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第二章 真実はプディングの中に
061 土屋玲美の解される正月 ⑤
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「若葉は、彼氏と上手くいってる?」
「ああ、ボーダーコリー渋沢?」
「ボーダーコリー渋沢?」
「若葉を上手いことのびのび放牧してるから、ボーダーコリー」
「のびのび……?」
響が不思議そうな顔をする。
「若葉の彼氏は、なんかきっちりしたタイプじゃなかった? ちょっと背が低めで、真面目で実直そうな感じで、ほら、ドーベルマンみたいな」
しまった。元彼と別れたこと言ってなかったのか! この兄妹仲がいいから、話してるものだとばかり。
ついでに、元彼はドーベルマンというよりミニチュアダックスフントみたいだと思う。やや頑固なところがあるが、しつけや訓練は受け入れやすい性格。自立心のある猟犬だが、甘やかしすぎると扱いにくくなる。
「ごめん。詳しくは、若葉自身に聞いて。本人が言ってないのに、勝手に話せない」
「じゃあ、二人の仲じゃなくて、ボーダーコリー渋沢くんについて、玲美の印象を聞きたい」
「え、私?」
「そう。玲美から見て、どう?」
結局同じことじゃないか。上手くすり替えやがって。こいつはいつもそう。笑顔でさりげなく情報を引き出す。
「おとなしいけど陰気じゃなく穏やか。若葉の好きなように自由にさせてるけど、危ない時はきちんと守る感じ。だからボーダーコリー」
正直、若干の腹黒さを感じるが、それくらいじゃないと若葉を受け止めることはできない気がする。ある意味、元彼の方が純粋だ。純粋だからこそ、自分の正しさを疑わず、相手を苦しめる。
「そうか。なら安心。なかよくできるといいな」
「渋沢くんは敵を作るタイプじゃないし、なかよくできるんじゃないの」
「でも、いざ会ってみたら、娘を奪われる父親みたいな気持ちになるかもしれない」
「ほんとウザいな」
北村家のご両親はご存命じゃないか。セントバーナード北村。暑苦しい男だ。
「じゃあ、今年の目標は、四人でごはん食べに行くこと、な」
「う……」
「そろそろ、若葉に紹介してほしいんですけど。自慢の彼氏ですって」
「自慢じゃねええ!!」
二〇二一年、面倒な予感しかない幕開けである。
-------------------------
The proof of the pudding is in the eating.
真実はプディングの中にある。プディングの中に何が入っているかは、おいしくできているかどうかは、食べてみなければわからない。論より証拠。
「ああ、ボーダーコリー渋沢?」
「ボーダーコリー渋沢?」
「若葉を上手いことのびのび放牧してるから、ボーダーコリー」
「のびのび……?」
響が不思議そうな顔をする。
「若葉の彼氏は、なんかきっちりしたタイプじゃなかった? ちょっと背が低めで、真面目で実直そうな感じで、ほら、ドーベルマンみたいな」
しまった。元彼と別れたこと言ってなかったのか! この兄妹仲がいいから、話してるものだとばかり。
ついでに、元彼はドーベルマンというよりミニチュアダックスフントみたいだと思う。やや頑固なところがあるが、しつけや訓練は受け入れやすい性格。自立心のある猟犬だが、甘やかしすぎると扱いにくくなる。
「ごめん。詳しくは、若葉自身に聞いて。本人が言ってないのに、勝手に話せない」
「じゃあ、二人の仲じゃなくて、ボーダーコリー渋沢くんについて、玲美の印象を聞きたい」
「え、私?」
「そう。玲美から見て、どう?」
結局同じことじゃないか。上手くすり替えやがって。こいつはいつもそう。笑顔でさりげなく情報を引き出す。
「おとなしいけど陰気じゃなく穏やか。若葉の好きなように自由にさせてるけど、危ない時はきちんと守る感じ。だからボーダーコリー」
正直、若干の腹黒さを感じるが、それくらいじゃないと若葉を受け止めることはできない気がする。ある意味、元彼の方が純粋だ。純粋だからこそ、自分の正しさを疑わず、相手を苦しめる。
「そうか。なら安心。なかよくできるといいな」
「渋沢くんは敵を作るタイプじゃないし、なかよくできるんじゃないの」
「でも、いざ会ってみたら、娘を奪われる父親みたいな気持ちになるかもしれない」
「ほんとウザいな」
北村家のご両親はご存命じゃないか。セントバーナード北村。暑苦しい男だ。
「じゃあ、今年の目標は、四人でごはん食べに行くこと、な」
「う……」
「そろそろ、若葉に紹介してほしいんですけど。自慢の彼氏ですって」
「自慢じゃねええ!!」
二〇二一年、面倒な予感しかない幕開けである。
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The proof of the pudding is in the eating.
真実はプディングの中にある。プディングの中に何が入っているかは、おいしくできているかどうかは、食べてみなければわからない。論より証拠。
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