153 / 352
第七章 雨が降れば必ず土砂降り
152 特別メニュー詰め合わせ ②
しおりを挟む
疲れてしまったので、少し休憩することにした。
新くんからもらった誕生日プレゼントを手のひらに乗せる。
菜の花をモティーフにした帯留め。とっても可愛くて、素敵で、暇さえあれば眺めてしまう。ヘアゴムを通して髪飾りにするのもいいけど、スカーフ留めにしたり、鎖を通してペンダントヘッドとして使うのもいいかもしれない。考えるのが楽しい。
新くんが私のために選んでくれたもの。かけがえのないものをもらうことができて、とっても嬉しい。
『僕が選んだ一番素敵なものは、若葉ちゃんだよ』
そんな風に言ってもらえるなんて思ってもなくて。気づいたら涙がこぼれていた。
新くんは、彼女だからじゃなくて、私を大切にしてくれる。私自身を好きだって言ってくれるから、心から幸せを感じる。
人を比べるのはよくないことだと思う。でも、心のすみっこにずっとひっかかっていることがあった。
元彼は私のことを好きだったのではなくて、彼女という存在が欲しかっただけなんじゃないかな、って。そんな思いを、どうしても拭うことができなかった。
私は元彼の理想の彼女になることはできなかった。元彼の願いを叶えられなかったことも、喜ばせられなかったことも、がんばっても私が私のままでは駄目なんだと感じてしまうことも、苦しかった。
新くんがくれた「若葉ちゃんの願いをなんでも一つ叶える券」を眺める。新くん自身がパソコンで作って印刷してくれたそう。よく「僕はセンスがない」って新くんは言うけど、フォントや配置をいろいろ工夫してくれていることが伝わってきて、今見るととても嬉しい。
願いをなんでも一つって、すごいプレゼントだ。だって、なんでもっていうところに私がつけ込んで、とんでもない要求をする可能性だってあるのに。私に対する信頼と、必ず叶えるという意思が、新くんの中にあるんだ。
私は本当は最初からとっても素敵なプレゼントをもらっていた。真価に気づくのが遅くなってしまって、申し訳なかったけれど。「これ!」という思いにとらわれ過ぎていると、大事なことに気づけないのかもしれないな。
新くんにもらった菜の花の帯留めと願いを叶える券を見ていると、もう少しがんばれる気がする。
そろそろ勉強に戻ろう。私は再びノートと辞書を開き、シャープペンシルを手に取った。
新くんからもらった誕生日プレゼントを手のひらに乗せる。
菜の花をモティーフにした帯留め。とっても可愛くて、素敵で、暇さえあれば眺めてしまう。ヘアゴムを通して髪飾りにするのもいいけど、スカーフ留めにしたり、鎖を通してペンダントヘッドとして使うのもいいかもしれない。考えるのが楽しい。
新くんが私のために選んでくれたもの。かけがえのないものをもらうことができて、とっても嬉しい。
『僕が選んだ一番素敵なものは、若葉ちゃんだよ』
そんな風に言ってもらえるなんて思ってもなくて。気づいたら涙がこぼれていた。
新くんは、彼女だからじゃなくて、私を大切にしてくれる。私自身を好きだって言ってくれるから、心から幸せを感じる。
人を比べるのはよくないことだと思う。でも、心のすみっこにずっとひっかかっていることがあった。
元彼は私のことを好きだったのではなくて、彼女という存在が欲しかっただけなんじゃないかな、って。そんな思いを、どうしても拭うことができなかった。
私は元彼の理想の彼女になることはできなかった。元彼の願いを叶えられなかったことも、喜ばせられなかったことも、がんばっても私が私のままでは駄目なんだと感じてしまうことも、苦しかった。
新くんがくれた「若葉ちゃんの願いをなんでも一つ叶える券」を眺める。新くん自身がパソコンで作って印刷してくれたそう。よく「僕はセンスがない」って新くんは言うけど、フォントや配置をいろいろ工夫してくれていることが伝わってきて、今見るととても嬉しい。
願いをなんでも一つって、すごいプレゼントだ。だって、なんでもっていうところに私がつけ込んで、とんでもない要求をする可能性だってあるのに。私に対する信頼と、必ず叶えるという意思が、新くんの中にあるんだ。
私は本当は最初からとっても素敵なプレゼントをもらっていた。真価に気づくのが遅くなってしまって、申し訳なかったけれど。「これ!」という思いにとらわれ過ぎていると、大事なことに気づけないのかもしれないな。
新くんにもらった菜の花の帯留めと願いを叶える券を見ていると、もう少しがんばれる気がする。
そろそろ勉強に戻ろう。私は再びノートと辞書を開き、シャープペンシルを手に取った。
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる