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第九章 青天にいかずちが落ちる
241 愛の反対は無関心である ①
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長いようで短いバイトを終え、僕はピーターラビット号に乗り込んだ。後は帰るだけなのに、なぜかエンジンをかける気力が湧かなくて、運転席でしばらくぼんやりする。気力を削がれると、本来得意ではないことからできなくなっていく。この調子だと夕飯は作れないだろう。そう思った僕は、気力を振り絞ってエンジンをかけ、少し遠回りをしてお弁当を買って帰った。
部屋へと辿り着いたのは十八時過ぎ。いつもより帰宅が早いというのもあるけれど、なんだかむしゃくしゃして食欲が湧かない。仕方がないのでシャワーを浴びた。少しすっきりし、食欲が戻ってきた気がするので、お弁当を食べる。あまり味を感じないけど、綺麗に平らげた。残すのはもったいない。
安心したのかどっと疲れが出てきたので、僕は諦めてベッドに横たわった。今日はもう何もしなくてよし。無理をするのはよくない。眠ろう。そう思うのに、なんだか神経が高ぶって眠れない。
僕は諦めて、原因と向き合うことにする。
今日、片岡に会うなんて、思いもしなかった。片岡について考えているうちに嫌なことに気づいてしまい、僕は思いの外ダメージを受けている。
僕の片岡に対する印象はあまりよくなかった。若葉ちゃんの元彼だからではない。教職の授業での話の進め方が独善的すぎたからだ。片岡は自分の正しさをまるで疑っていないように僕には見えた。正義感が強い人間にありがちな傾向だ。
片岡も僕と組んで仕事をするのは気まずかったのだろう。三浦先生の研究室前で鉢合わせした瞬間、はっきり眉を寄せた。彼は感情を隠せない人間だ。
でも、任された仕事はきちんと全うしようとしていた。僕の反応から読み上げのペースを落として復唱する等、気遣いを感じた。相手が誰であれ尊厳を持って接し、責任を放棄するような真似はしないのだなと、少し印象が変わった。
部屋へと辿り着いたのは十八時過ぎ。いつもより帰宅が早いというのもあるけれど、なんだかむしゃくしゃして食欲が湧かない。仕方がないのでシャワーを浴びた。少しすっきりし、食欲が戻ってきた気がするので、お弁当を食べる。あまり味を感じないけど、綺麗に平らげた。残すのはもったいない。
安心したのかどっと疲れが出てきたので、僕は諦めてベッドに横たわった。今日はもう何もしなくてよし。無理をするのはよくない。眠ろう。そう思うのに、なんだか神経が高ぶって眠れない。
僕は諦めて、原因と向き合うことにする。
今日、片岡に会うなんて、思いもしなかった。片岡について考えているうちに嫌なことに気づいてしまい、僕は思いの外ダメージを受けている。
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片岡も僕と組んで仕事をするのは気まずかったのだろう。三浦先生の研究室前で鉢合わせした瞬間、はっきり眉を寄せた。彼は感情を隠せない人間だ。
でも、任された仕事はきちんと全うしようとしていた。僕の反応から読み上げのペースを落として復唱する等、気遣いを感じた。相手が誰であれ尊厳を持って接し、責任を放棄するような真似はしないのだなと、少し印象が変わった。
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