上 下
74 / 352
第三章 カバーで本を判断するな

073 牧羊犬と救助犬の謝肉祭 ②

しおりを挟む
「俺には三つ年下の彼女がいるんだけど」
「彼女、いるんですね」

 相談の必要なくない?

「そう! むちゃくちゃ可愛い彼女が!」
「それはよかったです」

 一気にテンション上がった。なんかものすごく溺愛してるっぽい。

「ツンツンツンツンツンデレツンくらいの塩梅がたまらない」

 意外とMなんだろうか。甘いの週イチ。

「たまらないんだけど、もう少し甘えてほしくて」
「はあ」
「そして心を開いてほしい。若葉に紹介させてくれって何度言っても断られる」
「まあ、折を見て」

 ものすごくドライな彼女なのかな。客観的に見ても大好きなのは伝わってくるし、構い倒してそうだし、それでも甘くならないってすごい。鉄の意思を感じる。

「甘えてくれないのは、俺に包容力がないせいだろうかと」
「それはたぶん違います。どんなに包容力がある相手でも、心を開かない人間はいる。むしろ甘えてくれみたいなタイプにこそ、心を開かない」
「そんな!」
「相手の問題だからどうにもならないです」

 あ、頭を抱えた。動作がいちいちマンガっぽい。

「セントバーナードとか言われるし」
「救助犬ですし、むしろ包容力は認められているのでは」
「そうかなあ……」
「付き合ってどれくらいなんですか?」
「一年半、くらい……?」

 指を折って数えている。なんだか可愛らしい。

「そこそこ続いていますし、長期戦でいきましょう」
「ボーダーコリー……」

 ふと気になって訊ねてみる。

「そのボーダーコリーって、若葉ちゃんから聞いたんですか?」
「……いや……」

 何、この妙な間。
 若葉ちゃん経由じゃなかったら、どのルートで知るんだろう? こんな局地的な呼び名。
 三つ年下の彼女……もしかして、僕も知ってる人間なんだろうか。
 とりあえず、響さんの顔を見るけど、言いたがらないから、保留。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

私の完璧な彼氏さん

恋愛 / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:520

【完結】【R18】つべこべ言わずに僕に惚れろよ

恋愛 / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:214

【R18】取り違えと運命の人

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:307

赤い髪の騎士と黒い魔法使い

BL / 連載中 24h.ポイント:92pt お気に入り:223

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:390pt お気に入り:3,919

女子大生家庭教師・秘密の成功報酬

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:21

装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:674pt お気に入り:29,975

処理中です...