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第二章 真実はプディングの中に
041 私の彼氏と過ごす降誕祭 ②
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落ち着いた頃にプレゼント交換をした。
「素敵! 新くんありがとう! 大切に使うね!」
新くんは私にステンレス製の素敵な携帯用靴べらをくれた。「若葉ちゃんは身に着けるものを大切にしているから、外出先でも靴が傷まないようにできるといいかと思って」だって。新くんがくれるものならなんでも嬉しいと思っていたけど、きちんと理由も考えてくれたのに感動した。
「格好いいね、これ!」
私からはドイツ製の製図用シャープペンシル。黒い軸にぐるりと赤い輪のようなラインが入ったデザインが格好よくて、軽くて丈夫そうだったから。
新くんは結構メモ魔でよく何か書いている。道具に対して思い入れは特にないようだったから勝手に選んじゃったけど、これをきっかけに新くんがもっと自分に合った道具を選ぶようになったらいいなと思った。相棒なんだから、道具は大事。
「千円で何ができるか考えるの、すごく楽しかったし、若葉ちゃんに喜んでもらえて嬉しいよ」
「私も! すごく楽しかったし、とっても嬉しい!」
新くんは私がくだらないことを企画しても、いつも一緒に楽しもうとしてくれて、すっごく優しいなと思う。
ごはんを食べ終え、ざっと片づけた後に、提案してみる。
「新くん。照明消して、蝋燭にしてもいい?」
「いいよ、もちろん」
用意していた蝋燭に火を点け、照明を消した。
「綺麗だね」
「ほんと綺麗……」
蝋燭の炎が揺らめいて、新くんを照らす。新くんの眼鏡には蝋燭の光が映っていて、その瞳の奥には、私がいる。
「ほんとは、最初から蝋燭にしたかったんだけど、暗くて見づらいかなあと思って」
「充分見えるよ。来年は最初から蝋燭にしよう」
「……うん」
私は、新くんが私の希望を叶えようとしてくれたことより、来年も一緒に過ごすのを当然の前提で言ってくれたことが、すごくすごく嬉しかった。
「ちょっと待っててね。デザート持ってくる」
「デザートもあるんだ」
「うん!」
私は冷蔵庫に入れていたケーキを取り出し、注意深く運ぶ。暗いからいつもよりも気をつけないと。
「ブッシュ・ド・ノエルだ!」
「作ったの! 作ったの!」
やっぱりクリスマスイヴにはケーキがある方がいいだろうなあって思って、ここはイギリス風じゃなくした。そもそもイギリス風だったら、イヴじゃなくクリスマス当日にお祝いだし。こんな風に好き勝手できるのが、お家で過ごすクリスマスのいいところ。
「……おいしい!」
新くんが満面の笑みでそう言ってくれてほっとする。
「ほんと? よかった! 初めて作ったからちょっと自信なかったの」
私も食べてみる。よかった、上出来!
新くん、好き嫌いないのもあるだろうけど、何を出してもおいしそうに食べてくれるから、作ってよかったなあって思う。外食でもそうで、最初のデートこそ味が何もわからなかったけど、それからは何を一緒に食べてもおいしいの。
「素敵! 新くんありがとう! 大切に使うね!」
新くんは私にステンレス製の素敵な携帯用靴べらをくれた。「若葉ちゃんは身に着けるものを大切にしているから、外出先でも靴が傷まないようにできるといいかと思って」だって。新くんがくれるものならなんでも嬉しいと思っていたけど、きちんと理由も考えてくれたのに感動した。
「格好いいね、これ!」
私からはドイツ製の製図用シャープペンシル。黒い軸にぐるりと赤い輪のようなラインが入ったデザインが格好よくて、軽くて丈夫そうだったから。
新くんは結構メモ魔でよく何か書いている。道具に対して思い入れは特にないようだったから勝手に選んじゃったけど、これをきっかけに新くんがもっと自分に合った道具を選ぶようになったらいいなと思った。相棒なんだから、道具は大事。
「千円で何ができるか考えるの、すごく楽しかったし、若葉ちゃんに喜んでもらえて嬉しいよ」
「私も! すごく楽しかったし、とっても嬉しい!」
新くんは私がくだらないことを企画しても、いつも一緒に楽しもうとしてくれて、すっごく優しいなと思う。
ごはんを食べ終え、ざっと片づけた後に、提案してみる。
「新くん。照明消して、蝋燭にしてもいい?」
「いいよ、もちろん」
用意していた蝋燭に火を点け、照明を消した。
「綺麗だね」
「ほんと綺麗……」
蝋燭の炎が揺らめいて、新くんを照らす。新くんの眼鏡には蝋燭の光が映っていて、その瞳の奥には、私がいる。
「ほんとは、最初から蝋燭にしたかったんだけど、暗くて見づらいかなあと思って」
「充分見えるよ。来年は最初から蝋燭にしよう」
「……うん」
私は、新くんが私の希望を叶えようとしてくれたことより、来年も一緒に過ごすのを当然の前提で言ってくれたことが、すごくすごく嬉しかった。
「ちょっと待っててね。デザート持ってくる」
「デザートもあるんだ」
「うん!」
私は冷蔵庫に入れていたケーキを取り出し、注意深く運ぶ。暗いからいつもよりも気をつけないと。
「ブッシュ・ド・ノエルだ!」
「作ったの! 作ったの!」
やっぱりクリスマスイヴにはケーキがある方がいいだろうなあって思って、ここはイギリス風じゃなくした。そもそもイギリス風だったら、イヴじゃなくクリスマス当日にお祝いだし。こんな風に好き勝手できるのが、お家で過ごすクリスマスのいいところ。
「……おいしい!」
新くんが満面の笑みでそう言ってくれてほっとする。
「ほんと? よかった! 初めて作ったからちょっと自信なかったの」
私も食べてみる。よかった、上出来!
新くん、好き嫌いないのもあるだろうけど、何を出してもおいしそうに食べてくれるから、作ってよかったなあって思う。外食でもそうで、最初のデートこそ味が何もわからなかったけど、それからは何を一緒に食べてもおいしいの。
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