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第七章 雨が降れば必ず土砂降り
167 牧羊犬と牧畜犬と救助犬 ⑤
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「仕事に就いたくらいじゃ、何も変わらない。それは、職場の先輩も言ってた。こっちからは大人に見える人も、内心、大人になれてないって思ってるのかも」
「目から鱗」
「俺みたいな見え方のこと、最近『色覚障害』から『色覚多様性』って言葉に言い換えられるようになってきてるんだけど、気に入ってるよ。多数派とは違う見え方だから、不便なことはやっぱりある。でも、俺以外のみんなも、それぞれグラデーションの中で生きてる」
急に話が飛んだ気がして、思わず首をかしげる。疑問符が浮かんでいるであろう僕の顔を見て、響さんは笑顔で付け足した。
「誰にでもできないことはある。できないことはできる誰かに助けてもらえばいいし、自分ができることをがんばって誰かを助ければいい。何が大人かって難しいけど、俺は、できないことに適切な対策を取れるのが大人なんじゃないかと思う」
さらりと響さんは言った。全てを一人で解決しようとしていた自分が、なんだか恥ずかしくなる。
響さんの感覚はなんだか独特で、論理展開も少し不思議だけど、着地点は妙に説得力がある。年齢は関係なく、僕の中で、響さんは大人の男の人という位置づけだ。だから今日も、若葉ちゃんのお兄さんとしてではなく、信頼する先輩として誘いに喜んで乗ったし、恋愛と将来の漠然とした不安を、つい、話したくなってしまった。
きっと僕も、自分なりの何かを見つけたいんだ。
「目から鱗」
「俺みたいな見え方のこと、最近『色覚障害』から『色覚多様性』って言葉に言い換えられるようになってきてるんだけど、気に入ってるよ。多数派とは違う見え方だから、不便なことはやっぱりある。でも、俺以外のみんなも、それぞれグラデーションの中で生きてる」
急に話が飛んだ気がして、思わず首をかしげる。疑問符が浮かんでいるであろう僕の顔を見て、響さんは笑顔で付け足した。
「誰にでもできないことはある。できないことはできる誰かに助けてもらえばいいし、自分ができることをがんばって誰かを助ければいい。何が大人かって難しいけど、俺は、できないことに適切な対策を取れるのが大人なんじゃないかと思う」
さらりと響さんは言った。全てを一人で解決しようとしていた自分が、なんだか恥ずかしくなる。
響さんの感覚はなんだか独特で、論理展開も少し不思議だけど、着地点は妙に説得力がある。年齢は関係なく、僕の中で、響さんは大人の男の人という位置づけだ。だから今日も、若葉ちゃんのお兄さんとしてではなく、信頼する先輩として誘いに喜んで乗ったし、恋愛と将来の漠然とした不安を、つい、話したくなってしまった。
きっと僕も、自分なりの何かを見つけたいんだ。
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