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第十章 扉が閉じて別の扉が開く

310 お前の光は今どこにある ⑦

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 私がカモミールティーを持っていくと、サンドイッチは小さく切られて大皿に盛られ、別の大皿にスコーンとマフィンとロールパンが盛られていた。ちゃんとバターとジャムも出してくれている。

「ごめん。食べやすいかなと思って、半分じゃなく四つに切った」
「ありがとう。イギリスパン、縦長だもんね。確かにその方が食べやすそう」

 カモミールティーをサーブし、いただくことにした。

「「いただきます」」

 新くんはサンドイッチに手を伸ばし、口にした。私も新くんが挟んでくれた組み合わせを楽しむことにする。レタスとハムは間違いのない味。

「あっ」
「どうかした?」
「若葉ちゃんが作ってくれたきゅうりのサンドイッチ、おいしい」

 新くんがなんだかびっくりしたような表情を浮かべているので、私は胸を張って言う。

「でしょう? 貴族のサンドイッチだから」
「貴族?」
「昔のイギリスではきゅうりはとっても高級な食材で、貴族しか食べられなかったんだって」
「なるほど、貴族のサンドイッチ」
「本当は、アフターヌーンティーに食べるものらしいんだけどね」

 他のサンドイッチもスコーンもマフィンもロールパンも食べた。カモミールティーも飲み干した。おなかいっぱい。
 新くんが洗い物をしてくれるというので任せた。なんだか眠くなってきちゃった。レタスのせいかな。カモミールティーも飲んだし。

「若葉」

 半ば眠りに入りかけた時に声を掛けられ、思わずびくりと身体が震えた。

「……なあに?」
「若葉、行きなさい。せっかくのチャンスなんだから」

 この時、行為中以外で初めて、新くんは私を呼び捨てにした。



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When one door shuts, another opens.
一つのドアが閉まる時、もう一つが開く。捨てる神あれば拾う神あり。
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