普段の彼より明らかに浮かれているのが見て取れて、笑香は小さく肩をすくめた。

──本当に子供みたい。

「もう大丈夫だから。私は出るけど、史郎君は入ったばっかりでしょ。もう少しつかってないと風邪引くわよ」

 笑香が笑って言葉をかけると、まだ浴槽の中にいる史郎はすねたような声で答えた。

「一緒にいたいんだ。君が出るなら、僕も出るよ」
「それなら私はここにいるから。とにかく中に沈みなさいよ」

 すでに母親のような気持ちで、笑香は床にすわり直した。
 とりあえずここならバスタブにはさまれ、それほど裸が気にならない。というか何だかどうでもよくなっていた。史郎がこれだけ喜んでいるのだ。今日は色々と考えすぎず、彼の望むことにつきあってやろう。

 だが、それは甘い考えだったことを笑香は思い知らされた。史郎はにっこりと笑い──またあの笑顔だ。もう隠そうともしていない──、湯船の中に膝をついて言った。

「それじゃ、ちょっと手を出して」
「?」

 一応警戒しながらも笑香が右手を差し出すと、その手をつかんで膝立ちになっている自分の前へと持って行く。そして高々と屹立している史郎自身にふれさせた。
 仰天して腕を振り払おうとする笑香の体を逃さずに、もう片方の手を背中に回して自分へと腕ずくで引きよせる。

「……ちょっとだけ。最後までなんてしないから、もうちょっとだけこれさわって」
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