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第九章 青天にいかずちが落ちる
227 ああ、素晴らしい新世界 ②
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あっというまに玲美ちゃんと約束した弟さんのコンクールの日が来た。時間が経つのはどうしてこんなに早いんだろう。
私は赤いワンピースを纏うことにした。身体のラインに沿った七分袖で、腰より少し下に切り替えがあり、アシンメトリーになっている裾が綺麗。素敵だと一目惚れして買ったけど、普段着るには少し大人の雰囲気だし、意外と季節も選ぶので、なんだか身に着ける機会を失っていたのだ。
鏡の中の私はいつもと少し違って見える。少し開きの大きい襟ぐりが心もとなくて、新くんからもらった菜の花の帯留めに金の鎖を通し、首に掛けた。新くんに守ってもらっているような気がして、なんだかほっとする。
アパートの前で待っていると、「若葉ちゃん」と少し遠くから声を掛けられた。新くんだ! ひさしぶりにゆっくり会えるのが嬉しくて、いそいそとピーターラビット号の助手席に乗り込む。
「新くん、今日はありがとう。運転よろしくお願いします!」
私がシートベルトを締めると、新くんはゆっくり発車させた。
「今日の格好、大人っぽいね。若葉ちゃんが赤着てるの、珍しい気がする」
「きちんとした場じゃないとなかなか着られない服だから、いい機会だと思って!」
「似合ってるよ」
微笑む新くんこそ、大人びて見える。今日の新くんは、黒いスーツに白いシャツを纏い、焦げ茶の地に細い水色を組み合わせたストライプのネクタイを着けていた。ああ、スーツで運転する姿、格好よくてどきどきするなあ。
「今日、新くんも大人っぽい」
「きちんとした服がスーツくらいしかなかったからだよ」
「ネクタイも素敵」
「若葉ちゃんが焦げ茶似合うって言ってくれたから。あと、水色がピーターラビット号っぽいかなと思って」
新くん、私の言葉からネクタイを選んでくれたんだ。なんだかとても嬉しくなった。
私は赤いワンピースを纏うことにした。身体のラインに沿った七分袖で、腰より少し下に切り替えがあり、アシンメトリーになっている裾が綺麗。素敵だと一目惚れして買ったけど、普段着るには少し大人の雰囲気だし、意外と季節も選ぶので、なんだか身に着ける機会を失っていたのだ。
鏡の中の私はいつもと少し違って見える。少し開きの大きい襟ぐりが心もとなくて、新くんからもらった菜の花の帯留めに金の鎖を通し、首に掛けた。新くんに守ってもらっているような気がして、なんだかほっとする。
アパートの前で待っていると、「若葉ちゃん」と少し遠くから声を掛けられた。新くんだ! ひさしぶりにゆっくり会えるのが嬉しくて、いそいそとピーターラビット号の助手席に乗り込む。
「新くん、今日はありがとう。運転よろしくお願いします!」
私がシートベルトを締めると、新くんはゆっくり発車させた。
「今日の格好、大人っぽいね。若葉ちゃんが赤着てるの、珍しい気がする」
「きちんとした場じゃないとなかなか着られない服だから、いい機会だと思って!」
「似合ってるよ」
微笑む新くんこそ、大人びて見える。今日の新くんは、黒いスーツに白いシャツを纏い、焦げ茶の地に細い水色を組み合わせたストライプのネクタイを着けていた。ああ、スーツで運転する姿、格好よくてどきどきするなあ。
「今日、新くんも大人っぽい」
「きちんとした服がスーツくらいしかなかったからだよ」
「ネクタイも素敵」
「若葉ちゃんが焦げ茶似合うって言ってくれたから。あと、水色がピーターラビット号っぽいかなと思って」
新くん、私の言葉からネクタイを選んでくれたんだ。なんだかとても嬉しくなった。
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