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第九章 青天にいかずちが落ちる
245 世界人類ネコと和解せよ ①
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ものすごく、ものすごく気が進まない。でも、これがおそらく、最良の手段。
意を決し、僕は電話を掛けた。
四コール目でつながった。運命は四回扉を叩く、なんて言葉を思い出してどきりとする。
「おひさしぶりです……」
「何? 珍しいわね」
電話の相手は、姉だ。今まで全然交流していないのに、困った時だけ頼るなんて、虫がよすぎるのでは……。でも、姉以上に出版業界に詳しい人間を、僕は知らない。
「何の用なの?」
「その……」
「別に隠さなくったっていい。私を利用したい何かがあるんでしょ? 没交渉の姉に連絡してくるなんて、それくらいしかない」
辛辣。だけど正しい。
「時間の無駄だから先に言っとく。宗教の勧誘と借金の連帯保証人は断るから」
「そんなんじゃないよ」
相変わらずきっぱりした人だ。容赦ない。でも、以前のような嫌悪感はない。ここのところ人間の多様性を実感することが増えて考えが変わったところもあるし、単に離れて暮らしているから気にならなくなったのかもしれないけど。
「じゃあ何? 私も暇じゃないから、早く言って」
「……相談したいことがあるから、会ってほしいんだけど」
姉は少しの間黙っていた。
「本当に宗教でも借金でもないのね?」
「……そうじゃないことは保証します」
「私が無理と思ったら即帰るけど、それでもいい?」
「……いいです」
意を決し、僕は電話を掛けた。
四コール目でつながった。運命は四回扉を叩く、なんて言葉を思い出してどきりとする。
「おひさしぶりです……」
「何? 珍しいわね」
電話の相手は、姉だ。今まで全然交流していないのに、困った時だけ頼るなんて、虫がよすぎるのでは……。でも、姉以上に出版業界に詳しい人間を、僕は知らない。
「何の用なの?」
「その……」
「別に隠さなくったっていい。私を利用したい何かがあるんでしょ? 没交渉の姉に連絡してくるなんて、それくらいしかない」
辛辣。だけど正しい。
「時間の無駄だから先に言っとく。宗教の勧誘と借金の連帯保証人は断るから」
「そんなんじゃないよ」
相変わらずきっぱりした人だ。容赦ない。でも、以前のような嫌悪感はない。ここのところ人間の多様性を実感することが増えて考えが変わったところもあるし、単に離れて暮らしているから気にならなくなったのかもしれないけど。
「じゃあ何? 私も暇じゃないから、早く言って」
「……相談したいことがあるから、会ってほしいんだけど」
姉は少しの間黙っていた。
「本当に宗教でも借金でもないのね?」
「……そうじゃないことは保証します」
「私が無理と思ったら即帰るけど、それでもいい?」
「……いいです」
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