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ラブアンドライフ
05
しおりを挟む焦れて下からおいたをする八色を睨めつけるも、涙ぐんで赤らんだ顔では迫力がないらしい。ニヤニヤといやらしい眼で見られるだけだった。這い上がってきた掌がシャツの中で龍の胸元をすりすりあやす。ツンとした突起を長い指に挟まれるとびりびりが走り抜けた。気が付いて八色が、龍にもゴムをかぶせてくれる。
飲むより挿れて出すほうがいい。その信条に従って懸命に腰を揺する。初めて中に入れてもらえた時、あんまり身体がうすいのでかたちが浮き出そうと揶揄されて、最後まで下腹をやたら触れたり見つめたりとかまわれて本気で太ろうと思った。しかしたくさん食べたところですぐ身になるわけじゃないとわかり、無駄な抵抗はやめなさいと八色にも笑われて、何もしないまま今に至っている。
女性と付き合っていたならなお体格や体重の違いは感じるだろう。痩せているほうが、乗っかられても重くないし怖くないし、生々しくないと悟ってからはもやしでよかったと感謝していた。膝にのせるとさすがに身長の分かさばるため、そこはうまくないけれど。自分の重みを極力かけないよう動きながらも気を払っている龍に、八色は下から物言いたげな視線を投げ続けていた。
舐めるまえに、もっとしとけばよかった。キスが欲しくなって龍は仕方なしに自分の指をくちのなかに押し込む。濡れた舌をいじりまわす。時折鋭い部分を八色が押し潰してくると嬌声をかみ殺して歯を立てる。悲鳴は消せても腰の震えは誤魔化せなくて、びくんっと大きく跳ねて液だまりを埋めたのを察し、美貌が満足げにすうっと目を細めた。
「あ、やぁ、……んっ、まだ、いって、る、ッ」
「クッソ締まる、……く、キツ」
「……う、ごくな、ぁっ……~~ア、ああっ、こう、」
顫動する内壁を無理やり掻き分けて下から強く突かれ、高みからおりられずにがくがく揺さぶられる。腰を支えるように添えられていた手がいつの間にかがっちりと掴んで龍を八色に押しつける。もうこれ以上は咥えられないまで咥え込んでいるのに、そこから膝を立てさせられて、完全に座る格好でなかの通り道を限定された。
「いーい眺めだわ」
「あっ、あっ、んっ、はっあ、やっ、も、」
このエロオヤジ、と無声で罵倒する。狭くなった胎内を奥めがけて突き進んでくる熱芯の逞しさに驚き、ごりごり削られてよがり狂い、人工のぬめりを全部掻き出されるくらい抜き差しされて声も出せずにのぼり詰める。吐き出さずに立て続けに打ち上げられて、息も絶え絶えになっている龍をどこか感心して見あげてくる男が愛しくて憎らしくて、わざとぎゅううっと食い締めてやってようやく八色も恋人の奥深くで劣情を迸らせた。
弾ける刹那、艶めかしい動きで仰け反ったしろい喉に身を乗り出してちいさく吸いつく。痕は残せなくても行為だけで充分だった。しているのはネコでも実際龍は八色の上にいて、淡い金髪を悩ましくシーツに散らして遂情する様をつぶさに眺めて、男としての矜持が保たれている気がする。たとえ倍も達かされていても。おまけに中イキ。こりゃ明日は役立たずだ。
「はっ……あー、きもち……」
「そりゃ、よかった、な」
「龍」
せがまれて、恐る恐る唇を重ねる。これが自分の本当にしたいセックスかどうかなんてどうでも良い。求められることをただ返すだけ。他の方法など知らない。だからこれでいいのだとずっと思ってきた。これでまだ八色の傍にいられる。まだ。
身体を起こしているだけがもうきつくて龍はゆっくり腰を離すとベッドに寝転んだ。八色の手が伸びてきて、若干汗っぽくなってしまったTシャツを引き剥がす。彼はとっくに肌を晒していた。裸で抱き合う心地よさと心許なさに眦からぽろっと涙がひと粒つたっていく。あやすように背中を撫でおろされ、止まらなくなってしまった。泣き顔を見られたくなくてぐっと頭をもぐり込ませる。
「あー……やべえ、もう一回してえわ」
「ダメだって、平日だろ」
「先っぽだけだからよ」
「何だそれ」
龍を笑わせようとしたのだとわかったのは翌日になってからだった。八色は優しい。龍なんかには勿体ないくらい。
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