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第四章 走る前に歩くことを学べ
083 雨だれはショパンの音色 ②
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春休みで利用する学生が少ないからか、学食のメニューはいつもより少な目。迷った末、私は鯖の味噌煮定食にした。フィッシュボーンにしてる日は、ついお魚を選んでしまう。玲美ちゃんはカツ丼。
席に戻って、いただきますと言ったところで、BGMが流行りのラブソングに変わった。「君を愛してる」、そんな歌詞が流れて、つい、思い出してしまう。
『若葉、愛してるよ』
後期試験が終わった翌日、新くんは情熱的なまなざしを私に向け、そう言ってくれた。そしてぎゅっと抱きしめてくれて。
ああ、もう、何度、反芻しただろう。思い出すたびに、胸がときめく。
新くんからは、今までも、とっても大切にされているなあって感じてた。でも、言葉にしてもらえると、すごくすごく嬉しい。
「若葉、お箸落ちそう」
玲美ちゃんの声にはっとする。しまった! 今日のニットはサックスブルーで、スカートは淡いベージュだから、どっちにしろお味噌がついたら悲惨だ。
「ご、ごめん。ありがと」
「急に赤くなったり、きゃあきゃあ言いながら手をぱたぱたしたり、見てる方は楽しいからいいけど」
玲美ちゃんは笑顔でそう言ってくれるけど、さすがに恥ずかしい。
私がたまに意識を飛ばしてしまっても、玲美ちゃんは怒らずに付き合ってくれるし、時にはそっと手を差し伸べてくれる。はっきりものを言うから誤解されることもあるけど、私は玲美ちゃんを大らかな人だと思ってる。許容範囲が広いもの。
「渋沢くんのこと、考えてたんでしょ」
「わ、わかる?」
「わかる。めちゃくちゃ幸せそうだから」
「うん……。とっても嬉しいことがあって……もう何度も思い出してる……」
「ごちそうさま」
玲美ちゃんはやっぱりにこにこ笑ってくれる。元彼の時とは違って、新くんとのことは、すごく応援されている気がする。
席に戻って、いただきますと言ったところで、BGMが流行りのラブソングに変わった。「君を愛してる」、そんな歌詞が流れて、つい、思い出してしまう。
『若葉、愛してるよ』
後期試験が終わった翌日、新くんは情熱的なまなざしを私に向け、そう言ってくれた。そしてぎゅっと抱きしめてくれて。
ああ、もう、何度、反芻しただろう。思い出すたびに、胸がときめく。
新くんからは、今までも、とっても大切にされているなあって感じてた。でも、言葉にしてもらえると、すごくすごく嬉しい。
「若葉、お箸落ちそう」
玲美ちゃんの声にはっとする。しまった! 今日のニットはサックスブルーで、スカートは淡いベージュだから、どっちにしろお味噌がついたら悲惨だ。
「ご、ごめん。ありがと」
「急に赤くなったり、きゃあきゃあ言いながら手をぱたぱたしたり、見てる方は楽しいからいいけど」
玲美ちゃんは笑顔でそう言ってくれるけど、さすがに恥ずかしい。
私がたまに意識を飛ばしてしまっても、玲美ちゃんは怒らずに付き合ってくれるし、時にはそっと手を差し伸べてくれる。はっきりものを言うから誤解されることもあるけど、私は玲美ちゃんを大らかな人だと思ってる。許容範囲が広いもの。
「渋沢くんのこと、考えてたんでしょ」
「わ、わかる?」
「わかる。めちゃくちゃ幸せそうだから」
「うん……。とっても嬉しいことがあって……もう何度も思い出してる……」
「ごちそうさま」
玲美ちゃんはやっぱりにこにこ笑ってくれる。元彼の時とは違って、新くんとのことは、すごく応援されている気がする。
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