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第三章 カバーで本を判断するな
079 僕と彼女と装備と経験値 ④
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「新くんと会うのがすごく楽しみで、なんとか時間をつぶせばいいって、安易に判断しちゃって……」
「うん。僕もすごく楽しみにしてたし、実際会えてとても嬉しかったし、楽しかった。でも、若葉ちゃんに負担をかけないことと安全であることはそれ以上に大事で、もっとたくさん検討すべきだった」
若葉ちゃんはしばらく黙っていたけれど、小さな声で言った。
「新くんは、そんな風に思ってくれるんだ……」
「え?」
「ほんとに、当日まで気づいてなかったの。そこまで考えていなくて。でも、当日繁華街に向かう電車の中で、計画性と危機管理意識が足りなかったって思った。自分のことなのに」
若葉ちゃんが当日とった行動よりも、もっといい手はたぶんあったんだろう。でも結果論だし、問題はそこじゃない。
計画のずさんさ、僕のことを配慮したとっさの対処、若葉ちゃんが女の子であること。どれも若葉ちゃんが悪い訳じゃないのに、若葉ちゃんは全て一人で抱えてしまって、私が悪いと自らを責めている。少なくとも僕はそう感じた。
「違うよ。若葉ちゃんが安心して過ごせるのは、僕にとってもとても大切なことだ。若葉ちゃんが一人で考えなきゃいけない問題じゃない」
何を言ったらいいのかわからない、若葉ちゃんはそんな顔をしていた。
「怖かったり不安だったりすることって、なかなか言えないよね。若葉ちゃんに何もなくて本当によかった」
ぎゅうっと抱きしめると、若葉ちゃんは声を殺して泣いた。たぶん、今、話をするまで、無理をしていたことに、彼女は気づいてなかった。
「うん。僕もすごく楽しみにしてたし、実際会えてとても嬉しかったし、楽しかった。でも、若葉ちゃんに負担をかけないことと安全であることはそれ以上に大事で、もっとたくさん検討すべきだった」
若葉ちゃんはしばらく黙っていたけれど、小さな声で言った。
「新くんは、そんな風に思ってくれるんだ……」
「え?」
「ほんとに、当日まで気づいてなかったの。そこまで考えていなくて。でも、当日繁華街に向かう電車の中で、計画性と危機管理意識が足りなかったって思った。自分のことなのに」
若葉ちゃんが当日とった行動よりも、もっといい手はたぶんあったんだろう。でも結果論だし、問題はそこじゃない。
計画のずさんさ、僕のことを配慮したとっさの対処、若葉ちゃんが女の子であること。どれも若葉ちゃんが悪い訳じゃないのに、若葉ちゃんは全て一人で抱えてしまって、私が悪いと自らを責めている。少なくとも僕はそう感じた。
「違うよ。若葉ちゃんが安心して過ごせるのは、僕にとってもとても大切なことだ。若葉ちゃんが一人で考えなきゃいけない問題じゃない」
何を言ったらいいのかわからない、若葉ちゃんはそんな顔をしていた。
「怖かったり不安だったりすることって、なかなか言えないよね。若葉ちゃんに何もなくて本当によかった」
ぎゅうっと抱きしめると、若葉ちゃんは声を殺して泣いた。たぶん、今、話をするまで、無理をしていたことに、彼女は気づいてなかった。
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