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第九章 青天にいかずちが落ちる
238 素敵な靴は素敵な場所へ ④
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「若葉ちゃん。次はどこに行く?」
「うーん……。デパートのカウンターに理奈ちゃんの化粧品を見に行こう!」
「……ドラッグストアなんかで、若葉ちゃんに選んでもらっちゃ駄目?」
「理奈ちゃんが似合いそうな色は私でも選べるかもしれないけど、カウンターでBAさんにメイクの方法も教えてもらう方がお得かなあと思ったの」
「……緊張するけどがんばってみるね」
どうしたら理奈ちゃんの魅力がより活きそうか考え、質感重視で落ち着いた色味が充実しているメーカーのカウンターを訪ねた。
初心者なのできちんと見えるようなメイクを知りたいですと告げると、BAさんは似合うアイテムの選び方や綺麗に見えるコツを示しながら、メイクを施してくださる。眼鏡を掛けていても映えるポイントも教えてくださって、さすがBAさんだなあと思った。
「わあ……! 目元がはっきりして、すごくきちんとして見えます!」
「理奈ちゃん、とっても綺麗!」
BAさんはさすがで、理奈ちゃんの穏やかさと理知的な雰囲気を活かし、綺麗に仕上げてくださった。でも、使ったアイテム数が多い。全部買ったら結構な金額になるし、初心者には使いこなすのが難しそうなものも入っていた気がする。そう思った私は、あえて少し大きな声で理奈ちゃんに話し掛けた。
「理奈ちゃん。しばらく過ごしてみて、メイクがどんな風に崩れるか様子を見た方がいいと思うの」
「……そうなの?」
「うん」
BAさんがどんなアイテムを使ったかのメモをくださり、よかったらまた来てくださいねとおっしゃったので、私達はカウンターを後にした。
「若葉ちゃん、買わなくてよかったの?」
「本当に少し時間を置かないとわからないことってあるもの。私も初めて使う化粧品は、タッチアップ後しばらく様子を見て、気に入ったものだけ買うことにしているの」
「そういう風にしていいんだ……」
「買う気がないのにメイクだけしてもらうのはよくないけど、選んで買うのはいいと思う! 様子を見ている間に服を選ぼう!」
理奈ちゃんは少しシックでフェミニンな雰囲気のものが似合いそう。そう思った私は、赤いワンピースを買ったお店へ案内した。
目的はスカートのみ。一気にいろいろ揃えて買った通りの組み合わせしかできなくなるよりも、手持ちのものと組み合わせられるものを買って徐々にワードローブを整えていく方が現実的だと思ったから。新くんとの初めてのデートの時とおんなじ発想。
首尾よく素敵なスカートが見つかり、試着した理奈ちゃんも気に入ってくれたので、購入が決定した。店員さんに包装してもらっている間に理奈ちゃんへ話し掛ける。
「理奈ちゃん。唇と肌、突っ張ったり痛かったりしない?」
「それはないけど、ベースメイクが少しマットすぎる気がして、ちょっと違和感があるの」
「確かに、いつもの理奈ちゃんのメイクの方が、肌は綺麗に見える気がするなあ」
理奈ちゃんにどれを選んだらいいかと率直に訊ねられたので、メモを見ながらチェックを入れた。理奈ちゃんも使い方に不安があるアイテムだったようで、メモを見て頷いている。
スカートのお会計を済ませたその足で化粧品のカウンターに戻り、理奈ちゃんは結局私が薦めたいくつかのポイントメイクアイテムだけを購入した。
「うーん……。デパートのカウンターに理奈ちゃんの化粧品を見に行こう!」
「……ドラッグストアなんかで、若葉ちゃんに選んでもらっちゃ駄目?」
「理奈ちゃんが似合いそうな色は私でも選べるかもしれないけど、カウンターでBAさんにメイクの方法も教えてもらう方がお得かなあと思ったの」
「……緊張するけどがんばってみるね」
どうしたら理奈ちゃんの魅力がより活きそうか考え、質感重視で落ち着いた色味が充実しているメーカーのカウンターを訪ねた。
初心者なのできちんと見えるようなメイクを知りたいですと告げると、BAさんは似合うアイテムの選び方や綺麗に見えるコツを示しながら、メイクを施してくださる。眼鏡を掛けていても映えるポイントも教えてくださって、さすがBAさんだなあと思った。
「わあ……! 目元がはっきりして、すごくきちんとして見えます!」
「理奈ちゃん、とっても綺麗!」
BAさんはさすがで、理奈ちゃんの穏やかさと理知的な雰囲気を活かし、綺麗に仕上げてくださった。でも、使ったアイテム数が多い。全部買ったら結構な金額になるし、初心者には使いこなすのが難しそうなものも入っていた気がする。そう思った私は、あえて少し大きな声で理奈ちゃんに話し掛けた。
「理奈ちゃん。しばらく過ごしてみて、メイクがどんな風に崩れるか様子を見た方がいいと思うの」
「……そうなの?」
「うん」
BAさんがどんなアイテムを使ったかのメモをくださり、よかったらまた来てくださいねとおっしゃったので、私達はカウンターを後にした。
「若葉ちゃん、買わなくてよかったの?」
「本当に少し時間を置かないとわからないことってあるもの。私も初めて使う化粧品は、タッチアップ後しばらく様子を見て、気に入ったものだけ買うことにしているの」
「そういう風にしていいんだ……」
「買う気がないのにメイクだけしてもらうのはよくないけど、選んで買うのはいいと思う! 様子を見ている間に服を選ぼう!」
理奈ちゃんは少しシックでフェミニンな雰囲気のものが似合いそう。そう思った私は、赤いワンピースを買ったお店へ案内した。
目的はスカートのみ。一気にいろいろ揃えて買った通りの組み合わせしかできなくなるよりも、手持ちのものと組み合わせられるものを買って徐々にワードローブを整えていく方が現実的だと思ったから。新くんとの初めてのデートの時とおんなじ発想。
首尾よく素敵なスカートが見つかり、試着した理奈ちゃんも気に入ってくれたので、購入が決定した。店員さんに包装してもらっている間に理奈ちゃんへ話し掛ける。
「理奈ちゃん。唇と肌、突っ張ったり痛かったりしない?」
「それはないけど、ベースメイクが少しマットすぎる気がして、ちょっと違和感があるの」
「確かに、いつもの理奈ちゃんのメイクの方が、肌は綺麗に見える気がするなあ」
理奈ちゃんにどれを選んだらいいかと率直に訊ねられたので、メモを見ながらチェックを入れた。理奈ちゃんも使い方に不安があるアイテムだったようで、メモを見て頷いている。
スカートのお会計を済ませたその足で化粧品のカウンターに戻り、理奈ちゃんは結局私が薦めたいくつかのポイントメイクアイテムだけを購入した。
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