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第五章 今が一番よいタイミング

123 大和くんはご機嫌ナナメ ②

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 お兄ちゃんの顔を見ると、申し訳なさそうな表情を浮かべている。

「すまん。元彼のこと、大和に言ってるとばかり思ってて。正月、あいつ誘導上手いから、さも知ってるかのようにふるまって、写真見せた後に若葉からは聞いてなかったんだって気づいた」
「ううん。タイミング外しちゃって、言いそびれてただけ」

 お兄ちゃんは何か考える様子で、天井を見上げた。

「大和、たぶん、いろいろ考えてたと思う」
「え? 何を?」
「元彼と付き合い始めたのに気づいたの、大和の方が先」
「お兄ちゃんに紹介したのは、一年の秋だよね」

 一年の夏に付き合い始めたけど、お兄ちゃんは四年生で、就職活動や卒論の準備でバタバタしていたから、切り出す機会がなくて。

「夏休みに帰省した時に雰囲気変わってたから、ぴんときたらしい」
「そうだったんだ」
「冬休みに帰省した時になんか様子がおかしくて、二年の春休みは帰ってこなかったから心配してたらしいし、ようやく帰ってきた夏休みも落ち込んでる感じがしたから、悪い男に振り回されているんじゃないかと気になってたみたいだ」

 大和くんは小さい頃から理系で。科学実験と自然観察が大好きで、科学者になりたいって言ってたから、そういう方向に進むものだとばかり思っていた。
 急にお医者さんを目指すって言い出した時は、正直少しびっくりして、でも大和くんの人生なんだから好きにしたらいいと思っていたんだけど。向いているかもしれないな。人のことも、よく観察していたんだ。
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