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第三章 カバーで本を判断するな

081 僕と彼女と装備と経験値 ⑥

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 ゆっくり胸をもむと、若葉ちゃんは歓喜の声を上げた。

「ああっ……!」
「気持ちい?」

 若葉ちゃんはこくりと小さくうなずいた。少し瞳を潤ませ、頬を紅潮させて、僕に言う。

「なんか、今日、おかしいの……。新くんが、欲しくて……」

 若葉ちゃんの秘所を覗き込むと、もう愛液がシーツまで垂れていて、思わず笑みがもれる。解すまでもない。

「ん。僕も挿れたい」

 ゴムを一つ取って装着し、若葉ちゃんの中にゆっくり攻め入る。ぐしゅぐしゅと水音がして、若葉ちゃんは恥ずかしそうにぎゅっと目をつぶる。

「ああぁ……んんっ……」

 若葉ちゃんがずいぶん締めつけてくるので、なんだか無理矢理若葉ちゃんの身体を開いている気分になり、正直興奮する。僕のものでみっしり埋めて、絡みついてくる狭い膣壁を、進むたびに僕専用に広げていく感覚。僕の形に変えられてしまえ。

 いつもより時間をかけて入れたせいか、全て収めた時に妙な達成感があった。安堵の息を吐くと、若葉ちゃんがそっと背中をさすってくれて、すごく落ち着く。
 キスを落とすと、若葉ちゃんは満たされたような笑顔を浮かべた。
 むしろ僕の方が満たされているのに。

 ゆっくり動くと、若葉ちゃんはそのまま抱きついて、僕の腰に脚を絡めてきた。いつもより甘えてくれている感じがする。

「新くん……新くん、大好き……」

 いつもだったら「僕も」と返すところ。でも、なんだかもっと別の言葉で想いを伝えたくなった。

「若葉、愛してるよ」

 僕はもう、直球しか投げられなかった。気障な台詞も、技巧的な台詞も、この一言には敵わない気がして。

 僕が想いを告げた瞬間、若葉ちゃんは息を飲み、僕を見た。その瞳は次第に潤んでいく。何か言おうとして何度も口を開きかけるけど、結局彼女の口から言葉が出ることはなく、ぎゅっと抱きしめられた。だから僕もそれ以上何も言わず、ぎゅっと抱きしめ返した。

 抱きつかれているのもあって、小刻みにしか動けない。

「んんん……あぁ……」

 若葉ちゃんの喘ぎもそんなに激しくない。でも、想いを噛みしめているように感じられ、なんだかグッとくる。
 お互いもうイキそうなのはわかった。もう一度キスを落として、動ける限り動く。背中に回された指に力が入った瞬間、若葉ちゃんからひどく締めつけられ、僕達は一緒に果てた。



 若葉ちゃんがとても幸せそうな顔で眠っているので、ほっとする。

 僕は若葉ちゃんがすごく大切で、いつも笑顔でいてほしい。楽しんでいてほしいし、安心してほしいし、いっぱい甘えてほしいし、なによりも自由でいてほしい。

 僕は「ぬののふく」と「眼鏡」を変え、「シャープペンシル」と「鞄」を手に入れたけど、装備を少し変更したくらいでレベルが上がる訳じゃない。
 僕には、圧倒的に経験値が足りていないのだ。

 幸福な未来を手に入れるために、僕は何をすべきなんだろう。



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Don't judge the book by its cover.
本のカバーでその本を判断するな。人は見かけによらぬもの。
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