【R18】人の好みは説明できない

テキイチ

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第五章 今が一番よいタイミング

113 私と彼氏の甘やかな時間 ①

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 お互い自分のすべきことを優先しようと、結局ホワイトデー以降も会うのは基本週一になった。
 今日は私の家に新くんがお泊り。ごはんを食べ、少しゆったり過ごしていたら、いきなり提案された。

「ねえ、若葉ちゃん」
「なあに?」
「一緒にお風呂入りたい」

 突然そんなことを言われてちょっとびっくりする。

「僕の部屋だと狭いから一緒に入れないし」
「確かに新くん家のお風呂、二人では無理だよね」
「その点、若葉ちゃん家なら一緒に入れるかなあと思って」
「どうかなあ」

 うちのお風呂も二人入るかな? ちょっと想像するけど、空間認知があまり得意ではないから、今ひとつピンとこない。

「どうしていきなり?」
「盛り上がるとつい、お風呂飛ばしがちになっちゃうから、宣言してみた」

 確かに。私達はほとんどの場合、そのままベッドに雪崩れ込んでしまう。

「うーん」
「嫌?」

 新くんが少し心配そうに私の顔を覗き込んでくるので、あわてて否定する。

「ううん! もちろんいいんだけど、一緒に頭や身体洗うスペースも椅子もないから、どうしようかと思って。私が先に入って洗ってから、新くんが来てくれたらいいのかな?」

 普段の所要時間を考えると、新くんの方が断然手早いから、私が先に入る方がいいんじゃないかなと思った。

「若葉ちゃんはうまくいくようにいろいろ考えてくれるから、とても助かるよ」

 微笑んでくれた新くんに、私はまたヤラレてしまう。この笑顔、何度でも好きになっちゃう。

「じゃあ、私が先に入るね。十分くらいしたら来て!」
「わかった」

 新くんの穏やかな笑みがまぶしくて。思わずちゅっとキスを落とす。

「若葉ちゃん……」

 予想外だったのか、新くんが珍しく目をまるくしている。

「不意打ち」

 私は上機嫌でお風呂場へと向かった。
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