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第五章 今が一番よいタイミング
119 私の彼氏と素敵な自動車 ②
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「本日はご来店ありがとうございます。安田と申します」
ヤスさんは丁寧に頭を下げ、新くんに名刺を渡していた。印字部分が箔押しになっていて、とっても素敵な名刺。ヤスさんは絵が上手だし、洋服の色合わせもいつもこなれているし、センスがいいんだよね。
「名刺、若葉ちゃんには渡したことなかったっけ?」
「はい。初めて見ました」
「それは申し訳なかった。どうぞ」
ヤスさんは私にも名刺をうやうやしく差し出してくださったので、お礼を言ってありがたく受け取った。付き添いで来ただけなのに、なんだか得しちゃった。
「あれ、ヤス、お前まだ肩書きついてないんだ?」
俺にもくれとヤスさんから名刺をもらったお兄ちゃんが、紙片をじっと眺めながら言う。
「まだまだ父が現役だし、僕は修行中」
「会社は二代目が大事って聞いたことある」
痛いところを突かれた、という感じにヤスさんは苦笑いをする。
「そう、会社ってパイオニアの初代と軌道に乗せて発展させる三代目が目立つけど、次にタスキをつなぐ二代目がすごく重要だってずっと言われてきてて、めちゃくちゃプレッシャー感じてる。僕はうっかりものだし」
うっかりものという言葉を聞いて、お兄ちゃんはいろいろ思い出したのか、笑顔で新くんに告げる。
「ヤスとは小学校からの親友なんだけど、クラスでなんか困ったことがあったら、『犯人はヤス』ってまず言われてて」
「ちょっと、響くん、こんなところで僕の黒歴史を暴露しないでよ。若葉ちゃんの前では『頼れるお兄さん』でいたいのに」
「頼れるお兄さんです!」
「いや、でも、なんだかんだでみんなから好かれてたよ」
お兄ちゃんの言葉を聞いて、ヤスさんは嬉しそうに笑った。
ヤスさんは丁寧に頭を下げ、新くんに名刺を渡していた。印字部分が箔押しになっていて、とっても素敵な名刺。ヤスさんは絵が上手だし、洋服の色合わせもいつもこなれているし、センスがいいんだよね。
「名刺、若葉ちゃんには渡したことなかったっけ?」
「はい。初めて見ました」
「それは申し訳なかった。どうぞ」
ヤスさんは私にも名刺をうやうやしく差し出してくださったので、お礼を言ってありがたく受け取った。付き添いで来ただけなのに、なんだか得しちゃった。
「あれ、ヤス、お前まだ肩書きついてないんだ?」
俺にもくれとヤスさんから名刺をもらったお兄ちゃんが、紙片をじっと眺めながら言う。
「まだまだ父が現役だし、僕は修行中」
「会社は二代目が大事って聞いたことある」
痛いところを突かれた、という感じにヤスさんは苦笑いをする。
「そう、会社ってパイオニアの初代と軌道に乗せて発展させる三代目が目立つけど、次にタスキをつなぐ二代目がすごく重要だってずっと言われてきてて、めちゃくちゃプレッシャー感じてる。僕はうっかりものだし」
うっかりものという言葉を聞いて、お兄ちゃんはいろいろ思い出したのか、笑顔で新くんに告げる。
「ヤスとは小学校からの親友なんだけど、クラスでなんか困ったことがあったら、『犯人はヤス』ってまず言われてて」
「ちょっと、響くん、こんなところで僕の黒歴史を暴露しないでよ。若葉ちゃんの前では『頼れるお兄さん』でいたいのに」
「頼れるお兄さんです!」
「いや、でも、なんだかんだでみんなから好かれてたよ」
お兄ちゃんの言葉を聞いて、ヤスさんは嬉しそうに笑った。
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