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第五章 夢の終わり
12.
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「どうして、いつもそうやって自分で勝手に話を決めるの!? どうして先に言ってくれないの!?」
僕の家のリビングに立って、笑香は泣きながら僕をなじった。
「約束したのに。ちゃんと聞くって。何をしていいか、ちゃんと先に確かめるって。なのに……!」
僕は笑香の肩にふれた。その手を笑香が振り払う。僕は言った。
「ごめん。でも、これで最後にするから」
「最後? 最後って」
僕を見つめる笑香の瞳。憎悪にも似た激しい視線。僕は笑香の手首を捕らえた。
「……大丈夫。僕は絶対に君を離さない。僕がどんなにしつこいか、もう君はわかってるだろ? 向こうに行っても毎日連絡するし、週末には必ずもどって来るから。──約束するよ」
「嫌だ」
笑香は僕の顔をにらみつけた。
「史郎君がいなくなったら、絶対に彼氏を作ってやるんだから。史郎君なんかよりずっと優しくて、もっとかっこいい彼氏を」
僕の手のひらに力がこもった。笑香が僕の目を見上げる。
「──し……ろ、うく……ふッ!」
僕は言葉を唇でふさいだ。
舌で強引に口を割る。激しく笑香の舌を絡め取り、まるでむさぼるような形で笑香の中を蹂躙する。笑香は始め抵抗したが、僕が力づくで抑え込むとやがて体の力を抜いた。
僕は笑香を抱きしめた。
「……ゆるさない」
唇を離すと、僕はあえぐようにつぶやいた。
「僕のことを忘れるなんて、絶対に許さないからな。君がどんなに僕から逃げても一生君を追いかけて、絶対に僕の物にしてやる。──覚えてろよ」
濡れた瞳が僕を見上げた。
もう、言葉さえいらなかった。
僕達は再び唇を求めた。思うさま笑香の舌を吸い、笑香に僕を覚えさせる。口の中がいっぱいになり、たがいに絡み合う笑香の舌で満足に呼吸もできない。それは笑香も同じようで、苦しげな顔で僕にしがみつき、やがて目じりから涙をこぼした。
僕は窒息する寸前でやっと笑香の唇を離した。はあはあと肩で息をして、笑香がだらりと体を預けてくる。僕達は抱きしめ合ったまま、しばらくその場に立っていた。
笑香がつぶやくようにたずねた。
「あの時の続き、する?」
僕の体がぴくりと反応した。
「したい。けど、……できないよ」
もう僕達はわかっていた。今ここでそれをしてしまったら、二度と離れることなんてできない。
「うん。できないね」
笑香が涙声で笑う。
「──僕も、君の写真が欲しいな」
僕は静かに言った。
「僕の写真は持ってるんだろ?」
笑香が僕の顔を見直した。今まで流した涙と羞恥で耳まで真っ赤になっている。
「なっ、なんでそれを」
僕はくすりと笑って続けた。
「勇人に聞いた。体育祭の時の画像、いつの間に撮ったんだ?」
あの時。どうしようもない状態だった、あんな時の僕でも笑香は見ていてくれたのだ。
僕の家のリビングに立って、笑香は泣きながら僕をなじった。
「約束したのに。ちゃんと聞くって。何をしていいか、ちゃんと先に確かめるって。なのに……!」
僕は笑香の肩にふれた。その手を笑香が振り払う。僕は言った。
「ごめん。でも、これで最後にするから」
「最後? 最後って」
僕を見つめる笑香の瞳。憎悪にも似た激しい視線。僕は笑香の手首を捕らえた。
「……大丈夫。僕は絶対に君を離さない。僕がどんなにしつこいか、もう君はわかってるだろ? 向こうに行っても毎日連絡するし、週末には必ずもどって来るから。──約束するよ」
「嫌だ」
笑香は僕の顔をにらみつけた。
「史郎君がいなくなったら、絶対に彼氏を作ってやるんだから。史郎君なんかよりずっと優しくて、もっとかっこいい彼氏を」
僕の手のひらに力がこもった。笑香が僕の目を見上げる。
「──し……ろ、うく……ふッ!」
僕は言葉を唇でふさいだ。
舌で強引に口を割る。激しく笑香の舌を絡め取り、まるでむさぼるような形で笑香の中を蹂躙する。笑香は始め抵抗したが、僕が力づくで抑え込むとやがて体の力を抜いた。
僕は笑香を抱きしめた。
「……ゆるさない」
唇を離すと、僕はあえぐようにつぶやいた。
「僕のことを忘れるなんて、絶対に許さないからな。君がどんなに僕から逃げても一生君を追いかけて、絶対に僕の物にしてやる。──覚えてろよ」
濡れた瞳が僕を見上げた。
もう、言葉さえいらなかった。
僕達は再び唇を求めた。思うさま笑香の舌を吸い、笑香に僕を覚えさせる。口の中がいっぱいになり、たがいに絡み合う笑香の舌で満足に呼吸もできない。それは笑香も同じようで、苦しげな顔で僕にしがみつき、やがて目じりから涙をこぼした。
僕は窒息する寸前でやっと笑香の唇を離した。はあはあと肩で息をして、笑香がだらりと体を預けてくる。僕達は抱きしめ合ったまま、しばらくその場に立っていた。
笑香がつぶやくようにたずねた。
「あの時の続き、する?」
僕の体がぴくりと反応した。
「したい。けど、……できないよ」
もう僕達はわかっていた。今ここでそれをしてしまったら、二度と離れることなんてできない。
「うん。できないね」
笑香が涙声で笑う。
「──僕も、君の写真が欲しいな」
僕は静かに言った。
「僕の写真は持ってるんだろ?」
笑香が僕の顔を見直した。今まで流した涙と羞恥で耳まで真っ赤になっている。
「なっ、なんでそれを」
僕はくすりと笑って続けた。
「勇人に聞いた。体育祭の時の画像、いつの間に撮ったんだ?」
あの時。どうしようもない状態だった、あんな時の僕でも笑香は見ていてくれたのだ。
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