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第十章 扉が閉じて別の扉が開く
273 あなたが一番の贈りもの ④
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目覚めると、部屋にはすっかり明るい光が差し込んでいた。壁に掛けられた時計を見ると、もうお昼近く。いけない、起きなきゃ。ベッドから出ようとして、枕元に小さな包みがあることに気づいた。
「若葉ちゃん、おはよう」
「これ、なあに?」
「クリスマスプレゼント」
あ……。プレゼントの準備をすっかり忘れていたことに気づき、申し訳ない気持ちになる。私の顔を見て、新くんは優しい声で言ってくれた。
「僕が若葉ちゃんのサンタになりたかっただけだよ。それに去年のプレゼント交換みたいにちょっとしたものだから」
「……開けていい?」
「もちろん」
包みを開けると、中に入っていたのは、丸いコンパクト型の銀色の鏡だった。表面に薄く彫られている花柄がとても綺麗。持ち運び用に可愛らしいピンク色の巾着もついている。
「若葉ちゃん、付き合い始めた日に、ウィリアム・モリスのピンパーネルが好きって言ってたでしょう。この模様、なんだか似てるなあと思って」
「覚えててくれたんだ……」
言われてみると、確かにクラシカルな雰囲気で、少し似ているかもしれない。
「巾着も可愛い」
「桃色、若葉ちゃんに似合うなと思って」
「成人式の振袖?」
「振袖も桃色だったけど、僕の誕生日にピンク・レディをテーマにしてくれたのを思い出して。『いつも美しく』って、若葉ちゃんにぴったりだなと思ったから」
新くん、カクテル言葉に気づいてくれたんだ。
新くんはいつも、私の考えていることを理解しようとしてくれる。みんながみんなそんな風に接してくれる訳じゃない。とても嬉しくて、なんだか上手く言葉が出なかったけど、大事にするねと伝えた。
「若葉ちゃん、おはよう」
「これ、なあに?」
「クリスマスプレゼント」
あ……。プレゼントの準備をすっかり忘れていたことに気づき、申し訳ない気持ちになる。私の顔を見て、新くんは優しい声で言ってくれた。
「僕が若葉ちゃんのサンタになりたかっただけだよ。それに去年のプレゼント交換みたいにちょっとしたものだから」
「……開けていい?」
「もちろん」
包みを開けると、中に入っていたのは、丸いコンパクト型の銀色の鏡だった。表面に薄く彫られている花柄がとても綺麗。持ち運び用に可愛らしいピンク色の巾着もついている。
「若葉ちゃん、付き合い始めた日に、ウィリアム・モリスのピンパーネルが好きって言ってたでしょう。この模様、なんだか似てるなあと思って」
「覚えててくれたんだ……」
言われてみると、確かにクラシカルな雰囲気で、少し似ているかもしれない。
「巾着も可愛い」
「桃色、若葉ちゃんに似合うなと思って」
「成人式の振袖?」
「振袖も桃色だったけど、僕の誕生日にピンク・レディをテーマにしてくれたのを思い出して。『いつも美しく』って、若葉ちゃんにぴったりだなと思ったから」
新くん、カクテル言葉に気づいてくれたんだ。
新くんはいつも、私の考えていることを理解しようとしてくれる。みんながみんなそんな風に接してくれる訳じゃない。とても嬉しくて、なんだか上手く言葉が出なかったけど、大事にするねと伝えた。
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