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第七章 雨が降れば必ず土砂降り
154 特別メニュー詰め合わせ ④
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「ゼミが二限なののいいところは、終わったらそのまま一緒にお昼ごはん食べられることだよね!」
「待ち合わせ時間のロスがないもんね」
玲美ちゃんは淡々と答える。
「玲美ちゃん、今日のコーディネート、とっても素敵だよ!」
私がそう言うと、玲美ちゃんは黙った。玲美ちゃんは照れると黙る。最初は機嫌が悪いのかと勘違いしていた。
今日の玲美ちゃんは、連休前に一緒に買った淡いピンクのトップスに、五分丈の紺色のカーディガンを合わせ、白いロングスカートというコーディネート。いつもより色味があってなんだか嬉しくなってしまう。
数回相良ゼミで一緒に過ごしたけど、やっぱりいつものシックな色合わせで、いろんな玲美ちゃんを見たい私は、「ちょうどいい季節だし、今度あのトップス着てきて!」とお願いしたのだ。玲美ちゃんは優しい。お願いしたら、なんだかんだ言って、叶えてくれる。
食堂に着き、メニューを選んで、いざ食べようとした時、スマホに着信があった。
「もしもし? ひさしぶり! ……うん。……うん。え、今、大学? 第二食堂にいるけど。……うん、校庭側の窓際の席。……うん、わかった。待ってるね!」
玲美ちゃんが不思議そうな顔をする。
「なんかあった?」
「ごめんね! お兄ちゃんがこっちに来てて、実家からことづけられた荷物を持ってきてるって電話で」
「え」
玲美ちゃんがそれきり黙ってしまったので、とりあえず引き続きごはんを食べることにした。今日は鯵の塩焼き定食。フィッシュボーンにしていると、どうしてもお魚を食べたくなってしまう。やっぱり旬のものはおいしいなあ。
「若葉」
お兄ちゃんの声がしたので振り返った。
「ひさしぶり」
「ひさしぶり! どうしたの? 急に」
「実家近くでイベントの仕事があったんだ。直帰でよかったし、ちょうど休みとつなげられたから、昨日は実家に泊まった。母さんに頼まれたし、帰り道だし、若葉に会ってくかと思って」
お兄ちゃんは私に紙袋を渡してくる。そっと覗いてみると、お母さんお手製のシフォンケーキとクッキーが入ってる。やった! お母さんは私のお料理とお菓子作りの師匠。とってもおいしくて魔法みたいで、私もこんな風に作れたらなって思って挑戦し始めたんだよね。後で玲美ちゃんにもおすそ分けして、残りは明日の夜、新くんと一緒に食べよう。
「待ち合わせ時間のロスがないもんね」
玲美ちゃんは淡々と答える。
「玲美ちゃん、今日のコーディネート、とっても素敵だよ!」
私がそう言うと、玲美ちゃんは黙った。玲美ちゃんは照れると黙る。最初は機嫌が悪いのかと勘違いしていた。
今日の玲美ちゃんは、連休前に一緒に買った淡いピンクのトップスに、五分丈の紺色のカーディガンを合わせ、白いロングスカートというコーディネート。いつもより色味があってなんだか嬉しくなってしまう。
数回相良ゼミで一緒に過ごしたけど、やっぱりいつものシックな色合わせで、いろんな玲美ちゃんを見たい私は、「ちょうどいい季節だし、今度あのトップス着てきて!」とお願いしたのだ。玲美ちゃんは優しい。お願いしたら、なんだかんだ言って、叶えてくれる。
食堂に着き、メニューを選んで、いざ食べようとした時、スマホに着信があった。
「もしもし? ひさしぶり! ……うん。……うん。え、今、大学? 第二食堂にいるけど。……うん、校庭側の窓際の席。……うん、わかった。待ってるね!」
玲美ちゃんが不思議そうな顔をする。
「なんかあった?」
「ごめんね! お兄ちゃんがこっちに来てて、実家からことづけられた荷物を持ってきてるって電話で」
「え」
玲美ちゃんがそれきり黙ってしまったので、とりあえず引き続きごはんを食べることにした。今日は鯵の塩焼き定食。フィッシュボーンにしていると、どうしてもお魚を食べたくなってしまう。やっぱり旬のものはおいしいなあ。
「若葉」
お兄ちゃんの声がしたので振り返った。
「ひさしぶり」
「ひさしぶり! どうしたの? 急に」
「実家近くでイベントの仕事があったんだ。直帰でよかったし、ちょうど休みとつなげられたから、昨日は実家に泊まった。母さんに頼まれたし、帰り道だし、若葉に会ってくかと思って」
お兄ちゃんは私に紙袋を渡してくる。そっと覗いてみると、お母さんお手製のシフォンケーキとクッキーが入ってる。やった! お母さんは私のお料理とお菓子作りの師匠。とってもおいしくて魔法みたいで、私もこんな風に作れたらなって思って挑戦し始めたんだよね。後で玲美ちゃんにもおすそ分けして、残りは明日の夜、新くんと一緒に食べよう。
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