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第十章 扉が閉じて別の扉が開く
278 人生のロールプレイング ⑤
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やらなければならないことがたくさんある。就職活動、三浦先生に見ていただく和訳と草稿、新学期が始まったら二つのゼミの準備、卒論の執筆。新くんと一緒に過ごせる時間がどんどん短くなっていく。
「あのね……わがままだと思うんだけど、これから一緒に勉強しない?」
こう切り出すのは、結構勇気がいった。ついいちゃいちゃしてしまうから、きちんとやるべきことをこなすために一緒に過ごすのは基本的に週末だけと決めたのに。都合よく意見を変えるのかと思われたり、集中できなくて邪魔だから嫌だと言われたりしても仕方ない。
「いいよ、もちろん」
新くんがさらりと同意してくれてほっとする。
「新くんも英語の勉強、するんだ」
「うん。第一志望は教科書会社だけど、受かるとは限らないし、英語は使えるに越したことはないから」
新くんの行動は、いつも現実的で的確。私とは正反対だ。
「若葉ちゃんが英語の試験たくさん受けてるから、僕も刺激された。とりあえず、TOEICは受けるよ。あとはSPIの勉強もしようかな」
新くんはにこにこ笑って私にそう告げた。
新くんと同じ空間で過ごす時間の増加は、私に大きな安心感をもたらした。付き合い始めた頃はお互いのことしか見ていなかったから、やるべきことがおろそかになってしまったけれど、今ならこんな感じでもきっと大丈夫。どうすればいいのかわからない、そんな漠然とした不安を忘れられる。
ああ、もっと早く提案すればよかった。あとは就職を決めて、卒論をきちんと仕上げればいい。やるべきことをこなせば、幸せは約束されているのだから。
「あのね……わがままだと思うんだけど、これから一緒に勉強しない?」
こう切り出すのは、結構勇気がいった。ついいちゃいちゃしてしまうから、きちんとやるべきことをこなすために一緒に過ごすのは基本的に週末だけと決めたのに。都合よく意見を変えるのかと思われたり、集中できなくて邪魔だから嫌だと言われたりしても仕方ない。
「いいよ、もちろん」
新くんがさらりと同意してくれてほっとする。
「新くんも英語の勉強、するんだ」
「うん。第一志望は教科書会社だけど、受かるとは限らないし、英語は使えるに越したことはないから」
新くんの行動は、いつも現実的で的確。私とは正反対だ。
「若葉ちゃんが英語の試験たくさん受けてるから、僕も刺激された。とりあえず、TOEICは受けるよ。あとはSPIの勉強もしようかな」
新くんはにこにこ笑って私にそう告げた。
新くんと同じ空間で過ごす時間の増加は、私に大きな安心感をもたらした。付き合い始めた頃はお互いのことしか見ていなかったから、やるべきことがおろそかになってしまったけれど、今ならこんな感じでもきっと大丈夫。どうすればいいのかわからない、そんな漠然とした不安を忘れられる。
ああ、もっと早く提案すればよかった。あとは就職を決めて、卒論をきちんと仕上げればいい。やるべきことをこなせば、幸せは約束されているのだから。
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