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本編

◇ 第四夜

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 その夜もサーシャが扉をゆっくり三回叩いたので、コンスタンツェは部屋に入れた。

「今日は……」

 どうするのですかとコンスタンツェが続けようとした時、サーシャはにっこり笑って彼女を抱き上げ、寝台へそっと横たえた。
 いつもと違う流れにコンスタンツェが困惑していると、サーシャは彼女に覆いかぶさるようにして言った。

「本日は、お身体を拝見いたします」

 サーシャはコンスタンツェが纏っているものをそっと脱がせていった。飾り紐を丁寧に解き、薄絹の夜着を取り払い、下着もゆっくり外す。
 秘められた場所は既にふれられてしまったため、感覚が狂っているのだろう。コンスタンツェは衣服を剥がれることに存外抵抗を感じていない自分に気づいた。
 全てを脱がせ終わると、サーシャは嘆息し、コンスタンツェの指先にそっとくちづけた。

「ああ、コニーの玉体は……なんと素晴らしい……!」

 サーシャが陶然とした表情で言った。この言葉はアレクサンドル陛下から賜るべきもので、胸を高鳴らせてはいけない、とコンスタンツェは自分に言い聞かせる。サーシャの視線が身体を這い廻っているようで、コンスタンツェは全く落ち着かなかった。
 サーシャはコンスタンツェの腹に円を描くようにくちづけを落としていく。

『ここに熱と快感がどんどんたまっていきます』

 昨夜のあやふやな意識の中での痴態を思い出さずにはおれない。今夜もまた、コンスタンツェの気持ちなど無視され、ひたすら官能を覚え込まされるのだ。

 初めて薄絹越しではなく直接ふれられた胸は、サーシャの動きが非常に優しかったため、どうしても高鳴りがやまなかった。自分でふれてもちっとも気持ちよくならなかったのに。サーシャはコンスタンツェの左胸に手を当てると、くすりと笑う。

「ああ、胸が早鐘を打っています。コニー、興奮しているんですね」

 恥ずかしいと思うとコンスタンツェの秘所は蜜をこぼしてしまう。気になって、思わず股を擦り合わせていた。サーシャはコンスタンツェの反応を見逃さず、手を秘所にふれる。つぅっとサーシャの指から銀糸が引いた。

「これまでのことをきちんと覚えていて、素晴らしいです。コニー」

 今夜は最初から人差し指を挿れ、サーシャはゆっくり抽挿した。ほとんど抵抗なく入ってしまったし、動かされても痛みはない。サーシャはしばらくしてから中指も足し、問題ないと判断して薬指も足した。男の太い指を三本も咥え込んだ淫らな身体。コンスタンツェは自分の身体が不可逆に変わってしまったことを実感し、涙をこぼした。さすがにサーシャも指の動きを止め、優しい声で言う。

「コニー、私を信じてくださいませ。力を抜いて受け止めていただければよいのです」

 サーシャはコンスタンツェの手のひらにくちづけを落とした。秘所に指を挿れたまま、サーシャはコンスタンツェの手のひらをそっと舐めた。サーシャの優しい舌にコンスタンツェは翻弄される。

「あっ……ああ、なんだか身体が変です……」
「変ではないですよ。どんどん蜜が溢れています」

 サーシャは秘所に挿れた三本の指を再び動かし始めた。最初は前後のみの動きだったのが、次第に三本の指でばらばらの方向を擦り始めていた。サーシャの指でコンスタンツェの中はどんどん広げられている。処女なのに膣の中の快楽を覚え始めている。夫となる皇帝を身体が裏切って、奴隷から丁寧だが勝手に扱われている。羞恥心と背徳感がないまぜになり、コンスタンツェの身体はどんどん高まっていった。サーシャの指の角度が変わり花芽も一緒に擦り上げた時、コンスタンツェはあっけなく達した。

 しばらくしてコンスタンツェが意識を取り戻した時、サーシャがまだいたので、昨夜のことを訊ねた。

「サーシャ、あなたは魔法を使えるのですか?」
「いいえ。昨夜は取り寄せた魔法薬を使いました」
「口に含んで? サーシャ自身には効かないのですか?」
「薬には耐性がありますので」

 サーシャは蠱惑的な笑みを浮かべ、コンスタンツェに改めて問いかけてきた。

「コニーこそ、魔法を使えないのですか? 王族は使えることが多いと聞きますが」
「いいえ。私は取り立てて特徴のない人間です」
「私には魔法が使えるようにしか見えません。コニーの榛色ヘーゼルの瞳は、まるで春の陽だまりに草木が萌え出づるようです」

 じっと見つめてきたサーシャの瞳から、コンスタンツェはどうしても本心を読み取ることができない。黒は全てを隠す色。
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