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第三章 カバーで本を判断するな

080 僕と彼女と装備と経験値 ⑤

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 結局昨夜はお互いそういう気になれず、それぞれお風呂に入り、そのまま眠った。横に並んで寝ていたはずなのに、起きたら若葉ちゃんが後ろから僕に抱きついて寝ていた。可愛い。
 若葉ちゃんの方に向き直ると、おそらく僕が動いたからだろう、若葉ちゃんも目を覚ました。

「おはよう」
「おはよう、新くん」

 僕がそっとキスをすると、若葉ちゃんはくすぐったそうに笑んだ。

「どうかした?」
「ん……新くん、髭が伸びてて、ちくちくしたの」
「ごめん。痛かった?」
「ううん。幸せだなあって思って」
「髭が?」
「うん」

 髭に感動されるなんて初めてだ。よくわからないけど、若葉ちゃんが可愛い笑顔だからよし。

「新くん、わがまま言っていい?」
「ん? もちろん」
「今日、一緒にお買い物に行く予定だったけど、出掛けないでお家でいちゃいちゃしてたい……」

 少し申し訳なさそうな若葉ちゃんに、僕は笑いかける。

「奇遇だ。僕もそう思ってたところ」

 もう一度、軽くキスをすると、若葉ちゃんも嬉しそうに笑う。あんまり可愛いから、許可を得て、そのまま始めてしまう。

 ゆっくりパジャマのボタンを外し、脱がせる。繊細なレースがたくさん施された純白の下着が、若葉ちゃんらしいなと思う。
 今日は優しくしたい。愛情を充分伝えられるように。

 そっと下着も外し、たくさんたくさんキスを落とした。頬に、首筋に、胸元に。二の腕や、腿や、ふくらはぎや、足の爪先にも。若葉ちゃんの身体を構成するどの部分も、僕にとってとても大切で、くちづけにその思いを込めたいと思った。
 もちろん唇にも。ああ、若葉ちゃんは、いつキスしても、甘い。ずっとくちづけていたい。
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