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第四章 走る前に歩くことを学べ
093 問題に気づくまでが問題 ①
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帰省したのは、専門の研究を進めたかったのと、TOEICを受験するため。
三浦先生に「履歴書にも書けますし、TOEICとTOEFL、受けておきませんか」と勧められて。進路は全然決まっていないけど、確かに受けておいて損はないよね。そう思ったから、先生のお勧めに従うことにした。
いざ実家に帰ると、お父さんもお母さんも優しいし、弟の大和くんは可愛いし、ごはんもおいしい。私はとってものんびり過ごしてしまっている。
「や・ま・と・くん!」
日曜、お母さんに呼んでくるよう頼まれたので、弟の部屋の扉を叩く。大和くん、平日も寝起き悪いけど、休日は死んだように寝ている。
「……何?」
扉がゆっくり開くけど、部屋の中は暗い。カーテン閉めっぱなし。大和くんはいかにも寝起きという顔。パジャマだし、眼鏡もずれてる。
「大和くん。もうお昼ごはんの時間だよ」
「……わかった」
そう言いながら、足はベッドに戻ろうとしてる。これ、絶対また寝るやつ。
「今日のお昼、大和くんの好きなシーフードスパゲティだよ! 温かい方がおいしいよ!」
「……わかった」
そう言いながら、扉を閉じようとするので、切り札を出す。
「今日のおやつ、大和くんの好きなロールケーキ、焼くよ!」
「…………わかった。着替える」
きっと、逆算して、今ごはん食べておかないと、ケーキをおいしく食べられないって思ったんだ。作戦勝ち!
私がリビングに戻ってしばらくして、大和くんがあらわれた。シャツとカーディガンとジーンズというなんということはない服装だけど、背が高いから、我が弟ながら格好いい。ちょっと新くんと似ているかも。眼鏡だし、お兄ちゃんより線が細いし。でも新くんより大和くんはクールだ。黒いスクエアのメタルフレームが、とてもよく似合っていると思う。
三浦先生に「履歴書にも書けますし、TOEICとTOEFL、受けておきませんか」と勧められて。進路は全然決まっていないけど、確かに受けておいて損はないよね。そう思ったから、先生のお勧めに従うことにした。
いざ実家に帰ると、お父さんもお母さんも優しいし、弟の大和くんは可愛いし、ごはんもおいしい。私はとってものんびり過ごしてしまっている。
「や・ま・と・くん!」
日曜、お母さんに呼んでくるよう頼まれたので、弟の部屋の扉を叩く。大和くん、平日も寝起き悪いけど、休日は死んだように寝ている。
「……何?」
扉がゆっくり開くけど、部屋の中は暗い。カーテン閉めっぱなし。大和くんはいかにも寝起きという顔。パジャマだし、眼鏡もずれてる。
「大和くん。もうお昼ごはんの時間だよ」
「……わかった」
そう言いながら、足はベッドに戻ろうとしてる。これ、絶対また寝るやつ。
「今日のお昼、大和くんの好きなシーフードスパゲティだよ! 温かい方がおいしいよ!」
「……わかった」
そう言いながら、扉を閉じようとするので、切り札を出す。
「今日のおやつ、大和くんの好きなロールケーキ、焼くよ!」
「…………わかった。着替える」
きっと、逆算して、今ごはん食べておかないと、ケーキをおいしく食べられないって思ったんだ。作戦勝ち!
私がリビングに戻ってしばらくして、大和くんがあらわれた。シャツとカーディガンとジーンズというなんということはない服装だけど、背が高いから、我が弟ながら格好いい。ちょっと新くんと似ているかも。眼鏡だし、お兄ちゃんより線が細いし。でも新くんより大和くんはクールだ。黒いスクエアのメタルフレームが、とてもよく似合っていると思う。
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