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第九章 青天にいかずちが落ちる
222 卒業後はタブラ・ラーサ ③
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帰宅して、三浦先生に見ていただいている講読の予習をする。三浦ゼミの発表が当たっていない週は、個人の予習に集中できていい。次回は先生のご都合で、いつもの月曜の二限から火曜の二限に変わったから、少し余裕もあるし。
三浦先生と一対一の講読もずいぶん慣れてきた。最初の頃は文章全体の解釈とどんな訳語をあてるべきかで迷うことが多かったけれど。テキストが書かれた時代や作者の癖から推測できることが増えてきて、最近では予習の時間をそこまでかけずとも正確に訳せるようになってきている。三浦先生にも褒められるし、自分でも成長を実感できて、とても嬉しい。
予習を終え、なんとなくピアノ曲が聞きたくなったので、スマホを取り出した。少し考えて、シューベルトの即興曲を選択する。作品90の4。私が最後に習った曲。難しかったけど、とても綺麗で、弾いていて楽しかったな。
玲美ちゃんの弟さん、コンクールの全国大会ってすごいなあ。
ピアノは小学六年生まで習っていた。楽しかったし、音感も悪くないと言われた。でも、続ける気はなくて。好きなままでいたい。だから中学進学を機に、やめてしまった。
バレエは中学二年生まで習っていた。楽しかったし、舞台映えもすると言われた。でも、極める気はなくて。好きなままでいたい。だから高校受験を機に、やめてしまった。
私には好きなものがたくさんある。でも、絶対譲れないものは、そんなになかったような気もする。
もしかすると、私は今、これまでの人生で一番真剣にものごとに取り組んでいるのかもしれない。
三浦先生と一対一の講読もずいぶん慣れてきた。最初の頃は文章全体の解釈とどんな訳語をあてるべきかで迷うことが多かったけれど。テキストが書かれた時代や作者の癖から推測できることが増えてきて、最近では予習の時間をそこまでかけずとも正確に訳せるようになってきている。三浦先生にも褒められるし、自分でも成長を実感できて、とても嬉しい。
予習を終え、なんとなくピアノ曲が聞きたくなったので、スマホを取り出した。少し考えて、シューベルトの即興曲を選択する。作品90の4。私が最後に習った曲。難しかったけど、とても綺麗で、弾いていて楽しかったな。
玲美ちゃんの弟さん、コンクールの全国大会ってすごいなあ。
ピアノは小学六年生まで習っていた。楽しかったし、音感も悪くないと言われた。でも、続ける気はなくて。好きなままでいたい。だから中学進学を機に、やめてしまった。
バレエは中学二年生まで習っていた。楽しかったし、舞台映えもすると言われた。でも、極める気はなくて。好きなままでいたい。だから高校受験を機に、やめてしまった。
私には好きなものがたくさんある。でも、絶対譲れないものは、そんなになかったような気もする。
もしかすると、私は今、これまでの人生で一番真剣にものごとに取り組んでいるのかもしれない。
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